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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1911.01428
Miranda & Rafikov (2019)
Planet-disk interaction in disks with cooling: basic theory
(冷却を伴った円盤での惑星・円盤相互作用:基礎理論)

概要

若い惑星と,それが存在する円盤の間の重力的な結合に関する研究は,典型的には円盤の熱力学を非常に単純化した手法で取り扱っている数値シミュレーションを用いて行われている.特に,多くの研究では局所等温近似を採用しており,これは円盤温度が中心星からの距離の固定された関数として扱われている.

ここでは,惑星によって駆動される円盤の密度波の力学を,より一般的な熱力学を含めて研究した.これは,温度が有限のタイムスケール tc で平衡分布に緩和していく過程を取り入れたものである.線形摂動理論と直接数値計算の両方を用いて,そのような円盤内での惑星によって引き起こされた密度波の大局的な構造を調べた.

この研究で使用した重要な特徴は,波の角運動量フラックスの振る舞いである.これは円盤の進化を直接決定するものである.
自由波の角運動量フラックスは,ゆっくりと冷却する円盤 (断熱円盤) では整合的だが,急速に冷却する (そして局所等温の) 円盤では,円盤の温度でスケールする.しかし,線形理論の範囲内で密度波力学の良い記述を局所等温近似が与えるためには,冷却は非常に早くなければならない.冷却のパラメータの条件としては,\(\beta=\Omega t_{\rm c}\lesssim 10^{-3}\) である (非線形効果が重要な場合は,条件は \(\beta\lesssim 10^{-2}\) に緩和される).

中間的な冷却タイムスケールの場合,密度波は強い線形減衰にさらされる.これは惑星駆動の渦状腕の外観と,重い惑星によって生成される軸対称構造の特徴を変える.

β が 0.1-1 程度の円盤の場合,熱的質量に近い惑星は軌道の周囲に単一の広いギャップのみを形成する.これは,冷却がより早かったり遅かったりする場合にはいくつかの細いギャップが生成されるのとは対照的な結果である.

結果のまとめ

  • 自由波の角運動量フラックスは断熱円盤では厳密に保存されるが (線形もしくは非線形散逸がない場合),局所等温円盤では角運動量フラックスは音速の 2 乗 (もしくは円盤温度 T) に比例して変化する.
  • 温度が特徴的なタイムスケール tc で平衡分布に向かって冷却/緩和していく,より一般的な熱力学の円盤では,断熱極限は冷却タイムスケールが非常に長い状態,局所等温極限はタイムスケールが非常に短い場合でそれぞれ表される.
  • しかし,局所等温近似が線形の範囲内で波の力学をよく記述するためには,冷却のタイムスケールは非常に短く,\(\beta=\Omega t_{\rm c}\lesssim h_{\rm p}^{3}\approx 10^{-3}\) である必要がある.この制約は,より重い惑星の場合は \(10^{-2}\) まで緩和される.これは非線形の波の減衰によるものである.
  • 断熱極限 (つまり線形の範囲で角運動量フラックスが保存される) は,β ≳ 10 の円盤で適用可能.
  • 2 つの極限レジームの遷移は,単調ではなく非常に非自明に起きる.中間的な冷却時間 β = 10-2 - 1 の場合,波の角運動量フラックスは線形減衰のため急速に減衰する.
  • 波の異なるフーリエモードの減衰率の違いは,中間的な冷却時間の場合,内側円盤での惑星駆動の渦状構造の見た目を大きく変える.
  • 局所等温円盤と急速に冷却する円盤での波の角運動量フラックスの非保存は,粘性散逸や非線形散逸が無い場合においても,円盤進化を駆動する異常な質量フラックスをもたらす.
  • 動径方向に一定の無次元化冷却時間 β を持つ理想化された円盤の場合,やや重い惑星によって円盤に形成されるギャップと環の構造は,β の値によって大きく影響を受ける.β が小さい (≲10-1),もしくは大きい (≳1) 場合,複数の細い環とギャップが形成される (惑星軌道の外側に一つの環・ギャップペア,軌道内側にさらにいくつか).中間的な β の値の場合はその代わりに,単一の広いギャップが惑星の軌道を中心として形成される.

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