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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1903.10772
Odert et al. (2019)
Modeling the Lyα transit absorption of the hot Jupiter HD 189733b
(ホットジュピター HD 189733b のライマンアルファトランジット吸収のモデル化)

概要

高温の系外惑星の水素が主体の大気は,中心星からの X 線と極端紫外線 (XUV) による強い加熱によって拡大し,惑星から流体力学的に流出する.いくつかの近接ガス系外惑星のトランジットの最中にライマンアルファ線の波長において中性水素の超過吸収が検出されており,これは広がった大気が存在していることを示唆している.

ホットジュピター HD 189733b では,このライマンアルファ線の吸収が時間変動を示していることが分かっている.この現象の説明として,恒星の XUV の放射の変動か恒星風の変動,あるいはその両方の変動が考えられる.

ここでは 1D の惑星の高層大気の流体力学モデルと,3D の磁気流体力学 (MHD) 恒星風流れモデルを適用し,惑星軌道における恒星の XUV 輻射と恒星風の状況の変化による効果が,惑星周囲の中性水素分布にどう影響を及ぼすかの計算を行った.これは,高エネルギー中性原子の生成と,それに関連したライマンアルファ線でのトランジットの特徴を含む.

その結果,恒星の XUV フラックスが 1.8 × 104 erg cm-2 s-1 の場合に,2011 年に観測されたライマンアルファ線での観測を再現可能であることがわかった.このフラックスは,この恒星の活動としては典型的な値である.なお,トランジットの 8 時間前に観測されたフレアと同じパラメータは,トランジットの特徴に大きな変化をもたらしたとは考えられない.

ライマンアルファ線の吸収は大気の拡大に占められることを見出し,高エネルギー中性原子の寄与は無視できる.従って,吸収の度合いは恒星風のパラメータには依存しない.

ライマンアルファ線でのトランジット時の吸収は,典型的な恒星の XUV と恒星風のパラメータでモデル化出来るため,2010 年にライマンアルファ線での吸収が検出されなかったことは,典型的な状態ではない恒星のパラメータに影響された可能性がある.例えば,非常に強度や形状が異なる恒星の XUV 放射スペクトル,あるいはトランジット吸収の決定に影響するライマンアルファ線の時間的・空間的変動などである.

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