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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1711.05735
Schneider (2017)
Is 1I/2017 U1 really of interstellar origin ?
(1I/2017 U1 は本当に星間起源か?)
Laughlin & Batygin (2017) で指摘されている通り,木星と海王星の 2 つは太陽系内天体を太陽から遠方に弾き飛ばすのに十分な質量を持つ.この時,\(f0\left(\left(M_{\rm pl}a\right)/\left(M_{\ast}R_{\rm pl}\right)\right)\) が十分に 1 より大きい場合は,遭遇した小天体は太陽系からはじき出される.
しかしこの可能性は,1I/2017 U1 の軌道傾斜角が 33° という大きな値を持つことから否定される (de la Fuente Marcos & de la Fuente Marcos 2017).(1I/2017 U1 ('Oumuamua) の軌道傾斜角は,惑星の軌道面を基準にした場合 123°,)
そのため,この天体は木星や海王星と近接遭遇することができない.
ただし,仮説上の天体である Planet Nine (Batygin & Brown 2016) の場合は状況が異なる.これは,Planet Nine の軌道傾斜角は 18 - 48° あると予想されており,さらに太陽からの距離が 500 AU で質量が 10 地球質量程度と予想され,上記の f の値は 10 程度になり得ることが原因である.
太陽系外縁部では彗星は非常に一般的な存在であるのに対し,揮発性物質に乏しい小惑星は検出されていない.そのため,遠方の惑星によって初めて明確な双曲線軌道に加速されているのが発見されたのが,彗星ではなく小惑星であるというのは可能性が低い,という主張が有り得る.
これはたしかに非常に低確率なことではあるが,非常に稀なカテゴリの天体を偶然に検出しただけであるということは論理的にありえなくはない.
結論として,太陽系内の小惑星の軌道上に別の未知の惑星 (Planet Nine など) が存在しない限り,この天体は星間空間から直接やってきた天体であると結論付けられる.
arXiv:1711.05735
Schneider (2017)
Is 1I/2017 U1 really of interstellar origin ?
(1I/2017 U1 は本当に星間起源か?)
概要
1I/2017 U1 が,実際は太陽系内部に起源を持つ天体であり,最近の太陽系天体との遭遇によって太陽系からはじき出されている最中である,という可能性について検証を行った.Laughlin & Batygin (2017) で指摘されている通り,木星と海王星の 2 つは太陽系内天体を太陽から遠方に弾き飛ばすのに十分な質量を持つ.この時,\(f0\left(\left(M_{\rm pl}a\right)/\left(M_{\ast}R_{\rm pl}\right)\right)\) が十分に 1 より大きい場合は,遭遇した小天体は太陽系からはじき出される.
しかしこの可能性は,1I/2017 U1 の軌道傾斜角が 33° という大きな値を持つことから否定される (de la Fuente Marcos & de la Fuente Marcos 2017).(1I/2017 U1 ('Oumuamua) の軌道傾斜角は,惑星の軌道面を基準にした場合 123°,)
そのため,この天体は木星や海王星と近接遭遇することができない.
ただし,仮説上の天体である Planet Nine (Batygin & Brown 2016) の場合は状況が異なる.これは,Planet Nine の軌道傾斜角は 18 - 48° あると予想されており,さらに太陽からの距離が 500 AU で質量が 10 地球質量程度と予想され,上記の f の値は 10 程度になり得ることが原因である.
太陽系外縁部では彗星は非常に一般的な存在であるのに対し,揮発性物質に乏しい小惑星は検出されていない.そのため,遠方の惑星によって初めて明確な双曲線軌道に加速されているのが発見されたのが,彗星ではなく小惑星であるというのは可能性が低い,という主張が有り得る.
これはたしかに非常に低確率なことではあるが,非常に稀なカテゴリの天体を偶然に検出しただけであるということは論理的にありえなくはない.
結論として,太陽系内の小惑星の軌道上に別の未知の惑星 (Planet Nine など) が存在しない限り,この天体は星間空間から直接やってきた天体であると結論付けられる.
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天文・宇宙物理関連メモ vol.192 Batygin & Brown (2016) 太陽系内の "第9惑星" の証拠について