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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1507.03014
Rich et al. (2015)
Near-IR Polarized Scattered Light Imagery of the DoAr 28 Transitional Disk
(DoAr 28遷移円盤の近赤外偏光散乱光の観測)

概要

DoAr 28にある遷移円盤 (transitional disk)を、H-bandでの偏光散乱光を用いた空間的に分解した撮像を行うことに初めて成功した。
観測からは、working angleは 0".10 - 0".50 (13 - 65 AU)に広がった円盤と判明。
別グループのSEDからのモデルでは、ギャップ内縁は ~15 AU程度と予測されていたが、今回の観測では内縁はそれより内側まで広がっていた。

モンテカルロ計算を用いた輻射輸送の計算モデルと、50°に傾いた 0.01太陽質量の円盤のモデルから、~ 8 AUあたりまでダストの昇華 (sublimation)によって部分的に欠乏したギャップが空いていることが示唆された。
このbest fitを観測から差し引くと、円盤には小さい2つの非対称構造が見られた。

また、系の 1".08北西に点源が観測されたが、追観測によって系とは無関係な背景星だと考えられる。









その他のメモ事項。

遷移円盤について

惑星形成の現場である原始惑星系円盤 (protoplanetary disk)は、ガスとダストからなっています。
原始惑星系円盤は次第にガスを失って、固体成分からなる円盤である、デブリ円盤 (debris disk)へと進化します。

原始惑星系円盤からデブリ円盤へ遷移していく途中の円盤のことを、遷移円盤 (transitional disk)と呼びます。

DoAr 28について

DoAr 28は、太陽系から 139 pcの位置にあるρ Ophiuch association (へびつかい座ロー分子雲、活発な星形成領域)の内部にある、スペクトル型がK5の星。
スペクトルエネルギー分布 (Spectral Energy Distribution, SED)の形状から、円盤の存在が示唆されていました。モデルによると、円盤の質量降着率は 4 × 10-9 太陽質量/年。

名称の"DoAr"は、この領域を観測した人の名前から来ています。(Dolidze & Arakelian 1959)
28は、この中での通し番号に相当します。











arXiv:1507.03557
Buchhave & Latham (2015)
The Metallicities of Stars With and Without Transiting Planets
(トランジット惑星を持つ星と持たない星の金属量)

概要

中心星の金属量は、惑星形成に与える観測的な制限として用いられてきた。
巨大ガス惑星の存在と中心星の金属量の相関については広く受け入れられているが、この関係が小さい惑星に対してもそのまま適用できるかどうかについては議論があった。

ここでは、ケプラー宇宙望遠鏡が観測した領域(Kepler field)の中にある 518の惑星が検出されていない恒星の金属量を調査し、小さい惑星 (ここでは 1.7地球半径未満)を持つ恒星の金属量と比較した。

結果、惑星を持たない星の金属量は [m/H] = -0.02 ± 0.02 dex、惑星を持つ星の金属量は [m/H] = -0.02 ± 0.02 dexであった。
同じ空の領域にある恒星について、トランジット惑星を持つ恒星と持たない恒星では、同じ金属量を持つという結果となった。

背景

ホットジュピターの存在確率と中心星の金属量の関係については、Gonzalez (2007)で示唆されていた。
この関係はのちに確認された(Santos et al. 2004, Fischer & Valenti 2005)。
この関係は、惑星形成論においてコア集積モデルを支持する結果である。金属量が多い系では、円盤のガスが消失するまでにコア質量が限界コア質量を超え、ガスの暴走降着を起こしやすくなる。

しかしこの関係性が小さい惑星に対しても延長できるかについては議論がある。
例えば、Wang & Fischer (2015)では、地球型惑星へも延長できると主張している。

ここでは、トランジット惑星未検出の恒星 (Stars with No detected Transiting Planets, SNTP)と、トランジット惑星が検出されている恒星 (Stars with detected Transiting Planets, STP)に分けて金属量の調査を行った。

その他、解析や結果など

短周期惑星は中心星からの強い輻射を受けて質量散逸を起こしている可能性がある。
もともとガス惑星であり、その後大気を失って半径が小さくなっている可能性があり、質量散逸は金属量と半径の相関を壊す可能性がある。
そのため、惑星の軌道でのフラックスが 5 × 105 J s-1 m-2を超えている、強く輻射を受けている惑星はサンプルから除外した。

また、"gas dwarf"である、惑星半径が1.7〜4.0地球半径の惑星を持つ恒星については、金属量は [m/H] = 0.05 ± 0.01 dexとなった。

まとめ

中心星の金属量は、小さい惑星の存在との相関は見られなかった。
この結果は、Wang & Fischer (2015)とは異なる結果である。

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