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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1509.07912
Vogt et al. (2015)
A Six-Planet System Orbiting HD 219134
(HD 219134まわりの6惑星系)

概要

近傍の K3V型星、HD 219134の高精度ドップラー視線速度観測の結果について。
Keck I ObservatoryにあるHIRES 分光観測器による 175データと、Lick Observatoryにある Automated Planet Finder Telescope (APF)のLevy分光観測器による 101のデータを用いて解析を行った。

その結果、HD 219134まわりに6つの惑星候補を発見した
軌道周期はそれぞれ 3.1, 6.8, 22.8, 46.7, 94.2, 2247日である。
また最小質量はそれぞれ 3.8, 3.5, 8.9, 21.3, 10.8, 108地球質量である。

解析の結果、最も外側のものによるシグナルは、恒星活動による誤検出ではなさそうだという事が分かった。
また、Fairborn Observatoryの T10 0.8 m automatic photometric telescope (APT)による、数年間に及ぶ測光観測からは、中心星の光度変動の上限値として ~ 0.0002 magという値を与えた。
従って、視線速度シグナルは惑星起源によるものだと考えられる。

HD 219134は等級が V = 5.6と明るいため、ケプラー宇宙望遠鏡で発見された、あるいはNASAのTESSミッションやESAのPLATOミッションで発見されるであろう、複数惑星系に共通する軌道の特徴付けや、追加観測の対象として適している。

HD 219134系について

HD 210134

視等級が 5.57と明るく、また 6.546 pcと比較的太陽系近傍の恒星である。
別名として、HR 8832, GJ 892, HIP 114622がある。

星系としては太陽系から 99番目に近いものであり、Keckの初期の観測ターゲットとなっていた。
また、最小質量が 10木星質量を下回る惑星を持つ系の中では、太陽、ケンタウルス座アルファ星B、おとめ座61番星、HD 20794だけが明るい視等級を持つ。

スペクトル型:K3V
質量:0.794太陽質量
半径:0.77太陽半径
光度:0.31太陽光度
年齢:12.46 Gyr
金属量:[Fe/H] = 0.08
有効温度:4913 K

惑星系

HD 219134b
軌道周期:3.0931日
最小質量:0.012木星質量 (3.8地球質量)
軌道離心率:0
軌道長半径:0.0384740 AU
HD 219134c
軌道周期:6.7635日
最小質量:0.011木星質量 (3.5地球質量)
軌道離心率:0
軌道長半径:0.064816 AU
HD 219134d
軌道周期:22.805日
最小質量:0.028木星質量 (8.9地球質量)
軌道離心率:0
軌道長半径:0.14574 AU
HD 219134e
軌道周期:46.71日
最小質量:0.067木星質量 (21.3地球質量)
軌道離心率:0
軌道長半径:0.23508 AU
HD 219134f
軌道周期:94.2日
最小質量:0.034木星質量 (10.8地球質量)
軌道離心率:0
軌道長半径:0.3753 AU
HD 219134g
軌道周期:2247日
最小質量:0.34木星質量 (108地球質量)
軌道離心率:0.06
軌道長半径:3.11 AU

これらは全て観測結果のベストフィットモデルである。

議論

この系は、少なくとも5つのスーパーアースが、100日未満の軌道周期で公転しているという風変わりな系である。
しかし最近の観測では、このような惑星系は非常に一般的であるということが明らかにされてつつある(Mayor et al. 2009)。

これらの惑星は、その場形成 (in situ formation)なのか、外で形成されて内側へ移動してきたものなのか、現在ではまだ明確な答えは無い。
外側にある巨大惑星 (今回の例で言う HD 219134e)は、このようなスーパーアースの系を壊してしまうという研究結果もある(Batygin & Laughlin 2015)。

これまでに知られている数千ある惑星系の中で、この系は目立っている。
すなわち、主星は比較的明るく、光度変動も非常に小さい。
従ってさらなる観測から、より軽い惑星が発見されるかもしれない。

HD 219134の光度は 0.31太陽光度であるため、0.56 AUの位置に惑星がもし存在すれば、地球が太陽から受け取っているのと同じ日射になり、この位置での軌道周期は 167日である。
もしこの位置に地球質量と同じ惑星が存在した場合、視線速度の変動は 14 cm s-1となる。
これを現在の技術で検出するのは難しいが、将来的には不可能な値ではない。

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