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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1510.00015
Eastman et al. (2015)
KELT-4Ab: An inflated Hot Jupiter transiting the bright (V~10) component of a hierarchical triple
(KELT-4Ab:階層的な三重星を構成する明るい(10等級)恒星をトランジットする膨張したホットジュピター)

概要

KELTプロジェクトで発見された、KELT-4Abについての報告。
この惑星は、階層的な三重星の最も明るい恒星を公転する、膨張半径を持ったホットジュピターである。

中心星のスペクトルタイプは F型、有効温度は 6306 Kである。
金属量は [Fe/H] = -0.116で、1.201太陽質量、1.603太陽半径、視等級は ~ 10である。
また惑星は、1.699木星半径、 0.912木星質量である。

中心星のKELT-4Aは、膨張半径 (1.5木星半径程度以上)を持つホットジュピターを持つ恒星としては最も明るいため、膨張半径を持つホットジュピターの原因を探るのに適した探査対象である可能性がある。
また階層的な三重星の中にある惑星であり、地球に近い (210 pc)ため、今後の精密な視線速度観測と、高精度の撮像による観測の特徴的な機会となるかもしれない。

発見された系の特徴

発見された惑星KELT-4Abは、サイズ面ではやや大きい惑星がやや暗い恒星の周りを公転しているという意味で、 WASP-79b (Smalley et al. 2012)、WASP-94Ab (Neveu-VanMalle et al. 2014)に定性的には似ている。
また、サイズは KELT-8b (Fulton et al. 2015)とも類似している。

KELT-4Abは、階層的な三重星中のトランジット惑星の3例目である。
(これまでの例は、WASP-12b、HAT-P-8bがある(Bechter et al. 2014)。)
この3つの中で、KELT-4Aは最も明るい恒星である。従って今後のさらなる観測が期待される。
また、210 pcと近い恒星系であるため、補償光学を用いた直接撮像から、系に対する力学的な制限が可能かもしれない。

観測

KELTプロジェクトの望遠鏡でのトランジット観測を行った。
またフォローアップ観測として、測光観測と視線速度観測も行った。
さらに、 2012年5月7日に、ハワイ・マウナケア山頂の Keck II望遠鏡を用いて、補償光学の撮像観測を行った。

この系は、KELT-4Aと、そこから 1.5"離れたところに KELT-4B, KELT-4Cの2つからなる連星が存在している。
KELT-4Aは、~ 1木星質量程度の惑星 KELT-4Abを持ち、さらに K型星の連星である KELT-4B, Cを番星として持つという系になっている。

投影距離は、KELT-4AとKELT-4B, Cの間が 328 AUであり、さらにKELT-4BとKELT-4Cの投影距離は 10.3 AUである。
仮に軌道面に対して face-on (軌道平面を正面から見ている状態)になっており、更に円軌道で公転しているとすると、KELT-4B, CがKELT-4Aの周りを公転する周期は 3780年、KELT-4B, C同士の公転周期は 29.4年である。

惑星の公転周期は 2.9895932日であり、軌道長半径は 0.04317 AU、有効温度は 1823 Kと推定。
惑星が受け取っている恒星からのフラックスは、2.51 × 109 erg cm-2 s-1である。

議論

KELT-4系の力学

惑星を持つ恒星と、そこから離れた位置にある連星の伴星という系は、定性的には KELT-2Abと類似している(Beatty et al. 2012)。
このような系では、古在効果 (Kozai effect)が惑星移動に影響を及ぼす可能性がある。そのため、この系は軌道平面がずれている系であるかもしれない。

また、中心星の有効温度は 6206 Kであり、この温度は「低温で自転軸・惑星公転軸が揃っている恒星」と、「高温で自転軸・惑星公転軸がズレている恒星」の境界付近の温度となっている(Winn et al. 2010)。

現在の位置でのKozai-Lidov振動のタイムスケールは非常に長いが、この惑星がスノーライン (snow line、~ 5 AU)の外側で形成されたとすると、初期はもっとタイムスケールは短く、Kozai-Lidov機構と、その後の潮汐摩擦が惑星移動のメカニズムである可能性がある。

膨張半径と系の進化

また、惑星が受けている日射量のこれまでの履歴と今後の進化の予測を行った。
その結果、この惑星が受ける日射は一生の間にわたって、膨張半径を持つための経験的な閾値 (Demory & Seager 2011)を上回り続けることが分かった。

さらに、KELT-8bと同様に、中心星の潮汐のQ値に関わらず、いずれ中心星に落下するだろうと考えられる。

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