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天文・宇宙物理関連メモ vol.1110 Gandolfi et al. (2019) および Dumusque et al. (2019) 等質量で半径ギャップの反対側にあるサブネプチューンを持つ惑星系 HD 15337
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1903.05623
Gandolfi et al. (2019)
The transiting system HD 15337: a pair of nearly equal-mass sub-Neptunes on opposite sides of the radius gap
(トランジット系 HD 15337:半径ギャップの反対側にあるほぼ等質量のサブネプチューンのペア)
中心星は明るい (V = 9) K1V 星であり,Transiting Exoplanet Survey Satellite (TESS) の Sector 3, 4 で観測された.TESS の測光観測結果を過去の HARPS で取得されたスペクトルと合わせ,トランジットシグナルが惑星由来であることを確認し,2 つのトランジット惑星の質量を導出した.
HD 15337b は軌道周期が 4.8 日,7.63 地球質量,1.585 地球半径であり,発見数が増えている岩石の地球型組成を持つことが知られている惑星の一員である.
HD 15337c は軌道周期が 17.2 日,7.37 地球質量,2.309 地球半径であり,厚い大気エンベロープに覆われているであろうことを示唆している.
2 つの惑星は実質的には同じ質量を持ち,発見されている系外惑星の半径ギャップ (発見数が少ないパラメータ) のそれぞれ反対側に位置しているため,惑星形成と進化の理論の検証を行う研究対象として優れている.
HD 15337c が水素主体のエンベロープを持つと仮定し,最近開発されたベイズフレームワークでの大気進化アルゴリズムを採用して,中心星の高エネルギー放射の歴史を推定した.その結果 1 億 5000 万年の時点で現在の太陽の 1.5 倍と 93 倍の間のエネルギー放射をしていたと結論付けた.
等級:V = 9.184
質量:0.90 太陽質量
半径:0.856 太陽半径
有効温度:5125 K
金属量:[Fe/H] = 0.15
年齢:51 億年
質量:7.63 地球質量
半径:1.585 地球半径
密度:10.5 g cm-3
軌道長半径:0.0535 AU
平衡温度:989 K (アルベドゼロ,一様な熱の再分配を仮定した場合)
質量:7.37 地球質量
半径:2.309 地球半径
密度:3.3 g cm-3
軌道長半径:0.1261 AU
平衡温度:644 K (アルベドゼロ,一様な熱の再分配を仮定した場合)
arXiv:1903.05419
Dumusque et al. (2019)
A hot rocky and a warm puffy super-Earth orbiting TOI-402 (HD 15337)
(TOI-402 (HD 15337) を公転する高温の岩石スーパーアースと温暖なパフィースーパーアース)
この恒星に,2 つのトランジット惑星が発見された,それぞれ軌道周期 4.76 日で 1.90 地球半径,17.18 日で 2.21 地球半径である.この恒星は HARPS 分光器での惑星探査のための視線速度の一部で観測されており,85 回の詳細な視線速度測定が TESS の打ち上げの前から,14 年間にわたって行われてきた.
ここでは HARPS の視線速度の測定結果を解析し,TESS で検出された 2 つのトランジットシグナルが惑星由来のものであることを確認した.
この恒星は太陽に似た恒星活動水準であり,磁気サイクルによるシグナルが惑星と似た強度で存在しており,視線速度測定は恒星活動に影響を受ける.HARPS の視線速度中に見られるこの恒星活動のモデル化から,TOI-402.01 と 02 が惑星由来のトランジットシグナルであることを確認できた.また,視線速度のデータから 2 つの惑星の軌道要素の精密な推定を行った.
TOI-402.01 は軌道周期 4.75642 日,半径が 1.70 地球半径であり,この半径決定は 3.6% の精度である.
TOI-402.02 は軌道周期 17.1784 日,半径が 2.52 地球半径であり,こちらは 4.2% の精度である.
HARPS の視線速度測定の解析から,これらの惑星はスーパーアースであり,それぞれ 7.20 地球質量と 8.79 地球質量 (11.3%,19.0% の精度) で,2σ の信頼度で 0 と整合的な小さい離心率を持つ.
この 2 つの惑星は同程度の質量を持っているが半径は非常に異なり,半径ギャップの反対側に位置する.地球への輻射量と比較すると,.01 は 160 倍である一方で .02 は 29 倍に過ぎず,この半径の違いは光蒸発に起因する可能性がある.
この 2 惑星は同じ惑星系にあり,従って同じ輻射環境であったと考えられる.そのため,光蒸発による半径ギャップを超えた比較系外惑星の研究を行うのに非常に重要な対象であり,それにより半径ギャップの形成を担う機構を制限できるだろう.
等級:V = 9.09
スペクトル型:K1V
有効温度:5131 K
金属量:[Fe/H] = 0.03
質量:0.851 太陽質量
半径:0.839 太陽半径
光度:0.472 太陽光度
年齢:75 億歳
自転周期:36.55 日
半径:1.699 地球半径
軌道長半径:0.05254 AU
平衡温度:1006 K
質量:7.20 地球質量
軌道離心率:0.17
半径:2.522 地球半径
軌道長半径:0.1235 AU
平衡温度:656.1 K
質量:8.79 地球質量
軌道離心率:0.19
arXiv:1903.05623
Gandolfi et al. (2019)
The transiting system HD 15337: a pair of nearly equal-mass sub-Neptunes on opposite sides of the radius gap
(トランジット系 HD 15337:半径ギャップの反対側にあるほぼ等質量のサブネプチューンのペア)
概要
HD 15337 (TOI-402, TIC 120896927) をトランジットする 2 つの小さい惑星の発見について報告する.中心星は明るい (V = 9) K1V 星であり,Transiting Exoplanet Survey Satellite (TESS) の Sector 3, 4 で観測された.TESS の測光観測結果を過去の HARPS で取得されたスペクトルと合わせ,トランジットシグナルが惑星由来であることを確認し,2 つのトランジット惑星の質量を導出した.
HD 15337b は軌道周期が 4.8 日,7.63 地球質量,1.585 地球半径であり,発見数が増えている岩石の地球型組成を持つことが知られている惑星の一員である.
HD 15337c は軌道周期が 17.2 日,7.37 地球質量,2.309 地球半径であり,厚い大気エンベロープに覆われているであろうことを示唆している.
2 つの惑星は実質的には同じ質量を持ち,発見されている系外惑星の半径ギャップ (発見数が少ないパラメータ) のそれぞれ反対側に位置しているため,惑星形成と進化の理論の検証を行う研究対象として優れている.
HD 15337c が水素主体のエンベロープを持つと仮定し,最近開発されたベイズフレームワークでの大気進化アルゴリズムを採用して,中心星の高エネルギー放射の歴史を推定した.その結果 1 億 5000 万年の時点で現在の太陽の 1.5 倍と 93 倍の間のエネルギー放射をしていたと結論付けた.
パラメータ
HD 15337
別名:TOI-402,TIC 120896927等級:V = 9.184
質量:0.90 太陽質量
半径:0.856 太陽半径
有効温度:5125 K
金属量:[Fe/H] = 0.15
年齢:51 億年
HD 15337b
軌道周期:4.756216 日質量:7.63 地球質量
半径:1.585 地球半径
密度:10.5 g cm-3
軌道長半径:0.0535 AU
平衡温度:989 K (アルベドゼロ,一様な熱の再分配を仮定した場合)
HD 15337c
軌道周期:17.17753 日質量:7.37 地球質量
半径:2.309 地球半径
密度:3.3 g cm-3
軌道長半径:0.1261 AU
平衡温度:644 K (アルベドゼロ,一様な熱の再分配を仮定した場合)
arXiv:1903.05419
Dumusque et al. (2019)
A hot rocky and a warm puffy super-Earth orbiting TOI-402 (HD 15337)
(TOI-402 (HD 15337) を公転する高温の岩石スーパーアースと温暖なパフィースーパーアース)
概要
The Transiting Exoplanet Survey Satellite (TESS) は,Sector 3, 4 の期間中に TOI-402 (TIC-120896927) を観測した.この恒星は V = 9.1 の明るい K1 矮星であり,HD 15337 としても知られてりう.この恒星に,2 つのトランジット惑星が発見された,それぞれ軌道周期 4.76 日で 1.90 地球半径,17.18 日で 2.21 地球半径である.この恒星は HARPS 分光器での惑星探査のための視線速度の一部で観測されており,85 回の詳細な視線速度測定が TESS の打ち上げの前から,14 年間にわたって行われてきた.
ここでは HARPS の視線速度の測定結果を解析し,TESS で検出された 2 つのトランジットシグナルが惑星由来のものであることを確認した.
この恒星は太陽に似た恒星活動水準であり,磁気サイクルによるシグナルが惑星と似た強度で存在しており,視線速度測定は恒星活動に影響を受ける.HARPS の視線速度中に見られるこの恒星活動のモデル化から,TOI-402.01 と 02 が惑星由来のトランジットシグナルであることを確認できた.また,視線速度のデータから 2 つの惑星の軌道要素の精密な推定を行った.
TOI-402.01 は軌道周期 4.75642 日,半径が 1.70 地球半径であり,この半径決定は 3.6% の精度である.
TOI-402.02 は軌道周期 17.1784 日,半径が 2.52 地球半径であり,こちらは 4.2% の精度である.
HARPS の視線速度測定の解析から,これらの惑星はスーパーアースであり,それぞれ 7.20 地球質量と 8.79 地球質量 (11.3%,19.0% の精度) で,2σ の信頼度で 0 と整合的な小さい離心率を持つ.
この 2 つの惑星は同程度の質量を持っているが半径は非常に異なり,半径ギャップの反対側に位置する.地球への輻射量と比較すると,.01 は 160 倍である一方で .02 は 29 倍に過ぎず,この半径の違いは光蒸発に起因する可能性がある.
この 2 惑星は同じ惑星系にあり,従って同じ輻射環境であったと考えられる.そのため,光蒸発による半径ギャップを超えた比較系外惑星の研究を行うのに非常に重要な対象であり,それにより半径ギャップの形成を担う機構を制限できるだろう.
パラメータ
TOI-402 (HD 15337)
距離:44.86 pc等級:V = 9.09
スペクトル型:K1V
有効温度:5131 K
金属量:[Fe/H] = 0.03
質量:0.851 太陽質量
半径:0.839 太陽半径
光度:0.472 太陽光度
年齢:75 億歳
自転周期:36.55 日
TOI-402.01 (HD 15337b)
軌道周期:4.75642 日半径:1.699 地球半径
軌道長半径:0.05254 AU
平衡温度:1006 K
質量:7.20 地球質量
軌道離心率:0.17
TOI-402.02 (HD 15337c)
軌道周期:17.1784 日半径:2.522 地球半径
軌道長半径:0.1235 AU
平衡温度:656.1 K
質量:8.79 地球質量
軌道離心率:0.19
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