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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1811.07919
Swain et al. (2018)
Two Terrestrial Planet Families With Different Origins
(異なる起源を持つ 2 つの地球型惑星族)

概要

直径が 2 地球半径以下の,惑星のエンベロープの除去における恒星放射の影響は重要である.このことは理論的にも示唆されており,さらに観測では小さい惑星の存在頻度を惑星半径の関数としてみた場合に二峰性の分布を示すことが分かっている.

ここでは,小さい惑星の三次元パラメータ空間における分布を調査した.ここで用いるパラメータは,惑星半径,日射量,惑星の密度の 3 つである.その結果,地球型の系外惑星を 2 つの異なる族に分類した.

一つのグループは地球型惑星や太陽系内での小さい惑星と類似しており,したがって地球型類似の惑星である.もう片方はサブネプチューン的なバルク密度で形成されている地球型惑星で,光蒸発によって形成された残余コアから成っていると思われるものである.

惑星密度と半径の関係に基づくと,双方の地球型惑星の族は,衝突合体を介して密度を増加させた徴候を示している.今回の結果は,惑星からの大気の光蒸発と衝突が,小型惑星の密度を決定するのに重要な役割を果たしているということを示唆するものである.

データ解析の手法

解析に用いる系外惑星は,NASA Exoplanet Archive からサンプルを抽出した.

登録されている系外惑星の中から,3.5 地球半径未満のものを選択した.そのうち,推定密度が異常に大きなもの (20 g/cm3 より大きいもの) は除去した.
また,軌道傾斜角に大きな異常が見られる惑星のペアも除去した.これは,このような特徴を示す惑星系では一般的ではない力学的な過程を経験した可能性があるためである (Rodriguez et al. 2018).

その結果,87 個の系外惑星系をサンプルとして抽出した.

解析では,サプネプチューン惑星と地球型惑星の境界は 1.75 地球半径とした (Lopez & Fortney 2014).これは存在頻度の欠乏している半径の中心とも近い (Fulton et al. 2017).

結果

解析の結果,サンプルを複数のグループに分割した.

Type 1 Terrestrials

Type 1 Terrestrials は,比較的低いレベルの日射量を受け,惑星の密度の惑星半径への依存性は中間的で,依存性の平均のスロープは 4.58 であった.これは太陽系の地球型惑星の惑星半径-密度平面でのプロット結果と近く,共通の形成機構を持っていることを示唆している.太陽系の地球型惑星は衝突を介して形成されたと考えられており,Type 1 に分類された系外惑星も同様だろう.

惑星半径が大きくなるにつれ密度が増加する正のスロープを持つということは,惑星の密度は天体が成長するに連れて重力で圧縮される過程と,衝突を介して揮発性物質が失われることの組み合わせで上昇した可能性がある.

サブネプチューン

サブネプチューンに分類される惑星は,半径が減少するに伴って密度が上昇するという特徴を示す.これは,2.0 - 3.5 地球半径で中間的な水準の光蒸発を受けたものと整合的である.

統計的には,中間的な光蒸発によってサブネプチューンのエンベロープの半分程度 (惑星総質量の 1.5 - 3% 程度) が失われたと考えられる.

Type 2 Terrestrials

Type 2 Terrestrials は強い日射を受けている惑星で,惑星の密度の惑星半径に対する依存性は強い負のスロープで -14.69 である.

最も小さい半径を持つものでは,密度は高く 10 g/cm3 程度になる.これは地球型惑星の密度としては非常に大きな値であり,この高い値を実現する何らかの説明が必要である.

高密度惑星の形成機構

高密度の惑星を形成するための一つの可能性は,大気の蒸発によって引き起こされる減圧が一瞬ではなかったというものである.しかし密度-半径関数の負の傾きは,重力的圧縮単独では高い密度の値を再現できない.

理論的な研究では,これらの惑星はエンベロープを完全に剥ぎ取られた「裸のコア」である可能性がある (Owen & Wu 2017).ただしこのシナリオの場合はスロープが急になりすぎるという問題点がある.

ここでは,エンベロープが剥ぎ取られた裸のコアが,その後一定量の微惑星爆撃を惑星形成初期段階に経験し,それによって揮発性物質が放出され,さらにそれが高い日射量によって効率的に剥ぎ取られたことによって高密度の惑星が形成されたというシナリオを提案する.

なお分布の遷移領域は 1.5 - 2.0 地球半径程度にある.これはサブネプチューンからスーパーアースへの遷移領域と思われ,双方のグループが重なって存在していることが示唆される.

結論

以上の結果から,地球型系外惑星は地球類似か,金星類似か,あるいは巨大ガス惑星・巨大氷惑星の残骸なのか?という問いに関して答えることができる.

地球類似惑星と金星類似惑星に関しては本質的に同じであるという単純化をすると,この問いに対しての今回の研究での結論は「両方」である.
地球型惑星は 2 つのメカニズムで形成されたと思われる.一つは地球型であり,太陽系内での地球型惑星形成と同様に衝突を介した形成・成長による.もう一つのメカニズムはエンベロープの光蒸発を介したものであり,こちらはエンベロープを失ったガス惑星や氷惑星の残骸である

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