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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1912.04651
GRAVITY Collaboration et al. (2019)
Peering into the formation history of beta Pictoris b with VLTI/GRAVITY long baseline interferometry
(VLTI/GRAVITY 長基線干渉計でがか座ベータ星b の形成史を覗き込む)
30 年程度にわたる観測から,複雑な構造を持った星周円盤.環,帯,巨大惑星がか座ベータ星b を持つことが分かっている.しかし,この系がどのようにして現在の姿になったのかは分かっていない.
ここでの目的は,高精度の位置天文観測から惑星大気の C/O 比を推定し,惑星の力学的質量を推定すること,そして軌道パラメータを更新することである.
8.2 m Very Large Telescope の GRAVITY 装置を用いて,惑星の K バンド波長での分光干渉データを取得した.K バンドの中間分解能 (R=500) のスペクトルと高精度の位置天文データを差し引き.2 つの異なる手法で惑星の C/O 比を推定した.
大気組成の復元に関しては,フォワードモデルと制約なしの復元の 2 通りを用いた.また異なる形成過程 (重力崩壊とコア降着) のどちらが測定された C/O 比を最も説明できるかについての調査も行った.
その結果,がか座ベータ星b の軌道離心率は e = 0.15 で,円軌道であることは否定される.
過去の観測結果とヒッパルコス,ガイアの測定を合わせると,惑星質量は 12.7 木星質量と推定される.この値は,スペクトルデータのみを用いた制約なしの復元モデルで導出したものと整合的である.フォワードモデルと復元モデルからは,どちらも非常に似た結果が導かれた.特に C/O 比に関しては 2 つのコードは同一の結果を返した (0.43 ± 0.05 と 0.43 (+0.04, -0.03)).
もしがか座ベータ星の C/O 比が太陽と同じ値である場合,惑星の質量が大きいことと惑星の C/O 比が小さいことは,この惑星は微惑星が非常に多い環境でコア降着過程で形成されたことを示唆している.
arXiv:1912.04651
GRAVITY Collaboration et al. (2019)
Peering into the formation history of beta Pictoris b with VLTI/GRAVITY long baseline interferometry
(VLTI/GRAVITY 長基線干渉計でがか座ベータ星b の形成史を覗き込む)
概要
がか座ベータ星は太陽系外の惑星系で最も研究された対象のひとつである.30 年程度にわたる観測から,複雑な構造を持った星周円盤.環,帯,巨大惑星がか座ベータ星b を持つことが分かっている.しかし,この系がどのようにして現在の姿になったのかは分かっていない.
ここでの目的は,高精度の位置天文観測から惑星大気の C/O 比を推定し,惑星の力学的質量を推定すること,そして軌道パラメータを更新することである.
8.2 m Very Large Telescope の GRAVITY 装置を用いて,惑星の K バンド波長での分光干渉データを取得した.K バンドの中間分解能 (R=500) のスペクトルと高精度の位置天文データを差し引き.2 つの異なる手法で惑星の C/O 比を推定した.
大気組成の復元に関しては,フォワードモデルと制約なしの復元の 2 通りを用いた.また異なる形成過程 (重力崩壊とコア降着) のどちらが測定された C/O 比を最も説明できるかについての調査も行った.
その結果,がか座ベータ星b の軌道離心率は e = 0.15 で,円軌道であることは否定される.
過去の観測結果とヒッパルコス,ガイアの測定を合わせると,惑星質量は 12.7 木星質量と推定される.この値は,スペクトルデータのみを用いた制約なしの復元モデルで導出したものと整合的である.フォワードモデルと復元モデルからは,どちらも非常に似た結果が導かれた.特に C/O 比に関しては 2 つのコードは同一の結果を返した (0.43 ± 0.05 と 0.43 (+0.04, -0.03)).
もしがか座ベータ星の C/O 比が太陽と同じ値である場合,惑星の質量が大きいことと惑星の C/O 比が小さいことは,この惑星は微惑星が非常に多い環境でコア降着過程で形成されたことを示唆している.
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