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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1807.06973
Lendl et al. (2018)
WASP-147b, 160Bb, 164b and 165b: two hot Saturns and two Jupiters, including two planets with metal-rich hosts
(WASP-147b, 160Bb, 164b と 165b:2 つのホットサターンと 2 つの木星型惑星,金属量豊富な主星を持つ 2 つの惑星を含む)
スペクトル型:G4
有効温度:5702 K
金属量:[Fe/H] = 0.092
質量:1.044 太陽質量
半径:1.429 太陽半径
年齢:84.7 億歳
半径:1.115 木星半径
質量:0.275 木星質量
密度:0.198 木星密度
平衡温度:1404 K
中心星はやや年老いており,主系列段階から外れ始めている.恒星進化モデルからは年齢は 85 億歳と推定される.この年齢は,リチウムの存在度の低さによっても裏付けられる.
惑星は,この質量範囲としては最も強く輻射を受けている部類である.惑星質量を考慮すると,この惑星は三角形状の sub-Saturn desert (土星より軽い惑星が欠乏しているパラメータ領域) の内側の突起部分に位置している.この惑星欠乏領域は,中心星の輻射による惑星大気の侵食によって形成されると考えられているものである.
この惑星は低質量で低密度であるため,透過光分光観測の良いターゲットである.大気スケールハイトからは,大気によるトランジット深さの変化は 249 ppm と予測される,これは,地上と宇宙空間からの観測精度の範囲内に十分入っている.
スペクトル型:K0V
有効温度:5302 K
金属量:[Fe/H] = 0.389
質量:0.89 太陽質量
半径:0.872 太陽半径
年齢:82.4 億歳
半径:1.093 木星半径
質量:0.281 木星質量
密度:0.214 木星密度
平衡温度:1119 K
中心星は金属量が豊富な恒星であり.またほぼ等質量の実視連星を成している.中心星は主系列段階にいる.
惑星の性質としては WASP-147b に類似しているが,中心星は非常に金属量が多く,WASP-147 は太陽金属量に近いという違いがある.
大気スケールハイトより,大気によるトランジット深さの変化量は 338 ppm と推定される.
現在のところ,透過スペクトルが特徴付けられているホットジュピターの中で金属量が WASP-160B よりも多い恒星を公転しているのは XO-2b のみであり,この惑星では Na と K の両方が検出されている (Burke et al. 2007,Sing et al. 2011).
スペクトル型:K0V
有効温度:5400 K
金属量:[Fe/H] = 0.15
質量:0.89 太陽質量
半径:0.95 太陽半径
年齢:118 億歳
連星間距離 8060 AU
スペクトル型:G2V
有効温度:5806 K
金属量:[Fe/H] = -0.01
質量:0.946 太陽質量
半径:0.932 太陽半径
年齢:40.8 億歳 (Gyrochronology による推定は 23.2 億歳)
半径:1.128 木星半径
質量:2.13 木星質量
密度:1.48 木星密度
平衡温度:1610 K
観測のシグナルノイズ比 (S/N) が良くないため,恒星の特性は他の 3 つと比べるとあまり良く特徴付けできなかった.
惑星質量が大きく,恒星に近接した軌道にあるため,惑星は潮汐散逸を介した軌道崩壊の最中である.潮汐の Q 値を \(\log Q'_{s}\) = 8.24 と仮定すると,潮汐散逸による軌道崩壊の残りの寿命は 130 億年となる.そのため,恒星の主系列の寿命の間には,潮汐散逸によって軌道長半径が劇的に縮小することはない.
しかし惑星が近接軌道であることは,惑星大気の特徴付けを行う観測には有利となる.この惑星では,惑星自身からの放射光の分光観測が有望である.惑星の掩蔽 (二次食) の深さは,中心星から受け取る熱が惑星で完全に分配されている場合は 440 ppm,中間的な放射の場合は 1125 ppm と予測される.
スペクトル型:G6
有効温度:5599 K
金属量:[Fe/H] = 0.33
質量:1.248 太陽質量
半径:1.75 太陽半径
年齢:47.7 億歳
半径:1.26 木星半径
質量:0.658 木星質量
密度:0.33 木星密度
平衡温度:1624 K
この惑星の質量,半径,周期は,極めてよく研究されている天体である HD 209458b と類似している.ただし中心星が主系列星を離れ始めているため,受ける輻射はより強い.
中心星は金属量が豊富である.WASP-160B と WASP-165 は,トランジットするホットジュピターを持つ恒星の中では最も金属量が豊富な 2 つである.
arXiv:1807.06973
Lendl et al. (2018)
WASP-147b, 160Bb, 164b and 165b: two hot Saturns and two Jupiters, including two planets with metal-rich hosts
(WASP-147b, 160Bb, 164b と 165b:2 つのホットサターンと 2 つの木星型惑星,金属量豊富な主星を持つ 2 つの惑星を含む)
概要
WASP サーベイによる,4 つのトランジットするホットジュピターの発見を報告する.パラメータ
WASP-147 系
WASP-147
距離:426 pcスペクトル型:G4
有効温度:5702 K
金属量:[Fe/H] = 0.092
質量:1.044 太陽質量
半径:1.429 太陽半径
年齢:84.7 億歳
WASP-147b
軌道周期:4.60273 日半径:1.115 木星半径
質量:0.275 木星質量
密度:0.198 木星密度
平衡温度:1404 K
WASP-147 系の特徴
惑星は土星質量に近い.中心星はやや年老いており,主系列段階から外れ始めている.恒星進化モデルからは年齢は 85 億歳と推定される.この年齢は,リチウムの存在度の低さによっても裏付けられる.
惑星は,この質量範囲としては最も強く輻射を受けている部類である.惑星質量を考慮すると,この惑星は三角形状の sub-Saturn desert (土星より軽い惑星が欠乏しているパラメータ領域) の内側の突起部分に位置している.この惑星欠乏領域は,中心星の輻射による惑星大気の侵食によって形成されると考えられているものである.
この惑星は低質量で低密度であるため,透過光分光観測の良いターゲットである.大気スケールハイトからは,大気によるトランジット深さの変化は 249 ppm と予測される,これは,地上と宇宙空間からの観測精度の範囲内に十分入っている.
WASP-160B 系
WASP-160B
距離:284 pcスペクトル型:K0V
有効温度:5302 K
金属量:[Fe/H] = 0.389
質量:0.89 太陽質量
半径:0.872 太陽半径
年齢:82.4 億歳
WASP-160Bb
軌道周期:3.7684950 日半径:1.093 木星半径
質量:0.281 木星質量
密度:0.214 木星密度
平衡温度:1119 K
WASP-160B 系の特徴
この惑星の質量と半径は WASP-147b に近いが,受けている輻射量は小さい.中心星は金属量が豊富な恒星であり.またほぼ等質量の実視連星を成している.中心星は主系列段階にいる.
惑星の性質としては WASP-147b に類似しているが,中心星は非常に金属量が多く,WASP-147 は太陽金属量に近いという違いがある.
大気スケールハイトより,大気によるトランジット深さの変化量は 338 ppm と推定される.
現在のところ,透過スペクトルが特徴付けられているホットジュピターの中で金属量が WASP-160B よりも多い恒星を公転しているのは XO-2b のみであり,この惑星では Na と K の両方が検出されている (Burke et al. 2007,Sing et al. 2011).
WASP-160A
距離:282 pcスペクトル型:K0V
有効温度:5400 K
金属量:[Fe/H] = 0.15
質量:0.89 太陽質量
半径:0.95 太陽半径
年齢:118 億歳
連星間距離 8060 AU
WASP-164 系
WASP-164
距離:322 pcスペクトル型:G2V
有効温度:5806 K
金属量:[Fe/H] = -0.01
質量:0.946 太陽質量
半径:0.932 太陽半径
年齢:40.8 億歳 (Gyrochronology による推定は 23.2 億歳)
WASP-164b
軌道周期:1.7771255 日半径:1.128 木星半径
質量:2.13 木星質量
密度:1.48 木星密度
平衡温度:1610 K
WASP-164 系の特徴
WASP-164b は重い惑星である.中心星に非常に近い位置を公転しているが,潮汐的に安定な軌道である.観測のシグナルノイズ比 (S/N) が良くないため,恒星の特性は他の 3 つと比べるとあまり良く特徴付けできなかった.
惑星質量が大きく,恒星に近接した軌道にあるため,惑星は潮汐散逸を介した軌道崩壊の最中である.潮汐の Q 値を \(\log Q'_{s}\) = 8.24 と仮定すると,潮汐散逸による軌道崩壊の残りの寿命は 130 億年となる.そのため,恒星の主系列の寿命の間には,潮汐散逸によって軌道長半径が劇的に縮小することはない.
しかし惑星が近接軌道であることは,惑星大気の特徴付けを行う観測には有利となる.この惑星では,惑星自身からの放射光の分光観測が有望である.惑星の掩蔽 (二次食) の深さは,中心星から受け取る熱が惑星で完全に分配されている場合は 440 ppm,中間的な放射の場合は 1125 ppm と予測される.
WASP-165 系
WASP-165
距離:583 pcスペクトル型:G6
有効温度:5599 K
金属量:[Fe/H] = 0.33
質量:1.248 太陽質量
半径:1.75 太陽半径
年齢:47.7 億歳
WASP-165b
軌道周期:3.465509 日半径:1.26 木星半径
質量:0.658 木星質量
密度:0.33 木星密度
平衡温度:1624 K
WASP-165 系の特徴
この惑星は古典的なホットジュピターであり,ホットジュピターに典型的なパラメータを持つ.この惑星の質量,半径,周期は,極めてよく研究されている天体である HD 209458b と類似している.ただし中心星が主系列星を離れ始めているため,受ける輻射はより強い.
中心星は金属量が豊富である.WASP-160B と WASP-165 は,トランジットするホットジュピターを持つ恒星の中では最も金属量が豊富な 2 つである.
PR
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