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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1911.04745
Otegi et al. (2019)
Revisited Mass-Radius relations for exoplanets below 120 Earth masses
(120 地球質量を下回る系外惑星の改定された質量・半径関係)
信頼性のある,堅牢で出来る限り正確な質量と半径の測定が行われている 120 地球質量までのトランジット惑星のデータに基づいて,系外惑星のカタログを更新した.その結果として得られた質量-半径図は,これらの惑星が 2 つの異なるポピュレーションに分類できることを示す.この 2 つはそれぞれ岩石惑星と揮発性物質が豊富な惑星に対応しており,これらは質量と半径の両方で分布がオーバーラップしている.
岩石系外惑星の集団は比較的平均密度のばらつきが小さく,質量は最大で ~25 地球質量までである.これは,形成可能なコア質量の最大値がこの程度であることを示唆している.
2 つの集団を分割するため,純粋な水の組成線を用いて 2 つの新しい経験的な質量・半径関係をデータに基づいて示唆した.
その結果,岩石惑星の集団に対しては \(M=\left(0.9\pm0.06\right)R^{\right(3.45\pm0.12\left)}\),揮発性物質が豊富な惑星に対しては \(M=\left(1.74\pm0.38\right)R^{\right(1.58\pm0.10\left)}\) という関係を見出した.
今回の 2 つの集団に関する結果は過去の研究と一致している一方,新しい質量・半径関係は,岩石惑星から揮発性物質豊富な惑星への遷移領域 (質量 5-25 地球質量,半径 2-3 地球半径) でポピュレーションによりよく一致する.
a) NASA Exoplanet Archive の 2019 年 7 月時点で登録されている系外惑星のうち,質量が 120 地球質量までのもの.また物理量の測定の不定性が,質量は 25%,半径は 8% よりも小さいものを抽出.これらのしきい値は不定性の中間値に対応しており,また密度の不定性にも同じ影響がある.
b) TRAPPIST-1 を公転している系外惑星の質量測定結果を追加 (Grimm et al. 2018).これはケプラーの K2 ミッションでのトランジット光度曲線からトランジット時刻変動で質量を測定したもの.
c) Stassun et al. (2017) で示唆された質量決定は採用しない.これは Gaia による測光観測から導出された値で中心星の質量と半径が置き換えられたものであるが,不定性が明確に過大評価されている.これらの改定された値は,惑星質量の推定に影響をもたらす (これにより,11 個が除外).
d) いくつかのケースでは,Marcy et al. (2014) によって単一のトランジット惑星の質量が弱い水準の有効化・確認のみで推定値が与えられている.いくつかの質量推定は,不定性が過小評価された非常に僅かな視線速度のデータ点に基づいている.そのため,これを用いたデータは使用しない (17 個が除外).
e) Xie (2014) で報告されたトランジット時刻変動の測定は,他のグループ (Hadden & Lithwick 2014, 2017) で報告された質量推定と大きく異なる.さらにその中には,30 地球質量を超えるいくつかの惑星で,推定密度が純粋な鉄よりも高くなっている (例えばケプラー128b と c で,これらは Hadden & Lithwick (2017) では 1 地球質量未満と推定されている).そのため,この研究で質量が推定されているものは除外.
f) Hadden & Lithwick (2017) は 150 個のケプラー系外惑星についてトランジット時刻変動で質量を推定しているが,これは NASA Exoplanet Archive では採用されていない.さらに,この研究ではトランジット時刻変動を用いた質量推定において,測定値の正確さのしきい値を導入している,それによると,150 個の質量測定のうち 50 個のみが信頼性があるとしている.ここではそのしきい値に依拠し,信頼性の低い質量測定結果を除外.
g) いくつかの惑星の質量測定を,より最近の論文での結果にアップデートした.また NASA Exoplanet Archive に含まれていないいくつかの系外惑星を追加した.
arXiv:1911.04745
Otegi et al. (2019)
Revisited Mass-Radius relations for exoplanets below 120 Earth masses
(120 地球質量を下回る系外惑星の改定された質量・半径関係)
概要
系外惑星の質量と半径は,それらの特徴付けのために必要な基本的な物理量である.系外惑星の異なるポピュレーションを研究することは,異なる惑星のタイプの統計を理解する上で重要であり,またこのような研究は惑星形成と進化に関連付けることができる.信頼性のある,堅牢で出来る限り正確な質量と半径の測定が行われている 120 地球質量までのトランジット惑星のデータに基づいて,系外惑星のカタログを更新した.その結果として得られた質量-半径図は,これらの惑星が 2 つの異なるポピュレーションに分類できることを示す.この 2 つはそれぞれ岩石惑星と揮発性物質が豊富な惑星に対応しており,これらは質量と半径の両方で分布がオーバーラップしている.
岩石系外惑星の集団は比較的平均密度のばらつきが小さく,質量は最大で ~25 地球質量までである.これは,形成可能なコア質量の最大値がこの程度であることを示唆している.
2 つの集団を分割するため,純粋な水の組成線を用いて 2 つの新しい経験的な質量・半径関係をデータに基づいて示唆した.
その結果,岩石惑星の集団に対しては \(M=\left(0.9\pm0.06\right)R^{\right(3.45\pm0.12\left)}\),揮発性物質が豊富な惑星に対しては \(M=\left(1.74\pm0.38\right)R^{\right(1.58\pm0.10\left)}\) という関係を見出した.
今回の 2 つの集団に関する結果は過去の研究と一致している一方,新しい質量・半径関係は,岩石惑星から揮発性物質豊富な惑星への遷移領域 (質量 5-25 地球質量,半径 2-3 地球半径) でポピュレーションによりよく一致する.
解析の詳細
統計的な分析に用いた系外惑星データの抽出基準は以下の通りである.a) NASA Exoplanet Archive の 2019 年 7 月時点で登録されている系外惑星のうち,質量が 120 地球質量までのもの.また物理量の測定の不定性が,質量は 25%,半径は 8% よりも小さいものを抽出.これらのしきい値は不定性の中間値に対応しており,また密度の不定性にも同じ影響がある.
b) TRAPPIST-1 を公転している系外惑星の質量測定結果を追加 (Grimm et al. 2018).これはケプラーの K2 ミッションでのトランジット光度曲線からトランジット時刻変動で質量を測定したもの.
c) Stassun et al. (2017) で示唆された質量決定は採用しない.これは Gaia による測光観測から導出された値で中心星の質量と半径が置き換えられたものであるが,不定性が明確に過大評価されている.これらの改定された値は,惑星質量の推定に影響をもたらす (これにより,11 個が除外).
d) いくつかのケースでは,Marcy et al. (2014) によって単一のトランジット惑星の質量が弱い水準の有効化・確認のみで推定値が与えられている.いくつかの質量推定は,不定性が過小評価された非常に僅かな視線速度のデータ点に基づいている.そのため,これを用いたデータは使用しない (17 個が除外).
e) Xie (2014) で報告されたトランジット時刻変動の測定は,他のグループ (Hadden & Lithwick 2014, 2017) で報告された質量推定と大きく異なる.さらにその中には,30 地球質量を超えるいくつかの惑星で,推定密度が純粋な鉄よりも高くなっている (例えばケプラー128b と c で,これらは Hadden & Lithwick (2017) では 1 地球質量未満と推定されている).そのため,この研究で質量が推定されているものは除外.
f) Hadden & Lithwick (2017) は 150 個のケプラー系外惑星についてトランジット時刻変動で質量を推定しているが,これは NASA Exoplanet Archive では採用されていない.さらに,この研究ではトランジット時刻変動を用いた質量推定において,測定値の正確さのしきい値を導入している,それによると,150 個の質量測定のうち 50 個のみが信頼性があるとしている.ここではそのしきい値に依拠し,信頼性の低い質量測定結果を除外.
g) いくつかの惑星の質量測定を,より最近の論文での結果にアップデートした.また NASA Exoplanet Archive に含まれていないいくつかの系外惑星を追加した.
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