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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1912.04286
Sagear et al. (2019)
Upper Limits on Planet Occurrence around Ultracool Dwarfs with K2
(K2 での超低温矮星まわりの惑星存在度の上限)
これらのサンプル中にはトランジット惑星は検出されず,この結果を元に惑星の存在頻度に上限を与えた.
様々な軌道周期と惑星サイズで,サンプルの恒星を公転する惑星を模擬した.中心星をトランジットする模擬惑星のトランジット光度曲線を作成し,それを実際の K2 の光度曲線に注入し,そのシグナルから注入された惑星の復元を試みた.与えられた惑星の存在頻度について,惑星を検出しない確率を計算し,それを使用して惑星の存在頻度を惑星半径と軌道周期の関数として上限値を与えた.
短周期のミニネプチューンと木星サイズの惑星は超低温矮星の周りでは希少な存在であり,これは早期・晩期 M 型矮星周りでの結果と整合的である.ここでは,軌道周期が 1-26.3 日,惑星半径が 0.5-10 地球半径の惑星について,超低温矮星周りでの惑星の存在頻度への制約を与えた.
Rilinger et al. (2019) による,2 つの M7 型褐色矮星の原始惑星系円盤の質量と半径の測定では,一方の円盤は地球質量の惑星やそれより小さいものを形成できるだけの物質しか含んでおらず,もう一方は惑星形成に十分な物質を含んでいないことが分かっている.このことは,褐色矮星の周りでは 1 地球質量より重い惑星は希少であることを示唆している.
Payne & Lodato (2007) では,コア降着モデルによる惑星形成では,0.05 太陽質量の褐色矮星周りでは形成される惑星質量の最大値は 5 地球質量と推定されている.
He et al. (2017) は,L3-T8 型の 44 個の褐色矮星周りでスピッツァー宇宙望遠鏡を用いて惑星を探査し,今回と同じく発見された惑星は無かった.この結果からは,軌道周期が 1.28 日未満で 0.75-3.25 地球半径を持つ惑星の存在頻度は,そのサンプル中で 67% 未満と結論付けられている.また 0.75-1.25 地球半径を持つ惑星の存在頻度は,上限値が 87% と推定されている.
今回の結果では,同じ質量範囲,軌道周期 1-1.58 日の範囲で,存在頻度の上限値はそれぞれ 21% と 7% と推定されており,この値は惑星質量の区切り方に依存する.
今回の観測では超低温矮星のサンプルサイズが 827 個と大きく,He et al. (2017) で得られているよりも厳しい制約を与えた.ただし He et al. (2017) はスピッツァー宇宙望遠鏡の観測データであるため,より晩期のスペクトル型の天体が含まれている.
Demory et al. (2016) は,中期-晩期 M 型星回りでの「膨張した」 TRAPPIST-1b 的な惑星の検出効率を測定した.つまり,軌道周期が 3 日程度未満の短周期の惑星で,最大 0.25 木星半径 (ミニネプチューンサイズ) の惑星の検出効率を測定した.その結果,K2 ミッションはミニネプチューンに感度が高く,もしトランジットしていれば 71% が検出可能とした.しかし惑星の探査の結果としては検出は無かった,そのため,中期-晩期 M 型矮星のまわりでは,早期-中期 M 型周りと同様,高温のミニネプチューンは希少であると結論付けている.
今回の結果でも,M 型から K 型矮星まわりでの高温のミニネプチューンは希少であることを見出した.ミニネプチューンのトランジットの検出効率は 60% であることが期待されるが,一つも発見されなかった.そのため,ミニネプチューンの存在頻度の上限値は 54% から 10% と推定される,
M 型星周りと同様に,超低温矮星周りではこのタイプの惑星は希少である.
arXiv:1912.04286
Sagear et al. (2019)
Upper Limits on Planet Occurrence around Ultracool Dwarfs with K2
(K2 での超低温矮星まわりの惑星存在度の上限)
概要
NASA のケプラーの K2 ミッション中の Guest Observer プログラムでの,827 個の超低温矮星周りでのトランジット惑星の探査結果を報告する.これらのサンプル中にはトランジット惑星は検出されず,この結果を元に惑星の存在頻度に上限を与えた.
様々な軌道周期と惑星サイズで,サンプルの恒星を公転する惑星を模擬した.中心星をトランジットする模擬惑星のトランジット光度曲線を作成し,それを実際の K2 の光度曲線に注入し,そのシグナルから注入された惑星の復元を試みた.与えられた惑星の存在頻度について,惑星を検出しない確率を計算し,それを使用して惑星の存在頻度を惑星半径と軌道周期の関数として上限値を与えた.
短周期のミニネプチューンと木星サイズの惑星は超低温矮星の周りでは希少な存在であり,これは早期・晩期 M 型矮星周りでの結果と整合的である.ここでは,軌道周期が 1-26.3 日,惑星半径が 0.5-10 地球半径の惑星について,超低温矮星周りでの惑星の存在頻度への制約を与えた.
議論
今回の結果は,原始惑星系円盤内での惑星形成から予想される存在頻度への制約と整合的である.Rilinger et al. (2019) による,2 つの M7 型褐色矮星の原始惑星系円盤の質量と半径の測定では,一方の円盤は地球質量の惑星やそれより小さいものを形成できるだけの物質しか含んでおらず,もう一方は惑星形成に十分な物質を含んでいないことが分かっている.このことは,褐色矮星の周りでは 1 地球質量より重い惑星は希少であることを示唆している.
Payne & Lodato (2007) では,コア降着モデルによる惑星形成では,0.05 太陽質量の褐色矮星周りでは形成される惑星質量の最大値は 5 地球質量と推定されている.
He et al. (2017) は,L3-T8 型の 44 個の褐色矮星周りでスピッツァー宇宙望遠鏡を用いて惑星を探査し,今回と同じく発見された惑星は無かった.この結果からは,軌道周期が 1.28 日未満で 0.75-3.25 地球半径を持つ惑星の存在頻度は,そのサンプル中で 67% 未満と結論付けられている.また 0.75-1.25 地球半径を持つ惑星の存在頻度は,上限値が 87% と推定されている.
今回の結果では,同じ質量範囲,軌道周期 1-1.58 日の範囲で,存在頻度の上限値はそれぞれ 21% と 7% と推定されており,この値は惑星質量の区切り方に依存する.
今回の観測では超低温矮星のサンプルサイズが 827 個と大きく,He et al. (2017) で得られているよりも厳しい制約を与えた.ただし He et al. (2017) はスピッツァー宇宙望遠鏡の観測データであるため,より晩期のスペクトル型の天体が含まれている.
Demory et al. (2016) は,中期-晩期 M 型星回りでの「膨張した」 TRAPPIST-1b 的な惑星の検出効率を測定した.つまり,軌道周期が 3 日程度未満の短周期の惑星で,最大 0.25 木星半径 (ミニネプチューンサイズ) の惑星の検出効率を測定した.その結果,K2 ミッションはミニネプチューンに感度が高く,もしトランジットしていれば 71% が検出可能とした.しかし惑星の探査の結果としては検出は無かった,そのため,中期-晩期 M 型矮星のまわりでは,早期-中期 M 型周りと同様,高温のミニネプチューンは希少であると結論付けている.
今回の結果でも,M 型から K 型矮星まわりでの高温のミニネプチューンは希少であることを見出した.ミニネプチューンのトランジットの検出効率は 60% であることが期待されるが,一つも発見されなかった.そのため,ミニネプチューンの存在頻度の上限値は 54% から 10% と推定される,
M 型星周りと同様に,超低温矮星周りではこのタイプの惑星は希少である.
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