×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1812.01624
Millholland & Laughlin (2018)
Obliquity Tides May Drive WASP-12b's Rapid Orbital Decay
(自転軸潮汐が WASP-12b の急速な軌道崩壊を駆動している可能性)
動力学的な恒星潮汐を起こしているという可能性はあり得るが,その場合は中心星 WASP-12 が準巨星のような構造を持っている必要がある.一方で恒星モデルは中心星は主系列段階であることを示しており,準巨星であるとは考えられない.
ここでは,惑星 WASP-12b の自転ベクトルが,発見されていない外側の擾乱惑星との永年自転軌道共鳴によって維持される高自転軸傾斜角状態に捕獲されている場合,惑星の自転軸潮汐によって軌道の減衰が説明できることを示す.
このシナリオに則って様々なパラメータに対して制約を与え,惑星の自転軸は 50° 以上,低下した潮汐の Q 値は 106 - 107 と推定される.また外側で WASP-12b に擾乱を与えている惑星は,10-20 地球質量,軌道長半径 0.04 AU 程度以下とすると,観測されている WASP-12b の軌道崩壊を説明可能である.
直接 N 体計算で潮汐と自転力学を入れた場合も,このシナリオに信頼性があることを示した.さらに,WASP-12b の傾きが小さい時にこの共鳴に捕獲される可能性があることを示し,これは提案された一連の事象を説明しやすくする.
仮説上の外側の擾乱惑星は,この系における現在の視線速度観測からの制約の範囲内にあるが,現在の技術で検出可能でもある.もし存在したとすると,ホットジュピターのその場形成仮説に有利な証拠となる可能性がある.
しかし,外側の駆動天体によって軌道離心率と自転軸傾斜角がゼロではない値に維持されていた場合,潮汐散逸は継続できる.惑星の軌道エネルギーが潮汐を介して熱に変換される割合は,自転軸傾斜角の強い増加関数となる.
arXiv:1812.01624
Millholland & Laughlin (2018)
Obliquity Tides May Drive WASP-12b's Rapid Orbital Decay
(自転軸潮汐が WASP-12b の急速な軌道崩壊を駆動している可能性)
概要
大きく膨張した半径を持つホットジュピター WASP-12b の軌道周期は急速に減衰していることが分かっている.しかしこの減衰の割合は,離心率潮汐や平衡恒星潮汐で説明するには速すぎる.動力学的な恒星潮汐を起こしているという可能性はあり得るが,その場合は中心星 WASP-12 が準巨星のような構造を持っている必要がある.一方で恒星モデルは中心星は主系列段階であることを示しており,準巨星であるとは考えられない.
ここでは,惑星 WASP-12b の自転ベクトルが,発見されていない外側の擾乱惑星との永年自転軌道共鳴によって維持される高自転軸傾斜角状態に捕獲されている場合,惑星の自転軸潮汐によって軌道の減衰が説明できることを示す.
このシナリオに則って様々なパラメータに対して制約を与え,惑星の自転軸は 50° 以上,低下した潮汐の Q 値は 106 - 107 と推定される.また外側で WASP-12b に擾乱を与えている惑星は,10-20 地球質量,軌道長半径 0.04 AU 程度以下とすると,観測されている WASP-12b の軌道崩壊を説明可能である.
直接 N 体計算で潮汐と自転力学を入れた場合も,このシナリオに信頼性があることを示した.さらに,WASP-12b の傾きが小さい時にこの共鳴に捕獲される可能性があることを示し,これは提案された一連の事象を説明しやすくする.
仮説上の外側の擾乱惑星は,この系における現在の視線速度観測からの制約の範囲内にあるが,現在の技術で検出可能でもある.もし存在したとすると,ホットジュピターのその場形成仮説に有利な証拠となる可能性がある.
Obliquity tide について
潮汐トルクは,惑星の自転と公転を同期させようという方向に働く.また潮汐は惑星の軌道離心率と自転軸傾斜角をゼロに減衰させようとする方向に働く.しかし,外側の駆動天体によって軌道離心率と自転軸傾斜角がゼロではない値に維持されていた場合,潮汐散逸は継続できる.惑星の軌道エネルギーが潮汐を介して熱に変換される割合は,自転軸傾斜角の強い増加関数となる.
PR
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック