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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1510.03811
Dai et al. (2015)
Doppler Monitoring of the WASP-47 Multiplanet System
(多重惑星系 WASP-47のドップラー観測)

概要

WASP-47系の精密なドップラー観測を行った。この系は、1つのホットジュピターと、その内側・外側にそれぞれ惑星を持つ系である。この系は非常にユニークな構造をしており、惑星の質量をドップラー法 (視線速度法)と、トランジット時刻変動 (Transit Timing Variations, TTV)の両方から決定することができる。

Magellan/Clay 6.5m望遠鏡のPlanet Finder Spectrograph (PFS)による新しい視線速度データから、ホットジュピター WASP-47bの質量は 370地球質量と推定した。これは過去の視線速度観測とTTVの観測双方と整合的な結果である。

またホットジュピターの内側にある惑星 WASP-47eは、視線速度法の観測では 12.2 ± 3.7地球質量であり、過去の TTV観測による上限値 < 22地球質量と整合的である。外側の WASP-47dについては、視線速度法により質量は 10.4 ± 8.4地球質量とした。これも TTVによる 15.2 (+6.9, -7.6)地球質量と整合的である。

WASP-47系について

中心星の WASP-47は、スペクトル型が G9の恒星である。
この恒星では。トランジット法によりホットジュピターが発見されている(Hellier et al. 2012)。さらにケプラー宇宙望遠鏡のK2ミッションから、軌道周期がそれぞれ 0.8日と9日の惑星が発見されている(Becker et al. 2015)。
(※参考記事:
天文・宇宙物理関連メモ vol. 45 Becker et al. (2015) ホットジュピター近傍での惑星検出)

さらに別の長時間の視線速度観測では、2つめの木星型惑星が発見されており、こちらは中心星から離れた軌道をもっている(Neveu-VanMalle et al. 2015)。
(※参考記事
天文・宇宙物理関連メモ vol.82 Neveu-VanMalle et al. (2015) WASP-47系での1 AU程度の惑星発見)

このような特殊な系は、ホットジュピターの形成過程の理論にも影響があると考えられる。例えば、ホットジュピターの近傍に別の惑星がある場合は、激しい移動が起きるシナリオ (惑星間相互作用による軌道散乱や、古在効果)でのホットジュピター形成は困難だと考えられる。

さらにこのような系は、内側3つの惑星の質量を、視線速度法とTTVという独立した手法によって決定することができる。K2ミッションによりTTVデータが得られており、また今回新たに観測を行って視線速度データを得た。

データ解析

WASP-47系は、トランジットするホットジュピターである WASP-47b、長周期の木星型惑星である WASP-47c、9.0日周期のトランジットする惑星 WASP-47d、0.8日周期のトランジットする惑星 WASP-47eの4つの惑星を持つ。

WASP-47cの軌道周期は 572日であり、PFSの観測期間はこれに比べると短い。従って、WASP-47cの特徴の評価は今回は行わず、代わりに Neveu-VanMalle et al.(2015)でのパラメータを解析に使用した。これはこの惑星による視線速度のトレンドを取り除くためだが、この惑星による影響は非常に小さいものである。

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