忍者ブログ
日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1705.04460
Delisle et al. (2017)
Spin dynamics of close-in planets exhibiting large TTVs
(大きな TTV を示す近接惑星の自転の力学)

概要

コンパクトな軌道配置を持つ複数惑星系での,近接惑星の自転進化についての研究を行った.

近接惑星の自転周期はしばしば,潮汐散逸の影響で公転周期と同期していると仮定される.ここでは,惑星-惑星間の擾乱の影響でこれらの惑星の自転周期は非同期状態になるか,もしくはカオス的な状態になり得ることを示す.とりわけ,トランジット時刻変動 (transit timing variation, TTV) は惑星の自転の力学を研究するのに良い探査対象である.なぜなら,どちらも惑星の平均視黄経の擾乱によって支配されるからである.


このモデルを,KOI-227b とケプラー88b に適用した.これらは,どちらも強い TTV が観測されている系である.また,これらの 2 つの惑星の自転進化の数値シミュレーションを行った.その結果,KOI-227b については非同期自転が可能で,ケプラー88b は自転はカオス的になり得ることが分かった.

拍手[0回]

PR

論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1705.03887
Rajan et al. (2017)
Characterizing 51 Eri b from 1-5 μm: a partly-cloudy exoplanet
(1-5 µm でのエリダヌス座51番星b の特徴付け:部分的な雲を持つ系外惑星)

概要

エリダヌス座51番星b (51 Eridani b, 51 Eri b) の 1 - 5 µm の波長域での分光測光観測を行った.この惑星は Gemini Planet Imager Exoplanet Survey で発見された惑星であり,質量が推定 2 - 10 木星質量の惑星である.

ここでは,新しい K1 (1.90 - 2.19 µm) と K2 (2.10 - 2.40 µm) のスペクトルを Gemini Planet Imager で測定sた,また LP (3.76 µm) と 新しい MS (4.67 µm) での測光観測を NIRC2 Narrow camera を用いて行った.

観測の結果,51 Eri b の測光は,銀河系内に散在する褐色矮星よりも赤いことが分かった.また,似たスペクトル型 (T4 - T8) を持つ若い T 型矮星よりも赤い.ここでは,51 Eri b はスペクトル型が L 型から T 型へ遷移している最中の天体ではないかと提案する.


観測結果の解釈には 2 つの大気モデルを使用した.このモデルは,大気の深いところにある鉄/シリケイトの雲と,硫化物/塩の雲を含むモデルである.雲の特性として,惑星全体が完全に雲に覆われた状態から,雲なし大気,部分的/中間的な不透明度の雲を持つというパターンを想定した.

モデルのフィッティングからは,51 Eri b は有効温度が 605 - 737 K の間で,太陽組成で,表面重力は log(g) = 3.5 - 4.0 dex と推定される.また観測された 51 Eri b のスペクトルエネルギー分布を説明するためには,部分的に雲に覆われた大気を持っている必要があると示唆された

モデル大気からは,惑星の光度は log(L/Lsun) = -5.83 〜 -5.93 と推定された.そのためこの惑星は,cold-start シナリオで形成されたとする説と整合的である.Cold-start で形成されたと思われる惑星は,直接撮像で発見されている惑星の中ではこの惑星が唯一である.惑星のスペクトルエネルギー分布を warm-start モデルと比較すると,推定される惑星の光度は,コア質量が 15 - 127 地球質量の範囲で,コア降着を介して形成されたとするものでよく再現できる.

拍手[0回]


論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1705.04163
Guenther et al. (2017)
K2-106, a system containing a metal rich planet and a planet of lower density
(K2-106,金属豊富な惑星と低密度の惑星を含む系)

概要

2 - 15 地球質量の範囲にある惑星は非常に多様性がある.そのうちのいくつかは非常に低密度で,その他は非常に高密度である,惑星の質量・半径と平均密度を測定することで,その惑星の構造と組成に制約を付けることが出来る.これらのパラメータは惑星の形成や進化,特に大気散逸プロセスについての重要な情報を与える.

ここでは過去に発見されていた K2-106 まわりの 2 つのトランジット惑星の質量・半径と密度を測定した.内側の惑星は超短周期惑星で軌道周期が 0.57 日であり,外側の惑星は軌道周期が 13.3 日である.

2 つの惑星は似た質量を持っているが,その密度は大きく異なる.K2-106b は 7.69 地球質量,1.52 地球半径であり,平均密度は 12.0 (+4.8, -3.2) g cm-3 である.一方,K2-106c は 6.79 地球質量,2.59 地球半径で,比較的低密度の 2.4 (+1.6, -1.1) g cm-3 である.

この 2 つの惑星は似た質量を持っており,しかし中心星からの距離が異なるため,大気散逸を研究する良い対象である.大気散逸プロセスの理論からは,外側の惑星は水素主体の大気を持つと考えられる.内側の惑星について,質量と半径を組成モデルと比較することにより,質量の少なくとも 50%を占める鉄のコアの存在が示唆される.このような高い金属の割合は驚くべきことである.なぜなら中心星の金属量は太陽組成だからである.

ここでは,これらの普通でない惑星系の複数の形成シナリオについても議論する.

背景

K2-106 系について

K2-106 (EPIC 220674823) は,2 つのトランジット惑星を持つことが分かっている (Adams et al. 2017).内側の惑星 K2-106b は軌道周期が 0.571308 日の超短周期惑星 (ulta-short-period planet, 周期 1 日未満の惑星) である.外側の惑星 K2-106c は軌道周期が 13.341245 日である.

2 つの惑星の半径は,過去の観測ではそれぞれ 1.46 地球半径,2.53 地球半径と推定されている (Adams et al. 2017).この系は,強い輻射に晒されている超短周期惑星と,比較的中心星から距離が遠く,大気散逸率が小さいと期待される外側の惑星の 2 つを持つという,興味深い系である.

質量の測定

視線速度測定を用いて 2 つの惑星の質量を測定した.

相対的な視線速度測定は 3 箇所の装置を用いた.
1 つ目は Carnegie Planet Finder Spectrograph (PFS) で,これはチリの Las Campanas Observatory の 6.5 m Magellan/Clay Telecope のエシェル分光器に搭載されている装置である.この装置では,合計 13 のスペクトルを取得した.

2 つ目は,8 m すばる望遠鏡の High DIpsersion Spectrograph (HDS,高分散分光器) である.この装置では合計 3 つの視線速度観測を行った.

また,スペインの La Palma の Observatorio del Roque de los Muchashos にある 2.56 m Nordic Optical Telescope (NOT) の FIbre-fed Echelle Spectrograph (FIES) で 6 つの視線速度測定.

これらに加えて,2 つの装置で絶対視線速度測定も行った.
La Palma の 3.58 m Telescopio Nazionale Galileo (TNG) の HARPS-N 分光器で 12 の視線速度測定を行い,また La Silla の 3.6 m ESO telescope の HAPRS 分光器で 20 の視線速度測定を行った.

議論

K2-106b は低質量の超短周期惑星である.このようなタイプの惑星には,他に CoRoT-7b (Leger et al. 2009),55 Cnc e (かに座55番星b, Winn et al. 2011),ケプラー10b (Batalha et al. 2011),ケプラー78b (Sanchis-Ojeda et al. 2013),WASP-47e (Dai et al. 2015) がある.

他に,惑星候補としては sdB 星 (B型準矮星) の KIC 05807616 (Charpinet et al. 2011) がある.

Adams et al. (2016) では,軌道周期が 1 日未満の惑星候補をさらに 19 個リストアップしている.そのうちの 1 つ EPIC 203533312 は,軌道周期が 4.22 時間であり,これが惑星と確認された場合は,密度は 8.9 g cm-3 より大きい必要がある.

低質量の超短周期惑星は全て高密度であり,これらは基本的に裸の岩石主体惑星か,あるいはいくらか金属が豊富な組成を持っていることが示唆される.

拍手[0回]


論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1705.03491
Sinukoff et al. (2017)
K2-66b and K2-106b: Two extremely hot sub-Neptune-size planets with high densities
(K2-66b と K2-106b:2 つの高密度の極めて高温なサブネプチューンサイズ惑星)

概要

2 つの極めて高温なサブネプチューンサイズの惑星の,詳細な質量と密度の測定について報告する.測定には,視線速度観測,ケプラー K2 による測光観測,および補償光学を用いた撮像観測を行った.

K2-66 は,近接した軌道にサブネプチューンサイズ (2.49 地球半径) の惑星 K2-66b を持つ.この惑星の質量は 21.3 地球質量であった.中心星は準巨星枝 (sub-giant branch) に進化している最中であるため惑星は高いレベルの放射を受けており,受けている日射量は中心星が主系列の段階のおおよそ 2 倍である.

K2-66b はおそらく,いわゆる “photoevaporation desert” の中に位置している.これは,惑星サイズと入射フラックスにおける,ほとんど惑星が存在しないパラメータ領域のことである.

惑星の質量と半径からは,せいぜい < 5% の僅かな量のエンベロープを持つことが示唆され,おそらくエンベロープが無い惑星であろうと考えられる.そのためこの惑星は,大量のエンベロープを持たない惑星の中では最も大きいものの一つである.

K2-106 は超短周期の惑星 K2-106b を持ち,軌道周期は 13.7 時間である.この惑星は,これまでに発見されている中で最も高温なサブネプチューンサイズの惑星のうちの一つである.惑星の半径は 1.82 地球半径,質量は 9.0 地球質量であり.岩石組成と整合的である.これは,その他の小型の超短周期惑星のうち質量がよく測定されているものと同様の傾向である.

K2-106 はより大きな長周期の惑星を持つ.この惑星は半径が 2.77 地球半径,軌道周期は 13.3 日である.質量は 99.7%の確度で 24.4 地球質量未満である.これら 2 つの惑星は,極端な輻射の環境での惑星の物理を探る良い対象である.

K2-66b と K2-106b の密度が高いという事実は,このような極端な環境では一定量のガスエンベロープを保持しておくことが困難であるという事を反映している.

イントロ

惑星の平均密度と組成

太陽類似の恒星のおよそ 3 分の 1 が,軌道周期 100 日未満の,地球から海王星の間のサイズの惑星 ("sub-Neptunes”) を持っている (Howard et al. 2012など).

これまでに発見されているサブネプチューンのほとんどは,初期のケプラーミッション (2009-2013) で発見されている.ケプラーでは多数の惑星の半径を測定しているが,サブネプチューンを持つ恒星のうちのわずかなものだけが,現在の視線速度法での質量測定のための十分な明るさを持っているため,惑星の質量はあまりよく分かっていない.

その他の惑星の質量はトランジット時刻変動 (transit timing variation, TTV) で測定されている (Holman & Murray 2005など).ただしこの技術はコンパクトで複数の惑星を持つ系のみにしか使えない.

惑星の質量と半径がわかると,その惑星の平均密度が得られる.惑星の密度は,全体の組成と惑星形成の歴史を知るのに重要な情報である.1.6 地球半径程度より小さい惑星は主に岩石主体.それより大きい惑星は低い密度を持っており,水素・ヘリウムの広がったエンベロープか,その他の低密度の揮発性物質を持つと考えられる (Weiss & Marcy 2014など).

光蒸発砂漠と超短周期惑星

惑星の全体の組成は温度の依存性を持つと思われるが,まだ完全には分かっていない.

最近の研究では,惑星の存在頻度の半径と温度の関数について興味が持たれている.ケプラーミッションでは,10 日未満の短周期の軌道 では,2-4 地球半径の惑星の存在頻度が有意に少ないことが指摘されている (Howard et al. 2012など).また,星震学を用いた中心星の特徴付けを元に,地球の 650 倍よりも大きい日射量を受けている環境では,2.2 - 3.8 地球半径の惑星は完全に欠乏していることも指摘されている(Lundkvist et al. 2016).このサイズと温度の領域にいる惑星は光蒸発でエンベロープを失うため,この惑星の欠乏領域は “photoevaporation desert” (光蒸発砂漠) と呼ばれている (Owen & Wu 2013).

その他の小型惑星のレアなサブクラスとしては,軌道周期が 1 日未満の “ultra-short-period” 惑星 (超短周期惑星) と呼ばれるものがある.これらは太陽型星の周りに ~ 1% 程度の頻度で存在する (Sanchis-Ojeda et al. 2014).

超短周期惑星がどのように形成されて現在の軌道にいるのかは不明だが,幾つかの観測的な示唆はある.超短周期惑星を持つ系は他にも惑星を持っており,惑星形成や惑星移動の過程でその惑星の影響があったかもしれない.

また,Sanchis-Ojeda et al. (2014) によると,~ 1.4 地球半径よりも大きい超短周期惑星は急激にその個数が減少し,2.0 地球半径より大きいものは完全に欠乏している.Lopez (2016) では,2 - 4 地球半径の超短周期惑星の欠乏は,それらが元々水に乏しい水素・ヘリウムエンベロープを持つ惑星として形成され,その後光蒸発でエンベロープを失った結果であると提案している.

K2-66b と K2-106b

今回観測対象としたのは,K2-66 系と K2-106 系の 2 つである.

K2-66 (EPIC 206153219) はスペクトル型が G1 の準巨星である.K2 ミッションの Campaign 3 で観測された恒星である.この恒星は,photoevaporation desert 内にあるサブネプチューンを持つ.

K2-106 (EPIC 220674823) は G 型星で,K2 ミッションの Campaign 8 で観測された.この恒星は 2 つのトランジットするサブネプチューンを持ち,そのうちの一つ K2-106b は超短周期惑星である.

K2-66b は Vanderburg et al. (2015) により惑星候補として報告され,その後 Crossfield et al. (2016) によって統計的に確認された.K2-106 の 2 つの惑星は Adams et al. (2016) によって報告,確認された.

拍手[0回]


論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1705.01553
Dosopoulou et al. (2017)
Roche-lobe overflow in eccentric planet-star systems
(軌道離心率の大きい惑星-恒星系でのロッシュローブオーバーフロー)

概要

多くの巨大系外惑星はロッシュ限界に近く,やや軌道離心率の大きな軌道を持つ.ここでは,このような惑星がロッシュローブオーバーフロー (Roche lobe overflow) によってどのような運命をたどるかについての研究を行った.

ここでのモデル化では,惑星の軌道離心率と惑星の自転の非同時性なども考慮する.弾道限界における損失した質量の軌道を計算するために,3 体計算を直接計算.そして考えられる帰結について調査した.

その結果,ラグランジュ点 L1 点を通過した質量が辿る結果として,3 種類の異なる結果を発見した.
(i) 惑星による自己降着
(ii) 恒星表面への直接衝突
(iii) 恒星の周りの円盤形成

の 3 種類である.

この 3 つのレジームについてパラメータサーチを行った.その結果,e ≦ 0.2 の低い軌道離心率では,惑星からの質量のオーバーフローはほとんどの系で円盤形成を起こす結果となった.また,高い軌道離心率を持つ軌道か逆行軌道の場合は,自己降着が唯一の可能性であった.

そのため,過去の研究でしばしば仮定されていた,惑星のロッシュローブを超えた質量はすぐに壊されて中心星に降着するという仮定は,常に有効ではないことが指摘される

拍手[0回]