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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1803.05095
Jung et al. (2018)
OGLE-2017-BLG-1522: A giant planet around a brown dwarf located in the Galactic bulge
(OGLE-2017-BLG-1522:銀河バルジ中に位置する褐色矮星周りの巨大惑星)

概要

マイクロレンズイベント OGLE-2017-BLG-1522 の発見について報告する.このイベントでは,高頻度のサーベイ観測によって,惑星による光度曲線への影響が明確に同定された.

増光のタイムスケールは ~ 7.5 日で,アインシュタイン半径は非常に小さく,0.065 mas であった.これはレンズ系が非常に低質量か,あるいはレンズ系が太陽よりもソース天体の方に近いか,あるいはその両方であることを意味している.

ベイズ解析からは,中心星は 46 (+79, -25) 木星質量,惑星は 0.75 (+1.26, -0.40) 木星質量,ソース天体とレンズ天体の距離は 0.99 (+0.91, -0.54) kpc と推定される.この系は,銀河バルジ中に存在する,褐色矮星/木星型惑星系の可能性がある.またこの推定距離は,レンズ天体とソース天体の相対的な固有運動が比較的小さいこととも整合する.

中心の褐色矮星と惑星の射影距離は 0.59 AU であり,惑星は中心星のスノーライン ~ 0.12 AU よりも外側に位置している.
一般的な惑星形成シナリオと,惑星と中心星の質量比が小さい (0.016) こと,また中心星と惑星の距離を合わせて考えると,この惑星は,褐色矮星周りの原始惑星系円盤の中で形成された巨大惑星の,初めての発見例である可能性がある.

褐色矮星まわりの惑星

中心星 OGLE-2017-BLG-1522L は,おそらく銀河バルジ中に存在する褐色矮星だと思われる.この天体が褐色矮星である可能性 (質量が 0.08 太陽質量未満) は ~ 76% である.

これまでに,巨大惑星を持つ褐色矮星は複数発見されている.しかし,それらの惑星-中心星の質量比 \(q\) はいずれも大きい ( \(q\gtrsim 0.1\) ).そのような系は,不安定な分子雲中での力学的な相互作用か (Bate 2009,2012),あるいは分子雲コアの乱流分裂 (Padoan & Nordlund 2004) によって,連星系として形成されたと考えられる.従って,このような系での伴星天体は,惑星というよりは準恒星天体だとみなすことが出来る (Chabrier et al. 2014).

一方で,今回のマイクロレンズイベントは中心星と惑星の質量比が小さい (\(q\sim 0.016\)).この事実と,最近の若い褐色矮星周りの重い円盤 (木星質量程度以上) の発見報告 (Hervey et al. 2012など) を考慮すると,この惑星質量天体 OGLE-2017-BLG-1522Lb は,連星としてではなく,惑星形成過程によって形成されたことが示唆される.そのため OGLE-2017-BLG-1522Lb は,惑星質量比を持つ褐色矮星主星の周りを公転する巨大惑星の,初めての検出例である可能性がある

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