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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1511.05306
Armstrong et al. (2015)
The Host Stars of Keplers Habitable Exoplanets: Superflares, Rotation and Activity
(ケプラーハビタブル系外惑星の中心星:スーパーフレア、自転と恒星活動)

概要

ケプラー宇宙望遠鏡のデータを用いて、ケプラーで発見された最も地球に類似している系外惑星の光度曲線を詳細に調査した。中心星の自転周期、測光観測における恒星の活動度、発生するフレアのエネルギー、恒星風による質量放出、恒星の自転周期からの年齢推定 (gyrochronological age)、X線光度を導出した。また、惑星の磁気圏と居住可能性への関連についても考察した。

さらに、ケプラー438の光度曲線中に、スーパーフレアを検出した。この恒星を公転するケプラー438bは、現在最も高い地球類似度 (Earth Similarity Index, ESI)を示す系外惑星である。ケプラー438bは軌道長半径 0.166 AUであり、大気の剥ぎ取りの影響を受けやすい。

調査対象とした系は、Habitable Exoplanet Catalogueから抽出した。ケプラー22, ケプラー61, ケプラー62, ケプラー174, ケプラー186, ケプラー283, ケプラー296, ケプラー298, ケプラー438, ケプラー440, ケプラー442, ケプラー443, KOI-4427が対象である。これらの系では、ケプラーによって最も居住可能性が高いと考えられるトランジット惑星が計 15個発見されている。

研究背景

恒星活動と居住可能性

ケプラーミッション (Borucki et al. 2010, Koch et al. 2010)では、~ 150000個の恒星を高精度測光観測している。

系外惑星の環境は主に中心星に影響される。どの平衡温度の領域で惑星表面に液体の水が存在できるかという問題は、ハビタブルゾーンの研究と関連している (Kasting 1993など)。
これまでのハビタブルゾーン内にあるハビタブル惑星は、太陽よりも低温の恒星周りに発見されている。これは、低温度の恒星周りの方が地球型惑星を発見しやすいからである。このような低温な恒星は、一般的には太陽より活動的であると考えられている (Wright et al. 2011)。活動の例は、フレア、コロナ質量放出 (coronal mass ejection, CME)、X線・遠紫外線放射などである (Mamajek & Hillenbrand 2008)。また恒星の磁場も強い (Reiners & Mohanty 2012など)。

恒星でフレアが発生した場合、紫外線と荷電粒子のフラックスが増加するが、これは惑星の居住可能性には影響は少ないと考えられている (Segura et al. 2010)。しかし CMEは増加する (Chen & Kunkel 2010)。さらに惑星の磁気圏を圧縮する効果があり (Khodachenko et al. 2007)、大気の侵食を駆動する (Lammer et al. 2007)。

惑星の磁気圏は、惑星大気の侵食を防ぎ、また高エネルギー粒子から地表を守るのに重要である。M型星周りの惑星に惑星磁気圏による防護が無い場合、大気は 1 Gyr以内に失われる場合もある (Zendejas et al. 2010)。惑星の磁気圏のサイズは恒星の特性に大きく依存する。特に、恒星風 (See et al. 2014)、恒星磁場 (Vidotto et al. 2013)への依存が大きい。

系外惑星の地球類似性とサンプル抽出

系外惑星はしばしば、Earth Similarity Index (ESI)によって測られる (Schulze-Makuch et al. 2011)。これは、ある系外惑星がどれだけ地球と似ているかを、惑星半径、平均密度、脱出速度、表面温度から判定するものである。

ここではケプラー惑星の ESIの数値を元に、以下の惑星をサンプルとして選定した。
・ケプラー22b (Borucki et al. 2012)
・ケプラー61b (Ballard et al. 2013)
・ケプラー62e, f (Borucki et al. 2013)
・ケプラー174d (Rowe et al. 2014)
・ケプラー186f (Quintana et al. 2014)
・ケプラー283c
・ケプラー294e, f
・ケプラー298d (以上 Rowe et al. 2014)
・ケプラー438b
・ケプラー440b
・ケプラー442b
・ケプラー443b
・KOI-4427b (以上 Torres et al. 2015)






ケプラーで発見された惑星のうち、ハビタブルゾーンに存在すると考えられる地球型惑星を持つ系の中心星に関する研究です。ケプラー438bは最も地球に似ていると期待される系外惑星ですが、この中心星であるケプラー438でスーパーフレア (太陽で発生する平均的なフレアよりも数桁エネルギーが大きいもの)が検出されたことが話題となりました。

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