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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1510.00841
Oshagh et al. (2015)
Polar stellar-spots and grazing planetary transits: possible explanation for the low number of discovered grazing planets
(極域の黒点と恒星をかすめる惑星トランジット:恒星をかすめる惑星の発見数が少ないことについて考えられる説明)

概要

宇宙空間から・地上からの両方の全ての観測において、(near-)grazing planetary transit、つまり恒星を(ほぼ)かすめるようなトランジットを起こす惑星の発見数が少ないことに関する物理的な説明について考察する。

惑星の統計的な分布から、トランジット時のインパクトパラメータ(トランジットの通過経路の、恒星面中心からの距離に対応)を評価した結果、観測されるはずの(near-)grazing planetsは、実際に観測されている数よりも多いはずであることを示した。

また、発見数が少ないのは、恒星が極域に大きな黒点を持ち、惑星がその黒点の部分をかすめるようにトランジットするため、トランジットの光度曲線が現れないからという仮定について考察した。観測される光度曲線を消すために必要な極域の黒点の特性について評価し、その特性は観測から期待されるものと矛盾がないことも示した。

モデル提案の背景

恒星をかすめるようにトランジットする系外惑星

多数の系外惑星が発見されているが、恒星をかすめるようにトランジットを起こす惑星の発見数は非常に少ない。具体的には、WASP-34b (Smalley et al. 2011)、WASP-67b (Hellier et al. 2012など)、HAT-P-27/WASP-40b (Beky et al. 2011など)、WASP-45b (Anderson et al. 2012)、CoRoT-25b (Almenara et al. 2013)、ケプラー434b (Almenara et al. 2015)、ケプラー447b (Lillo-Box et al. 2015)、CoRoT-33b (Csizmadia et al. 2015)の、合計8個のみである。

極域の黒点

恒星の極域に大きな黒点が発生する現象は、普遍的なものだと考えられている。極域の黒点は、恒星の自転速度やスペクトル型とは無関係に現れるものだと考えられている(Strassmeier et al. 1991など)。

観測では、極域の黒点が表面に占める割合は 50%になることもあり、10年以上の長期間にわたって存在し続けることもある。そのため、低緯度から中緯度あたりに発生するタイプの黒点とは異なる仕組みで形成されていると考えられている。

結論

恒星をかすめるようにトランジットする惑星の発見数が少ないのは、大きな極域の黒点を持つ恒星の黒点部分をトランジットするからだと考えられる。統計的な見積もりでは、恒星をかすめるトランジット惑星の個数は、現在発見されている個数よりも多くなるはずである。しかし、極域の暗い黒点部分をトランジットするため光度曲線が消えてしまう、と考えることが出来る。

恒星をかすめるトランジットでは、トランジット時の光度曲線は短く、浅くなり、しばしば"V字型"の光度曲線になる。このV字型の光度曲線は、恒星同士の連星が一方をかすめるように隠す時の光度曲線と形状が類似している。従って観測によるバイアスがかかっている可能性がある。そのため、トランジット候補天体の"V字型"の光度曲線の場合にはより注意深い解析が必要となる。

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