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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1612.02872
Kane et al. (2016)
On the Orbital Inclination of Proxima Centauri b
(プロキシマ・ケンタウリb の軌道傾斜角について)
この発見で残されている不明点の一つは,この惑星の真の質量 (true mass) である.この惑星は視線速度法によって検出されたため,最小質量しか判明していない.ここでは,プロキシマ・ケンタウリの惑星について,質量・半径・大気・アルベドの観点から,惑星の軌道傾斜角の影響について記述する.
ここでは,惑星のアストロメトリ,角距離,そして惑星の反射光の特徴について,軌道離心率の効果を含めて計算した.また力学的シミュレーションを行い,ハビタブルゾーン内の別の地球型惑星の存在が軌道傾斜角の関数としてどのように変化するかも計算した.
最後にこれらの効果について,将来の宇宙空間からの測光観測と撮像観測の観点から議論した.これらの観測は,惑星の特徴を検出して惑星の傾斜角と質量の不定性を解決する可能性がある.
惑星は長期間にわたる視線速度観測によって発見され,軌道周期 11.186 日,軌道長半径 0.0485 AU であり,最小質量は地球より 30%大きい値である.
ケンタウルス座アルファ星との近接遭遇によって誘起され得る擾乱の影響を含んだ惑星形成シナリオは,推定されている比較的大きな惑星の軌道離心率を説明できる (Barnes et al. 2016など).しかしこの惑星のトランジットの可能性は事実上排除されているので,惑星半径は不明のままである (Anglada-Escud ́e et al. 2016, Davenport et al. 2016, Kipping et al. 2016).
しかし,傾斜角や真の質量,半径が不明ではあるが,この惑星は地球型惑星だと考えられる.そのため,居住可能かもしれない惑星環境と検出可能かもしれないバイオシグネチャーへの興味が高まる.
ここでは,プロキシマ・ケンタウリb の軌道面と視線方向の傾斜角についての研究を行った.
これまでのケプラーなどによる多数の系外惑星の発見の結果から,地球型惑星とそうでない惑星の密度の遷移は ~ 1.5 - 2.0 地球半径程度であると予想される.これより大きい惑星は,不揮発性物質ではなく揮発性物質が主要な構成要素になると考えられる.
Weiss & Marcy (2014) の質量-半径の関係性から,この遷移に相当するのは 3.9 - 5.5 地球質量である.プロキシマ・ケンタウリb の質量がこの範囲を超えるためには,軌道傾斜角は < 14.4°を満たしている必要がある.軌道分布がランダムだとして,またトランジットを起こす確率 1.5%を除くと,この惑星が地球型惑星の範囲に入っている確率は ~ 84%である.
現在の情報を元に計算すると,プロキシマ・ケンタウリb と平均軌道共鳴に入っている軌道の位置を除くと,別の地球型惑星が存在する可能性は排除される.
arXiv:1612.02872
Kane et al. (2016)
On the Orbital Inclination of Proxima Centauri b
(プロキシマ・ケンタウリb の軌道傾斜角について)
概要
ケプラーによって系外惑星の発見頻度は大幅に伸びたが,そのような状況であっても近傍の恒星の周りの個々の惑星の発見は,惑星の特徴付けやフォローアップ観測にとって重要である.最近プロキシマ・ケンタウリの周りに発見された系外惑星候補プロキシマ・ケンタウリb は,太陽系近傍におけるスーパーアースの研究の機会を大きくするだろう.この発見で残されている不明点の一つは,この惑星の真の質量 (true mass) である.この惑星は視線速度法によって検出されたため,最小質量しか判明していない.ここでは,プロキシマ・ケンタウリの惑星について,質量・半径・大気・アルベドの観点から,惑星の軌道傾斜角の影響について記述する.
ここでは,惑星のアストロメトリ,角距離,そして惑星の反射光の特徴について,軌道離心率の効果を含めて計算した.また力学的シミュレーションを行い,ハビタブルゾーン内の別の地球型惑星の存在が軌道傾斜角の関数としてどのように変化するかも計算した.
最後にこれらの効果について,将来の宇宙空間からの測光観測と撮像観測の観点から議論した.これらの観測は,惑星の特徴を検出して惑星の傾斜角と質量の不定性を解決する可能性がある.
研究半径
Anglada-Escud ́e et al. (2016) によって,プロキシマ・ケンタウリの周りに視線速度法で惑星候補天体が発見された.プロキシマ・ケンタウリは晩期型のフレア星で,自転周期は ~ 84 日である.この自転周期は,測光学的 (Anglada-Escud ́e et al. (2016) および分光学的 (Collins et al. 2016など) に確認されている.惑星は長期間にわたる視線速度観測によって発見され,軌道周期 11.186 日,軌道長半径 0.0485 AU であり,最小質量は地球より 30%大きい値である.
ケンタウルス座アルファ星との近接遭遇によって誘起され得る擾乱の影響を含んだ惑星形成シナリオは,推定されている比較的大きな惑星の軌道離心率を説明できる (Barnes et al. 2016など).しかしこの惑星のトランジットの可能性は事実上排除されているので,惑星半径は不明のままである (Anglada-Escud ́e et al. 2016, Davenport et al. 2016, Kipping et al. 2016).
しかし,傾斜角や真の質量,半径が不明ではあるが,この惑星は地球型惑星だと考えられる.そのため,居住可能かもしれない惑星環境と検出可能かもしれないバイオシグネチャーへの興味が高まる.
ここでは,プロキシマ・ケンタウリb の軌道面と視線方向の傾斜角についての研究を行った.
傾斜角の惑星の特徴への影響
視線速度法によって推定された最小質量は 1.27 地球質量である.これまでのケプラーなどによる多数の系外惑星の発見の結果から,地球型惑星とそうでない惑星の密度の遷移は ~ 1.5 - 2.0 地球半径程度であると予想される.これより大きい惑星は,不揮発性物質ではなく揮発性物質が主要な構成要素になると考えられる.
Weiss & Marcy (2014) の質量-半径の関係性から,この遷移に相当するのは 3.9 - 5.5 地球質量である.プロキシマ・ケンタウリb の質量がこの範囲を超えるためには,軌道傾斜角は < 14.4°を満たしている必要がある.軌道分布がランダムだとして,またトランジットを起こす確率 1.5%を除くと,この惑星が地球型惑星の範囲に入っている確率は ~ 84%である.
その他
プロキシマ・ケンタウリのハビタブルゾーン内にプロキシマ・ケンタウリb 以外の別の惑星が存在し得る可能性についての計算も行った.現在の情報を元に計算すると,プロキシマ・ケンタウリb と平均軌道共鳴に入っている軌道の位置を除くと,別の地球型惑星が存在する可能性は排除される.
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