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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1810.11060
Hamers & Portegies Zwart (2018)
Catching a planet: A tidal capture origin for the exomoon candidate Kepler 1625b I
(惑星を捕獲する:系外衛星候補ケプラー1625b I の潮汐捕獲起源)
ここでは,若い系での二番目の惑星の潮汐捕獲によってこの系において観測されている特徴を説明できることを示す.捕獲後に潮汐円軌道化の急速なフェーズを経験した後,初期は 40 惑星半径よりもずっと近い位置にあった衛星の軌道は,軌道と惑星の自転の潮汐同期により徐々に拡大し,同期した惑星-衛星系を形成することが出来る.興味深いことに,このシナリオでは捕獲された天体はもともと海王星のような惑星であり,捕獲によって衛星に変わったと考えられる.
2. 捕獲:力学的不安定のフェーズの間,軽い方の惑星 (以降「衛星」と呼ぶ) はより重い惑星に接近し,捕獲を開始する強い潮汐遭遇を引き起こす距離まで接近する.
3. 円軌道化:捕獲直後の衛星の軌道は,軌道長半径が大きく軌道離心率も大きい (しかし惑星のヒル半径よりは内側の) 軌道になる.その後,潮汐散逸により離心率が減衰し軌道が円軌道化される.
4. 同期:惑星の自転角運動量が徐々に衛星の軌道角運動量へと輸送され,惑星の自転と衛星の公転が同期した状態に至るまで衛星の軌道が拡大する.
まず 2 つの惑星が低エネルギーの双曲線か放物線の軌道に至り,お互いの 惑星半径+衛星半径 の 2.5 倍程度以内の距離を通過する.この遭遇の際に潮汐散逸が発生し,小さい方の惑星が主惑星に捕獲され,衛星となる.
最初の潮汐遭遇で高軌道離心率で大きな軌道半径を持った軌道となり,捕獲が成功するためには,捕獲時点での衛星軌道の遠点は,惑星のヒル球の中に残っている必要がある.その後軌道は 10 年程度以内で円軌道化され,近接した軌道へと変化する.
その後のより長い十億年程度のタイムスケールで,主惑星は潮汐力を介して自転角運動量を衛星の軌道角運動量に移し,惑星の自転と衛星の公転が同期するまで衛星の軌道が拡大する.現在の軌道と整合的な状態に持っていくために十分な角運動量を衛星に与えるためには,臨界自転速度の少なくとも 40% 程度の初期自転を持っていた必要がある.
現在の軌道進化は非常にゆっくりで,惑星と衛星はほぼ軌道と同期していると予想される.
このような捕獲は恐らく珍しいことではなく,惑星同士の衝突の 2 倍程度の頻度で発生する.しかし,この過程が働く正確な確率はは依然として不明である.潮汐捕獲による衛星形成自体は珍しくはないことが期待される (Ochiai et al. 2014参照).
惑星-衛星系を現在の軌道で同期させるための潮汐散逸の大きさを考えると,捕獲は十億年以上前の,惑星系の進化の初期段階で発生している必要がある.このシナリオは,惑星と衛星の両方の自転を測定することで検証可能.これは軌道と同期しているはずで,惑星-衛星系の軌道角運動量と同じ軸であるはずである.
arXiv:1810.11060
Hamers & Portegies Zwart (2018)
Catching a planet: A tidal capture origin for the exomoon candidate Kepler 1625b I
(惑星を捕獲する:系外衛星候補ケプラー1625b I の潮汐捕獲起源)
概要
17.2 木星質量の惑星ケプラー1625b の周りに発見が報告されている海王星サイズの系外衛星は,まだ存在は確認されてはいないが,系の形成に対して興味深い制約を与える.特に,推定される衛星の軌道が 40 惑星半径程度という比較的大きな値であることから,これを既存の惑星形成理論で整合的に説明するのは難しい.ここでは,若い系での二番目の惑星の潮汐捕獲によってこの系において観測されている特徴を説明できることを示す.捕獲後に潮汐円軌道化の急速なフェーズを経験した後,初期は 40 惑星半径よりもずっと近い位置にあった衛星の軌道は,軌道と惑星の自転の潮汐同期により徐々に拡大し,同期した惑星-衛星系を形成することが出来る.興味深いことに,このシナリオでは捕獲された天体はもともと海王星のような惑星であり,捕獲によって衛星に変わったと考えられる.
衛星形成シナリオ
1. 軌道移動と散乱:2 つの惑星が原始惑星系円盤の中にあり,類似した軌道に向かって移動して,力学的不安定な短寿命のフェーズが発生する.2. 捕獲:力学的不安定のフェーズの間,軽い方の惑星 (以降「衛星」と呼ぶ) はより重い惑星に接近し,捕獲を開始する強い潮汐遭遇を引き起こす距離まで接近する.
3. 円軌道化:捕獲直後の衛星の軌道は,軌道長半径が大きく軌道離心率も大きい (しかし惑星のヒル半径よりは内側の) 軌道になる.その後,潮汐散逸により離心率が減衰し軌道が円軌道化される.
4. 同期:惑星の自転角運動量が徐々に衛星の軌道角運動量へと輸送され,惑星の自転と衛星の公転が同期した状態に至るまで衛星の軌道が拡大する.
シナリオの検証
解析的な議論と数値計算から,上記のシナリオを検証する.まず 2 つの惑星が低エネルギーの双曲線か放物線の軌道に至り,お互いの 惑星半径+衛星半径 の 2.5 倍程度以内の距離を通過する.この遭遇の際に潮汐散逸が発生し,小さい方の惑星が主惑星に捕獲され,衛星となる.
最初の潮汐遭遇で高軌道離心率で大きな軌道半径を持った軌道となり,捕獲が成功するためには,捕獲時点での衛星軌道の遠点は,惑星のヒル球の中に残っている必要がある.その後軌道は 10 年程度以内で円軌道化され,近接した軌道へと変化する.
その後のより長い十億年程度のタイムスケールで,主惑星は潮汐力を介して自転角運動量を衛星の軌道角運動量に移し,惑星の自転と衛星の公転が同期するまで衛星の軌道が拡大する.現在の軌道と整合的な状態に持っていくために十分な角運動量を衛星に与えるためには,臨界自転速度の少なくとも 40% 程度の初期自転を持っていた必要がある.
現在の軌道進化は非常にゆっくりで,惑星と衛星はほぼ軌道と同期していると予想される.
このような捕獲は恐らく珍しいことではなく,惑星同士の衝突の 2 倍程度の頻度で発生する.しかし,この過程が働く正確な確率はは依然として不明である.潮汐捕獲による衛星形成自体は珍しくはないことが期待される (Ochiai et al. 2014参照).
惑星-衛星系を現在の軌道で同期させるための潮汐散逸の大きさを考えると,捕獲は十億年以上前の,惑星系の進化の初期段階で発生している必要がある.このシナリオは,惑星と衛星の両方の自転を測定することで検証可能.これは軌道と同期しているはずで,惑星-衛星系の軌道角運動量と同じ軸であるはずである.
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