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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1903.09151
MacDonald & Madhusudhan (2019)
The Metal-Rich Atmosphere of the Neptune HAT-P-26b
(海王星型惑星 HAT-P-26b の金属豊富な大気)

概要

透過光分光観測は,数多くの巨大系外惑星の大気中の H2O 存在度の詳細な測定を可能にしている.ホットジュピターでは,水の存在度を金属量と結び付けることで惑星の形成環境を探る強力なツールとなる.しかし,海王星質量の系外惑星の金属量測定はわずかな例しか行われていない.

海王瀬質量の系外惑星は,水が豊富な,そして固体成分が豊富な微惑星の降着によって,太陽を超える金属量を持つと考えられる.しかし系外海王星型惑星 HAT-P-26b の初期探査では,惑星形成のコア降着理論から予測される金属量,および天王星や海王星の値から期待される金属量よりも有意に低い金属量であることが示唆されている.

ここでは全ての利用可能な観測データを組み合わせ,HAT-P-26b の徹底した大気復元解析を行った.この解析は,惑星大気の組成,温度構造,雲の特性を解き明かすことを目的としている.

その結果,この惑星の大気の水蒸気含有率は 1.5 (+2.1, -0.9)%,O/H 比は太陽の値の 18.1 (+25.9, -11.3) 倍,C/O 比は < 0.33 (2σ の上限値) と推定された.今回の改定された金属量は,系外海王星型惑星に対して報告された中では現時点で最も正確なものである.

この結果は,大量の微惑星降着を伴う形成過程で形成されたことを示唆しているが,海王星と天王星の金属量よりは低い.

また 4.1σ の信頼度で水素化金属が存在する兆候も報告された.考えられる候補物質は,TiH (3.6σ),CrH (2.1),ScH (1.8σ) である.
推定される平衡温度 563 K で水素化金属を気相に保っておくためには,強い非平衡な化学過程か,外部からの供給が必要である.

最後に,将来のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 (James Webb Space Telescope, JWST) での観測をシミュレーションした.現在の観測と整合的な大気組成であることを仮定すると,水蒸気は 20σ,メタンは 5.2σ,二酸化炭素は 13σ,一酸化炭素は 3.7σ で検出できると予測される.そのため,金属量と C/O 比の測定値を 0.2 dex と 0.35 dex 改善できることが期待される.
また,JWST の NIRISS を用いた観測で,いくつかの水素化金属を 5σ 以上の信頼度で検出できるだろう.

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