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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1510.00067
Lopez & Fortney (2015)
Re-inflated Warm Jupiters Around Red Giants
(赤色巨星周りの再膨張した温かい木星)

概要

理論で予測されるよりも異常に大きく膨張した半径を持つホットジュピターに関する考察を行う。

膨張した半径を持つホットジュピターのサイズは、惑星が受ける恒星からの日射のレベルによって大きくスケールされる。この原因を説明するために、潮汐加熱、オーム散逸、熱潮汐などの機構が提案されている。一般的に言えば、これらのモデルは以下の2つに大別される。

1) 恒星からのエネルギーが惑星内部に注入されることによって惑星半径を直接膨らませる

2) 惑星の冷却を遅らせることで半径の収縮を遅くする

ここでは、この2つのクラスを区別するためのテストについて提案する。

主系列段階以後の恒星 (post main sequence star)の周りを恒星に近すぎない軌道で公転するガス惑星は、主星が準巨星から赤色巨星分枝に移行する過程で主星から受け取る日射量が急増する。もし膨張半径のメカニズムが 1)の方であるならば、受け取る日射量の増大に伴って半径は膨張するはずである。これは、他の恒星に近すぎない軌道を軌道周期 10日以上で公転している膨張半径を持たないガス惑星が、主星の進化に従って再膨張させられる可能性があることを示している。

ここでは、ガス惑星が再膨張するような状況と、観測でのそのような惑星の存在もしくは欠乏が、ホットジュピターを膨張させるメカニズムへの制限となる可能性について考察した。また、現時点では未発見の、これら重要であると思われる再膨張ガス惑星の数についても考える。

膨張半径を持つホットジュピターについての概観

初めてトランジット惑星が発見されたのは 1999年である(Charbonneau et al. 2000, Henry et al. 2000)。多数発見されているトランジット惑星の中には、理論的に予測されるよりも大きな半径を持つホットジュピターがいくつも発見されている(Bodenheimer et al. 2001)。

ガス惑星の構造と進化のモデルによると、進化した(形成から時間が経った)惑星には半径の上限値がある。何らかの追加の熱源が無い場合は、形成から数十億年経過したガス惑星の半径は ~ 1.2木星半径を超えない事が示されている(Fortney et al. 2007など)。しかし観測からは、半径が ~ 2木星半径になるようなものも発見されている(Hebb et al. 2009)。

ガス惑星が形成された直後は大量の熱を保持しているため、この程度の半径を保つ場合もあるが、観測から推定される系の年齢は十億年のオーダーであるため、"系が若い"という説明は成り立たない。また、全てのホットジュピターが同じように膨張しているわけでもない。

観測から、惑星が受ける日射と惑星の半径は強い相関があることが分かっている。最も膨張した部類 (> 1.5木星半径程度)のガス惑星 (WASP-12b, WASP-17b, HAT-P-32bなど)のホットジュピターの場合は、地球が受ける日射の 1000倍以上の強力な日射を受け取っており、また惑星の質量も 1木星質量程度以下と比較的軽い。日射量が穏やかである場合は、膨張の度合いも穏やかである。

また、3木星質量を超える惑星の場合は重力が強いために膨張させることが難しい。更に、0.5木星質量以下のものは膨張半径を持つものが少ない。これらの軽いガス惑星の場合は、ロッシュローブオーバーフロー (Roche lobe overflow)によって大気の大部分が失われてしまうか、潮汐によって主星に落下して失われてしまう(Jackson et al. 2010)からだろうと考えられる。

膨張半径のメカニズム

膨張半径のメカニズムはともかく、惑星の周期や受け取る日射量と関連している。~ 1.5木星半径程度の穏やかな膨張半径の場合は、受け取る日射量の ~ 1%程度が惑星内部に注入できれば説明が可能である(Batygin & Stevenson 2010)。

しかし膨張半径の多様性は、そのメカニズムにも多様性があるということを示しているのかもしれない。Socrates (2013)によると、観測されている膨張半径を説明するためには、必要とされる惑星内部での加熱率の幅は 4 - 5桁にわたる。

これまでの数年間の間に、幾つかのモデルが提案されてきた。以下にその一部を紹介する。

潮汐加熱

初めは、潮汐による軌道の円軌道化の際の加熱、潮汐加熱 (tidal heating)が有望視された(Bodenheimer et al. 2001)。

恒星から離れた位置では、大きな軌道離心率を持つガス惑星が多く存在する(Ford & Rasio 2008)。またガス惑星は、強い輻射がある軌道では形成は難しい(Alibert et al. 2005, Ida & Lin 2008)。ガス惑星は、惑星間の重力相互作用による散乱や古在効果によって高い軌道離心率を持つ軌道になり、強い輻射を持つ軌道に変化する。その後恒星との潮汐相互作用によって軌道は円軌道化され、その際に大量の熱が惑星の内部に注入される。

しかしこのメカニズムによる加熱は、急速に円軌道化されている最中だけが大きいため、古い惑星が膨張しているのを説明するためには、現在の軌道に最近移動したという考えにくい状況となる。潮汐ではごく一部のホットジュピターのみが膨張されるという結果があり(Leconte et al. 2010)、これは観測の傾向とは矛盾する。

そのため、潮汐加熱は主要な原因ではない

熱潮汐

最近、Arras & Socrates (2009, 2010)、Socrates (2013)は上記の潮汐加熱に新たな解釈を加えた。Arras & Socrates (2009)では、重力が原因の潮汐力による潮汐バルジに加え、輻射を受ける惑星は熱潮汐 (thermal tide)によるバルジを持つと考えた。

昼側の恒星直下点(sub-stellar point)は最も高温であり、理想気体の法則に従えば、ある一定の圧力下では密度は最も低くなる。従ってある圧力下では、恒星直下点は質量が不足していることになる。逆に、昼夜境界 (terminator)では質量が増加することとなる。

この熱潮汐によるバルジは、重力によるものとは対照的である(重力によるバルジは恒星のほうを向く)。更に、惑星大気の熱慣性の影響で、熱潮汐によるバルジは重力による潮汐バルジとはぴったり 90度の角度を成さない。そのため、2つのバルジの間にはゼロではない外積が生じ、惑星を spin-upする方向へのトルクがはたらく。結果として自転周期と公転周期の同期からは外れた状態となり、潮汐による加熱が長期にわたって継続することとなる

ホットジュピターの環境では、熱潮汐によるバルジは無視できないものとなる。そのため潮汐による加熱率もある程度の大きさが期待される。また、重力的な潮汐と熱潮汐の大きさは、主星からの距離に大きく依存する。すなわち受け取る輻射の強度に対して敏感に反応する。また、加熱率の範囲も惑星ごとに大きく異なる値を取りうる。

放射損失を抑える機構

これらの説に対して、活発な加熱は必要ではないとする説もある。何らかのメカニズムによって惑星の冷却を効果的に抑えることが出来れば、ホットジュピターは形成時の熱を逃がしにくくなるため、数十億年もの間大きい半径を維持することが可能となる。

Burrows et al. (2007)は、enhanced atmospheric opacity (大きな大気の不透明度)による冷却の遅れが、穏やかに膨張した半径を説明できるとした。同様に、Baraffe et al. (2008)は、惑星内部の大きな組成勾配が対流を阻害し、冷却率を低下させるとした。(二重拡散対流, double-diffusive convection)

オーム散逸

特に有名な説は、Batygin & Stevenson (2010)などによって提案されているオーム散逸 (Ohmic dissipation)である。(オーム加熱、Ohmic heatingとも)

表面温度が 1500 Kを超える場合 (日射量で言うと地球の 900倍以上)、ガス惑星大気中のアルカリ金属が熱電離する(Batygin & Stevenson 2010)。ホットジュピター大気の速い風構造(Showman et al. 2009など)を考えると、電離によって生成されたイオンは大気内に電流を作る。この高速の大気流が、高い電気伝導度を持ち、液体金属相となっている惑星の内部に電流を誘導する。分子・金属の境界付近の電気抵抗が大きい領域で電流が散逸することによって、惑星内部が加熱される

しかし、どこで電流の散逸が効くかによって、オーム散逸による効果は大きく変化する。1 kbarより高圧の領域で発生した場合、オーム散逸によってエネルギーは内部の対流層に注入され、惑星内部全体を効率よく加熱することになる(Batygin & Stevenson 2010など)。しかし 100 bar以下の領域で効く場合は、大気の放射層の部分のみが暖められる(Huang & Cumming 2012, Wu & Lithwick 2013)。この場合は、放射・対流境界 (radiative-convective boundary)を深くへ押し下げることによって冷却を遅らせる効果はあるが、活発に内部を加熱はしない。

従って、オーム散逸は活発に内部を温める場合と、単に冷却を遅らせる場合の両方あり得ることになる。これは電流が散逸する層の深さと幅次第である。どちらのパラメータも決定するのが難しく、モデルにも依存する(Spiegel & Burrows 2013)。

ガス惑星の再膨張 (re-inflation)

ここでは、膨張半径に関するモデルを2つに分ける。

・class I:恒星からのエネルギーの一部が惑星の内部に注入され、内部を直接暖めることによって半径を膨張させるモデル

・class II:内部へのエネルギーの注入は無く、代わりに輻射による損失を抑え、形成時の熱を逃げにくくするモデル

どちらのモデルも可能性があるものである。ここでは、このメカニズムのどちらが効いているのかの区別方法を新しく提案する。

主星が、主系列段階→準巨星→赤色巨星分枝となり、惑星が受け取る日射量が大きく変わる時の半径の変化について考える。この時期は主星の光度が上昇し、惑星が受ける日射も数桁上昇する。従って、より長周期の惑星もホットジュピターとなる(Spiegel & Madhusudhan 2012)。

軌道周期が ~ 20日の惑星は、100 Myrの間にわたって強い輻射を受けることになる。もし膨張半径のメカニズムが class Iである場合は、受け取る日射の大幅な増加に反応して半径は膨張するはずである。また class IIである場合は、惑星の冷却は遅くなるものの、再膨張することはなく、従って半径の変化も発生しない。

この判別方法にはハードルがある。
1つ目のハードルは、変化のタイムスケールである。太陽型星や太陽よりやや重い恒星の、主系列段階後の寿命は比較的短い。また、恒星は全ての短周期〜中間周期の惑星を飲み込む。Spiegel & Madhusudhan (2012)では木星類似型について調べ、赤色巨星分枝 (RGB)の進化は、惑星半径の再膨張には短すぎるとした。

2つ目のハードルは検出可能性である。ケプラー宇宙望遠鏡は光度変化の精度は数百ppmである(Borucki et al. 2010)。膨張した半径を持つホットジュピターに対しては、この制度の制限から 10太陽半径以下の恒星周りでないと検出は出来ない。太陽の場合は10太陽半径以下である期間は、RGBの底の期間、red bumpの後であり、ヘリウムコア燃焼に点火する前の段階である。この期間の間に検出することが可能だろうか?

検出可能性に関しては、後に述べるようにあるパラメータの範囲内では可能であり、軌道周期 10 - 30日のものが候補である。主系列星の間はこの周期を持つ惑星の受け取る日射量は地球の100倍以下であり、表面温度は 1000 K以下の"温かい"木星である。そのため膨張半径を持たない(Miller & Fortney 2011, Demory et al. 2011)。しかし主星の半径が ~ 10太陽半径になるまでに、惑星内部に ~ 1%のエネルギーが注入され、膨張半径を持ちうる。これが、"再膨張"した温かい木星 ("re-inflated" warm Jupiters)である。

惑星の進化モデル

惑星の構造・熱進化モデル

惑星の半径を解くために、惑星の質量・年齢・日射量・加熱メカニズムを考慮した熱進化モデルが必要とされる。ここでは、Lopez et al. (2012)、Lopez & Fortney (2014)の惑星内部と進化を合わせたモデルを使用する。

惑星の進化トラックの各点で、モデルは惑星のトータルの質量、受ける日射量、水素・ヘリウムエンベロープの内部の比エントロピー (specific entropy)で決まる。過去の研究では、太陽組成を持つ恒星進化のモデル(Baraffe et al. 1998)を、主星の光度を決定するために使用している。

惑星は、10地球質量の岩石 + 鉄のコアを持ち、岩石/鉄の比率は 2:1と地球と同じとする。コアの状態方程式には、ANEOS olivine (Thompson 1990)と、SESAME 2140 Fe (Lyon & Johnson 1992)を使用した。ただしコアの有無は結果に大きく影響はしない。水素・ヘリウムエンベロープは、太陽組成を仮定した Saumon et al. (1995)の状態方程式を使用した。水素・ヘリウムエンベロープの上には薄い等温の放射層を起き、温度は平衡温度と同じとした。さらに惑星の半径は 20 mbarとなる所と設定した。この圧力は、トランジット観測で見た時の半径に対応する場所である(Hubbard et al. 2001)。

初期条件としては、惑星は初期に大きなエントロピーを持つ、伝統的な"hot start"モデル(Fortney et al. 2007など)を使用した。しかし今回重要なのは主系列段階後の進化であるため、初期条件への依存性は小さい。また、惑星からの光蒸発は含めていない。これは、主系列段階の期間は受ける日射量は穏やかなので、惑星からの大量の質量散逸は発生しないと考えられるためである。

惑星内部の加熱機構

惑星を膨張させるための加熱をフルで解くのはこのモデルの目的ではない。しかし、いくつかの先行研究では、加熱率に関する解析的な近似を与えている。

オーム散逸に関しては、Huang & Cumming (2012)で与えられている式を用いた。このモデルでは、オーム散逸は惑星の収縮を遅らせる効果はあるが、再膨張させることはないとするものである。オーム散逸によるエネルギー注入率は、惑星の質量・半径・平衡温度・磁場のトロイダル成分の強さ・散逸領域での電気伝導度に依存する。ここでは、磁場のトロイダル成分と散逸領域での電気伝導度の値は、Huang & Cumming (2012)で与えられている値に固定している。

熱潮汐に関しては、Socrates (2013)の式を用いている。ここでは、熱潮汐によるエネルギー注入率は、軌道周期・平衡温度・惑星半径に依存する。

オーム散逸、熱潮汐のどちらの場合も、加熱率は惑星半径の4乗に比例するが、Huang & Cumming (2012)では平衡温度に比例するのに対し、Socrates (2013)では平衡温度の3乗に比例する。従って、再膨張には Socrates (2013)の効果のほうが重要だろうと考えられる。

その他の効果

さらに、潮汐進化による軌道崩壊の効果は重要である可能性がある。潮汐進化のタイムスケール(Mardling & Lin 2002)を用いて評価すると、1木星質量、1.5木星半径、軌道周期 10日の惑星が、1太陽質量、10太陽半径の主星の周りを公転している場合、潮汐による軌道破壊のタイムスケールは ~ 290 Myrであり、これは主系列星の寿命よりは短い。しかし、赤色巨星分枝の底から、10太陽半径を大きく超える段階へ進化する星のタイムスケールよりは長い。念のため、潮汐進化を考慮した場合の計算も行ったが、結果には大きな影響を与えなかった。

結果

1.5太陽質量の周りの惑星半径の進化を、主星が 10太陽半径になるまでの間計算する。計算するパラメータは、0.3 - 3木星質量、軌道周期が 10 - 40日、惑星内部での加熱率は惑星が受け取る主星からのエネルギーの 0.1 - 3%とした。

結果の一例を示す。
軌道周期が 20日の惑星で、加熱率が ~ 1%の場合は、主星が10太陽半径になるまでの間に、1, 2木星質量のガス惑星を再膨張させるのは難しい。しかし 0.5木星質量の場合は再膨張させることが可能である。

このような計算を様々なパラメータ空間で行った。
その結果、1木星質量以下で軌道周期が 15日以下の場合は再膨張が起きやすいことが分かった。この場合は加熱率が 0.1 %より大きい場合で膨張し、検出可能となる。多くのケースにおいて、1木星質量未満のものは 2木星半径よりも大きな半径をとる。これは既知のホットジュピター全てを上回る半径であり、もし可能であればこれが再膨張の証拠となり得る。また、軌道周期が 20日程度の惑星の場合は、ヒル半径は ~ 20木星半径であるため、2木星半径以上に膨張したとしてもロッシュローブオーバーフローを起こす可能性は低い。

ただし、2木星半径以上にまで膨張した惑星の内部で、通常の膨張半径のメカニズムが継続するかは不明である。またホットジュピターの大気循環のスケール則によると、半径が大きくなると大気の風の速度は低下する。この場合、オーム散逸による加熱率は低下することとなる。

検出可能性

再膨張したホットジュピターの識別

再膨張した半径を識別するためには、恒星半径も少なくとも ~ 10%の精度で決定されている必要がある。しかし進化した恒星は大きな星震振動があるため、星震学を用いて半径を決定することが可能である(Huber et al. 2013)。

膨張半径を持つ惑星が 10太陽半径の恒星の周りをトランジットした時のトランジット深さは、スーパーアースサイズの惑星が太陽型星の周りをトランジットした時のトランジット深さと同程度である。そのためケプラー宇宙望遠鏡の精度で十分観測可能である。

再膨張半径を持つ惑星の可能性

過去の観測で、そのような天体が検出されているか調べるのは有意義なことである。しかしケプラー・インプット・カタログ (Kepler Input Catalog, KIC)にある恒星のパラメータは非常に不正確である。そのためケプラー宇宙望遠鏡で発見された惑星と惑星候補のうち、恒星半径が星震学で決定されているものだけに対象を絞るのが良いと考えられる。

Huber et al. (2013)では、星震学を用いて、77個のKepler Object of Interest (KOI)天体のパラメータを調べている。この中で、恒星の半径が 5太陽半径を超えているものは5つだけである。この5つの系のうち、KOI 981.01はホットネプチューンであり、KOI 1230.01とKOI 2481.01は明確な星震学による偽陽性である。
KOI 2640.01
しかし、KOI 2640.01は良い候補である。この惑星候補は周期が 33日で、主星は 1.27太陽質量であり、主系列を終えた 7.48太陽半径を持つ F型星である。これは再膨張が起きうるパラメータに近い。さらに、惑星半径は 1.52木星半径であり、この惑星候補が本当に惑星であった場合は、明確に膨張している惑星である。

残念なことに、その後の追観測では KOI 2640.01は偽陽性、つまり惑星ではないと示唆されている。最近、Slisli & Kipping (2014)は、Huber et al. (2013)の星震学から得られた巨星の密度と、惑星候補の軌道長半径とトランジット継続時間から推定した巨星の密度を比較した。その結果、2つの数値は完全に矛盾する事が判明し、惑星候補は惑星ではないことが示唆された。さらに各トランジットのトランジット深さははっきりと変動しており、惑星のトランジットのように見えるシグナルは実際は恒星の粒状斑によるノイズだという事を示唆している。
KOI 2133.01 (ケプラー91b)
最後にKOI 2133.01について考える。これはケプラー91bとしても知られており、Lillo-Box et al. (2014a)によって惑星であると確認されている。その後の視線速度観測 (Lillo-Box et al. 2014b, Barclay et al. 2015)によって、惑星の質量は 0.76木星質量と判明した。惑星半径は 1.31木星半径であるため、ケプラー91bは間違いなく膨張している。さらに、主星のケプラー91は 1.3太陽質量、6.3太陽半径を持つ赤色巨星であるため、ケプラー91bは再膨張の観測の良いターゲットであるように思える。

しかしケプラー91bの軌道周期は 6.2日であり、主星が主系列星である段階から、膨張半径を持てる程度の強い輻射を受けてきたと考えられる。ケプラー91がまだ主系列星だった段階では、ケプラー91bの受ける輻射は地球の ~ 1300倍だったと考えられる。この程度の輻射を受けているガス惑星は、現在のケプラー91bの半径程度までは容易に膨張する。

結果として、ケプラー91bは主星が赤色巨星分枝へ進化する前の段階から既に膨張していたという可能性は否定出来ない。そのため再膨張の検証対象としては有効ではない。


現在のところ、再膨張の徴候を示すケプラー惑星候補は存在しない。しかし今後の観測によって発見される可能性はある。

まとめ

主系列以後の恒星周りの"warm Jupiters"の観測から、未解明の膨張半径のメカニズムのタイプを区別することが出来るかもしれない。もし膨張半径のメカニズムが熱を惑星内部に注入するタイプであれば、恒星が準巨星から赤色巨星分枝になる間に内部が加熱され、半径は膨張する。メカニズムが惑星からの複写冷却と収縮を遅らせるものであれば、輻射が上がっても半径は変化しない。

1木星質量未満、軌道周期 10 - 20日で、1 - 1.5太陽質量の恒星周りを回るガス惑星の場合は、そう大きくない加熱率であっても再膨張は起きる。これらは検出可能であり、ホットジュピターの異常膨張半径のメカニズムのための良い制限となる。






ホットジュピターの半径が理論予想よりも大きいものがある、というのは未解明の謎となっています。単純に中心星から炙られているから半径が大きくなる、という事だけでは説明出来ないほどの半径を持っています。

内部に熱を注入して膨張させているのか、あるいは冷却を遅くすることによって収縮を遅くしているのか、この論文では仕組みの詳細の検証は行っていませんが、そのどちらかを確認するための手法として、赤色巨星周りでホットジュピターになったガス惑星の半径から識別ができるのではないかという提案がなされています。

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