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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1707.03345
Murgas et al. (2017)
The GTC exoplanet transit spectroscopy survey. VII. An optical transmission spectrum of WASP-48b
(GTC 系外惑星トランジット分光サーベイ VII.WASP-48b の可視光透過スペクトル)
Optical System for Imaging and low-Intermediate-Resolution Integrated Spectroscopy (OSIRIS) 分光器を用いて透過光スペクトルを取得した.波長ごとのトランジット深さを決定し,その結果を大気モデルを比較した.
その結果,530 - 905 nm の波長帯でのトランジット深さの測定結果は,過去の観測と整合するものだった.また,WASP-48b の透過スペクトルは比較的平坦であり,何らかの大気成分の統計的に有意な検出は見られなかった.しかし理論モデルとのフィットでは,TiO と VO を含む大気モデルと近い.
中心星 WASP-48 はやや進化した F 型星で,V バンド等級は 11.72.1.19 太陽質量,1.75 太陽半径.有効温度は 6000 K である.Enoch et al. (2011) によると,惑星質量は 0.98 木星質量,半径 1.67 木星半径,軌道周期 2.14 日であった.
O’Rourke et al. (2014) では,スピッツァー宇宙望遠鏡を用いて,H バンド,Ks バンド,3.5 µm,4,5 µm で惑星の二次食 (secondary eclipse) を観測した.その時の惑星の昼側の放射スペクトルのフィッティングから,惑星の有効温度を 2158 K と測定した.また,Fortney et al. (2008) と Burrows et al. (2008) の大気モデルを元にすると,この惑星の大気中には温度逆転層は存在しないか,存在したとしても弱いものであると結論付けた.
Ciceri et al. (2015) では多色測光観測を行い,恒星のパラメータを改善した.その観測によると,恒星は 1.062 太陽質量,1.519 太陽半径であり,これにより惑星の半径は 1.396 木星半径とやや小さい値を与えた.
得られた透過スペクトルは,予想されてい雲無しの理論的な大気モデルにおいて,TiO と VO を含むというものに近い.しかし,これらの分子を検出したと言うには統計的な有意性は足りなかった.
また Na I doublet (589.0 nm と 589.6 nm) では,統計的に有意な検出は無かった.
arXiv:1707.03345
Murgas et al. (2017)
The GTC exoplanet transit spectroscopy survey. VII. An optical transmission spectrum of WASP-48b
(GTC 系外惑星トランジット分光サーベイ VII.WASP-48b の可視光透過スペクトル)
概要
口径 10 m の Gran Telescopio Canarias (GCT) を用いて,系外惑星大気の透過スペクトルを観測するサーベイを行っている.ここでは WASP-48b の観測結果について報告する.この惑星は F 型の恒星のまわりを 2.14 日で公転するホットジュピターである.Optical System for Imaging and low-Intermediate-Resolution Integrated Spectroscopy (OSIRIS) 分光器を用いて透過光スペクトルを取得した.波長ごとのトランジット深さを決定し,その結果を大気モデルを比較した.
その結果,530 - 905 nm の波長帯でのトランジット深さの測定結果は,過去の観測と整合するものだった.また,WASP-48b の透過スペクトルは比較的平坦であり,何らかの大気成分の統計的に有意な検出は見られなかった.しかし理論モデルとのフィットでは,TiO と VO を含む大気モデルと近い.
WASP-48b について
この惑星の発見は Enoch et al. (2011) によるものであり,トランジット法により WASP サーベイの一環として検出された.中心星 WASP-48 はやや進化した F 型星で,V バンド等級は 11.72.1.19 太陽質量,1.75 太陽半径.有効温度は 6000 K である.Enoch et al. (2011) によると,惑星質量は 0.98 木星質量,半径 1.67 木星半径,軌道周期 2.14 日であった.
O’Rourke et al. (2014) では,スピッツァー宇宙望遠鏡を用いて,H バンド,Ks バンド,3.5 µm,4,5 µm で惑星の二次食 (secondary eclipse) を観測した.その時の惑星の昼側の放射スペクトルのフィッティングから,惑星の有効温度を 2158 K と測定した.また,Fortney et al. (2008) と Burrows et al. (2008) の大気モデルを元にすると,この惑星の大気中には温度逆転層は存在しないか,存在したとしても弱いものであると結論付けた.
Ciceri et al. (2015) では多色測光観測を行い,恒星のパラメータを改善した.その観測によると,恒星は 1.062 太陽質量,1.519 太陽半径であり,これにより惑星の半径は 1.396 木星半径とやや小さい値を与えた.
結論
トランジット分光観測を行った結果,平坦で特徴に欠いた透過スペクトルを得た.これは過去の観測と一致するものである.得られた透過スペクトルは,予想されてい雲無しの理論的な大気モデルにおいて,TiO と VO を含むというものに近い.しかし,これらの分子を検出したと言うには統計的な有意性は足りなかった.
また Na I doublet (589.0 nm と 589.6 nm) では,統計的に有意な検出は無かった.
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