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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1703.06582
Patra et al. (2017)
The Apparently Decaying Orbit of WASP-12
(WASP-12 の崩壊しつつあると思われる軌道)
観測から得られたデータは,一定の周期の微分値 dP/dt = -29 ± 3 ms yr-1 と,P/(dP/dt) = 3.2 Myr と整合的である.しかし,これが惑星軌道の崩壊を見ているのか,14 年の近点歳差周期の一部を見ているのかを判断するのは難しい.
これが軌道の崩壊だと解釈した場合,恒星の潮汐の Q 値は 2 × 105 になる.また,歳差だと解釈した場合,惑星のラブ数は 0.44 ± 0.10 となる.
軌道崩壊モデルは,よりパラメータが少ないモデルである.カイ二乗検定では Δχ2 = 5.5 だが,歳差モデルよりもパラメータが 2 つ少ない.移動崩壊モデルは,WASP-12b の崩壊までの寿命のうち最後の ~ 0.2%の期間の間に発見されたという現実的ではない偶然の一致を要求するが,これは惑星軌道が現在破壊に向かいつつあるという独立した証拠と調和的である.
歳差モデルは前述のような時間的一致性を要求しないが,速い潮汐円軌道化を前にして軌道離心率が ~ 0.002 に維持し続けるための,何らかの不明なメカニズムが必要となり.仮説としては,恒星の対流渦からの重力的擾乱によって軌道離心率が励起されているという Phinney (1992) の理論が存在する.
軌道崩壊と歳差を明確に区別するためには,あと数年のさらなる観測を必要とすると思われる.特に 2019 年かそれ以後の掩蔽のタイミングを測定するのが良い.その時期以降に,軌道崩壊と歳差で予測される周期のズレの予測値に差が生じるためである.
arXiv:1703.06582
Patra et al. (2017)
The Apparently Decaying Orbit of WASP-12
(WASP-12 の崩壊しつつあると思われる軌道)
概要
ホットジュピター WASP-12b の新しいトランジットと掩蔽時刻について報告する.観測から得られたデータは,一定の周期の微分値 dP/dt = -29 ± 3 ms yr-1 と,P/(dP/dt) = 3.2 Myr と整合的である.しかし,これが惑星軌道の崩壊を見ているのか,14 年の近点歳差周期の一部を見ているのかを判断するのは難しい.
これが軌道の崩壊だと解釈した場合,恒星の潮汐の Q 値は 2 × 105 になる.また,歳差だと解釈した場合,惑星のラブ数は 0.44 ± 0.10 となる.
軌道崩壊モデルは,よりパラメータが少ないモデルである.カイ二乗検定では Δχ2 = 5.5 だが,歳差モデルよりもパラメータが 2 つ少ない.移動崩壊モデルは,WASP-12b の崩壊までの寿命のうち最後の ~ 0.2%の期間の間に発見されたという現実的ではない偶然の一致を要求するが,これは惑星軌道が現在破壊に向かいつつあるという独立した証拠と調和的である.
歳差モデルは前述のような時間的一致性を要求しないが,速い潮汐円軌道化を前にして軌道離心率が ~ 0.002 に維持し続けるための,何らかの不明なメカニズムが必要となり.仮説としては,恒星の対流渦からの重力的擾乱によって軌道離心率が励起されているという Phinney (1992) の理論が存在する.
軌道崩壊と歳差を明確に区別するためには,あと数年のさらなる観測を必要とすると思われる.特に 2019 年かそれ以後の掩蔽のタイミングを測定するのが良い.その時期以降に,軌道崩壊と歳差で予測される周期のズレの予測値に差が生じるためである.
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