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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1509.05609
Southworth et al. (2015)
Larger and faster: revised properties and a shorter orbital period for the WASP-57 planetary system from a pro-am collaboration
(プロ・アマ共同観測によるWASP-57の惑星系の改訂された物理量と短い軌道周期)
アマチュア望遠鏡での観測による 10回のトランジットと、プロの設備を用いた 13回のトランジットの光度曲線を解析し、系の特徴の再決定を行った。
また、高分解能の撮像観測を行い、この系には未発見の伴星は存在しないことも確認した。
観測結果の解析から、このWASP-57bの発見論文での値よりも軌道周期は 4.5秒短いという結果を得た。
この結果は、予測されていたよりも早いトランジットを説明するものである。
また、恒星・惑星共に、過去の観測によるものより大きく、軽い値を得た。
さらに惑星の半径と質量から、重元素のコアを持たないとする惑星の理論モデルと一致した。
これは中心星の金属量が太陽よりもずっと小さいことからも予想される結果である。
また、異なる波長でのトランジットから、WASP-57bの大気特性に対する制限も試みた。
得られたデータからは、原理的には大気特性を制限することが出来るが、実際には出来なかった。
質量:0.886太陽質量
半径:0.927太陽半径
平均密度:太陽の 1.113倍
発見報告論文では、0.964太陽質量、0.835太陽半径、平均密度が太陽の 1.638倍というものであり、質量は下方修正、半径は上方修正された。
・WASP-47b
質量:0.644木星質量
半径:1.050木星半径
平均密度:木星の 0.521倍
有効温度:1338 K
軌道長半径:0.03769 AU
発見報告論文では、0.672木星質量、0.916木星半径、平均密度が木星の 0.873倍というものであり、こちらも質量は下方修正、半径は上方修正された。
この中では、Fortney et al. (2007)の内部構造のモデルを用いて、WASP-47bは 50地球質量のコアを持つと予想されている。
中心星は金属量が非常に少ない恒星であり ([Fe/H] = -0.25)、このような重いコアを持つことは驚きの結果であった。
今回の観測では平均密度も下方修正されたため、結果もこれに密接に関係している。
Baraffe et al. (2008)の理論モデルを参照にした。
このモデルでは、 0.97 - 1.06木星半径、0.5 - 1.0木星質量、年齢が 0.5 - 5 Gyrのガス惑星に対する理論を提示しており、WASP-47bはこの範囲に入っている。
理論モデルと観測によって決定された物理量の比較から、高い金属量や重元素コアの存在を強くは支持しない結果となった。
太陽系外惑星のパラメータを決める観測においても、プロとアマチュアの連携が行われているようです。
いわゆるホットジュピタークラスの系外惑星の場合は、アマチュアレベルでも十分トランジットが観測できるようですが、物理量の決定に資することが出来るほどの観測が行われているという事は初めて知りました。
arXiv:1509.05609
Southworth et al. (2015)
Larger and faster: revised properties and a shorter orbital period for the WASP-57 planetary system from a pro-am collaboration
(プロ・アマ共同観測によるWASP-57の惑星系の改訂された物理量と短い軌道周期)
概要
WASP-57系でのトランジットが、予測されていたよりも 30分程度早く発生した。アマチュア望遠鏡での観測による 10回のトランジットと、プロの設備を用いた 13回のトランジットの光度曲線を解析し、系の特徴の再決定を行った。
また、高分解能の撮像観測を行い、この系には未発見の伴星は存在しないことも確認した。
観測結果の解析から、このWASP-57bの発見論文での値よりも軌道周期は 4.5秒短いという結果を得た。
この結果は、予測されていたよりも早いトランジットを説明するものである。
また、恒星・惑星共に、過去の観測によるものより大きく、軽い値を得た。
さらに惑星の半径と質量から、重元素のコアを持たないとする惑星の理論モデルと一致した。
これは中心星の金属量が太陽よりもずっと小さいことからも予想される結果である。
また、異なる波長でのトランジットから、WASP-57bの大気特性に対する制限も試みた。
得られたデータからは、原理的には大気特性を制限することが出来るが、実際には出来なかった。
WASP-57系のパラメータ
物理量
・WASP-47質量:0.886太陽質量
半径:0.927太陽半径
平均密度:太陽の 1.113倍
発見報告論文では、0.964太陽質量、0.835太陽半径、平均密度が太陽の 1.638倍というものであり、質量は下方修正、半径は上方修正された。
・WASP-47b
質量:0.644木星質量
半径:1.050木星半径
平均密度:木星の 0.521倍
有効温度:1338 K
軌道長半径:0.03769 AU
発見報告論文では、0.672木星質量、0.916木星半径、平均密度が木星の 0.873倍というものであり、こちらも質量は下方修正、半径は上方修正された。
重元素量・コア質量
発見報告論文は Fardi et al. (2013)である。この中では、Fortney et al. (2007)の内部構造のモデルを用いて、WASP-47bは 50地球質量のコアを持つと予想されている。
中心星は金属量が非常に少ない恒星であり ([Fe/H] = -0.25)、このような重いコアを持つことは驚きの結果であった。
今回の観測では平均密度も下方修正されたため、結果もこれに密接に関係している。
Baraffe et al. (2008)の理論モデルを参照にした。
このモデルでは、 0.97 - 1.06木星半径、0.5 - 1.0木星質量、年齢が 0.5 - 5 Gyrのガス惑星に対する理論を提示しており、WASP-47bはこの範囲に入っている。
理論モデルと観測によって決定された物理量の比較から、高い金属量や重元素コアの存在を強くは支持しない結果となった。
太陽系外惑星のパラメータを決める観測においても、プロとアマチュアの連携が行われているようです。
いわゆるホットジュピタークラスの系外惑星の場合は、アマチュアレベルでも十分トランジットが観測できるようですが、物理量の決定に資することが出来るほどの観測が行われているという事は初めて知りました。
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