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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1808.02011
Steinrueck et al. (2018)
The Effect of Disequilibrium Carbon Chemistry on the Atmospheric Circulation and Phase Curves of Hot Jupiter HD 189733b
(ホットジュピター HD 189733b の大気循環と位相曲線における非平衡炭素化学の影響)

概要

ホットジュピターでは,メタンと一酸化炭素という大気中の重要な吸収源の存在度は,強い水平方向及び鉛直方向の風によって化学反応が化学平衡を回復するよりも早く均一化されると考えられる.
この効果は一般的には general circulation models (GCMs) の中では無視されているが,これまでに観測されているホットジュピターの赤外線での光度曲線と GCMs の予測の間にある食い違いの原因になる可能性が指摘されている.

いくつかのホットジュピターの夜側半球において,GCMs によって予測される外向きのフラックスは観測より大きすぎることが分かっている.これはスピッツァー宇宙望遠鏡の 4.5 µm のバンドで顕著である.

ここでは SPARC/MITgcm を改良し,メタン,一酸化炭素,水蒸気の非平衡存在度を計算に考慮した.この計算の中では,メタンと一酸化炭素の比率がシミュレーションの中で整合的であることを仮定している.
このモデルを用い,ホットジュピター HD 189733b において,大気中のメタン/一酸化炭素の比率を 8 パターンに分けて計算を行った.

その結果,もっともらしいと思われる一酸化炭素主体のレジームでは,大きなパラメータ領域に渡って,化学平衡のケースと比べて温度は 50 K 程度変化した.この変化は,結果として予測される惑星の放射スペクトルに影響を与えるのには十分な大きさである.
従って,1300 K 未満の平衡温度を持つホットジュピターの GCMs 計算では考慮されるべき要素である.

また,スピッツァー宇宙望遠鏡の 3.6, 8 µm の観測バンドを含む,強いメタンの吸収がある波長領域でのスペクトルは,炭素を含む分子の非平衡存在度に強く影響を受けることを見出した.

化学クエンチングの結果として,観測結果とは全く対照的に,3.6 µm バンドでの夜側のフラックスはより大きくなることが期待される.

一方で,4.5 µm バンドでは一酸化炭素と水による不透明度の変化がお互いに相殺されるため,予測される観測値にはほとんど影響を与えない.従って非平衡炭素化学では,観測されている 4.5 µm バンドでの低い夜側フラックスは説明できないと結論付けた.

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