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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1903.09157
Reichert et al. (2019)
Precise radial velocities of giant stars. XII. Evidence against the proposed planet Aldebaran b
(巨星の精密な視線速度 XII.提案されている惑星アルデバランb への反証)

概要

K 型巨星アルデバラン (α Tau) の視線速度変動は,1990 年代前半に初めて存在が報告された.その後の解析では,視線速度の変動は ~629 日周期で,数木星質量の惑星によって引き起こされると解釈されてきた.

ここでは,アルデバラン周りに系外惑星アルデバランb が存在するという仮説についてさらなる調査を行った.
リック天文台の 165 セットの新しい視線速度測定と,7 つの既に公開されたデータセットを合わせ,373 セットの視線速度測定結果を得た.

これらの観測データの統計的な解析を実行し,視線速度にケプラーモデルがよく合うかどうかを調査した.また仮説上の 2 つの惑星の解の力学的な安定性解析を行った.さらに,観測された視線速度変動の原因として,振動星の対流モードに起因するという可能性について議論した.


視線速度データへの最も良いケプラーフィットでは,仮説上の惑星の周期は過去に報告されているよりも短く (607 日),また大きい軌道離心率 (0.33) を得た.しかし,そのフィットの後の視線速度の残差は依然として大きく,標準偏差は 117 m s-1 であった.

2006〜2007 年には,620 日程度の周期の統計的検出力が,一時的だが有意な減少を見せた.検出力の増加を年代の逆順にプロットすると,最新のデータ中には 620 日程度の周期が明確に存在するが,2006 年頃以前に取得されたデータでは存在しなかった.さらに,視線速度データと軌道の解の間にある見かけの位相のずれが特定の段階で観測可能である.

2 つの惑星を仮定したケプラーフィットは,単一の惑星を仮定した解よりもずっとよく一致するが,この場合は深刻な力学的安定性の問題を抱えている.

リック天文台での観測で得られた視線速度データは,アルデバラン周りに準恒星質量の伴星が存在するという仮説に対してさらなる支持は与えず,仮説を弱める結果となった.観測された視線速度の変動のもっともらしい代替仮説は,振動性の対流モードである.

アルデバランの視線速度変動

K 型巨星であるアルデバランの視線速度データでは,643 日周期の弱い変動が存在することが報告されている (Hatzes & Cochran 1993).これは太陽型星周りの系外惑星の初検出の 2 年前のことであったが,

彼らはこの変動の原因として,最小質量が 11.4 木星質量の惑星質量の伴星が存在することが原因であるとの可能性を考慮していた (恒星質量が 2.5 太陽質量とした場合).これは,観測された変動の周期は恒星の動径方向の脈動によるものとしては長すぎたからである.しかし彼らは,恒星表面の特徴による自転性の変動や,非動径方向の脈動による変動である可能性は否定しなかった.

その後の解析では,643 日程度の周期性は,スペクトル線の形状の解析では現れていなかった (Hatzes & Cochran 1998).しかし彼らは 50 日の周期をスペクトル線の二等分線の測定中に発見し,これは恒星の振動によるものだと推定した.

Gatewood (2008) によるアストロメトリの測定では,(Hatzes & Cochran 1998) によって報告された惑星仮説を否定はできなかったが,その報告よりも天体の質量は軽いと注記した.Gatewood (2008) では仮説上の天体の質量は 3-4 木星質量であり,Hatzes & Cochran (1998) が導出した 11 木星質量ほどは大きくないとした.

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