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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1912.10793
Barnes et al. (2019)
An ablating super-Earth in an eccentric binary from the Dispersed Matter Planet Project
(Dispersed Matter Planet Project での離心連星系にある蒸発するスーパーアース)

概要

地球質量の系外惑星は検出が難しい.Dispersed Matter Planet Project (DMPP) では,検出可能な低質量の系外惑星を持っていると思われる恒星を観測対象として選定している.

DMPP-3 (HD 42936) のスペクトルは星周物質による吸収の兆候が見られ,これは恒星に近接する蒸発する惑星からの質量放出を示唆するものである.ここでは,視線速度観測による,高軌道離心率を持つ軌道周期 507 日の連星天体と,中心星まわりを 6.67 日で公転する高温なスーパーアースの発見を報告する.

DMPP-3A は太陽型星だが,DMPP-3B は水素核融合を起こす質量よりわずかに大きい.連星の軌道長半径は 1.22 ± 0.22 AU であり,連星の片方のみを公転する惑星を持つ連星系としては,他の同様の系と比べて極めて近い距離にある.

この系のような軌道配置は希少であり,力学相互作用の存在を示唆している.しかしこの系の進化の歴史は明らかではない.

今回発見された惑星 DMPP-3Ab は巨大惑星の前駆体の残骸コアである可能性があり,恒星の周囲を覆う星周ガスの存在が示唆されていることと整合的である.

背景

これまでに発見されている系外惑星のうち,多重星系中に発見されているのはわずか 5% である.しかし,太陽系に最も近い系外惑星であるプロキシマ・ケンタウリb は三重星系であるアルファ・ケンタウリ星系にある.

さらに,多重星系中に発見されている惑星のうち,質量が測定されている惑星の 89% は海王星よりもずっと重いが,ケプラーによる観測の結果からは,サブアースからスーパーアースサイズの惑星が一般に最も多いことが示唆されている.そのため,多重星系の中には多数の未発見の低質量惑星が存在しているはずである.

しかしケプラーの統計によると,連星の軌道間隔が 47 AU 未満の系では,惑星の存在頻度は広い間隔を持つ連星や単独で存在する恒星の 1/3 になる.

連星系における惑星は,2 つのカテゴリに分類される.連星 2 つの周囲を公転する周連星惑星 (P-type) と,連星の中の片方 1 つの恒星を公転する S-type 惑星である.後者のタイプの惑星は長周期連星系で発見されており,この場合の連星の軌道長半径は 10 - 28000 AU である.これは,連星が近接している場合,原始惑星系円盤の潮汐切り取りが発生し,また連星からの力学的擾乱によって微惑星の相対速度が上昇して惑星形成に不利に働くことを考えると,驚くべきことではない.

今回発見された惑星系は独特な存在である.
スーパーアースが S-type の惑星として存在しており,連星系は離心率が大きく,軌道長半径はわずか 1.22 ± 0.22 AU しかない.そのためこの系は力学的な進化,例えば Kozai-Lidov 機構などの影響を調べる上で良い対象である..

Dispersed Matter Planet Project について

このプロジェクトは,惑星を持つ中心星のうちのいくつかが,異常に減衰された彩層放射を持つという観測事実が動機となっている.

活動領域を持たない低温な恒星の場合,Ca II H&K 線のコア放射は彩層での非輻射加熱によって生み出される.この活動指標の基礎レベルとして \(\log\left(R’_{\rm HK}\right)=-5.1\) という値が用いられる.基礎レベルより低い値であることは,星周物質によって恒星からの放射が吸収されていることを示唆する.例えば,近接して公転する惑星から蒸発したガスなどによる吸収である.

今回観測対象とした主星 DMPP-3 は,低速自転の金属量が豊富な明るい恒星である.活動度は -5.14 で,年老いた不活発な主系列星に予想される値をわずかに下回る.そのため DMPP の観測対象として選定された.

パラメータ

DMPP-3A
別名:HD 42936
等級:V = 9.09
スペクトル型:K0V
距離:48.9 pc
有効温度:5138 K
金属量:[Fe/H] = 0.18
半径:0.91 太陽半径
質量:0.87 太陽質量
年齢:109 億歳
DMPP-3Ab
軌道周期:6.6732 日
軌道離心率:0.140
最小質量:2.58 地球質量
軌道長半径:0.0662 AU
DMPP-3B
軌道周期:506.844 日
軌道離心率:0.594
質量:79.9 木星質量
軌道長半径:1.221 AU

伴星について

伴星である DMPP-3B の最小質量は 79.9 木星質量 (0.076 太陽質量) であり,水素燃焼に必要な質量 (0.075 太陽質量,78.6 木星質量) をわずかに上回る.そのため,この天体は水素燃焼を維持している L 型矮星だろうと考えられる.

惑星のトランジット確率

軌道周期からは,軌道配置がランダムだとするとトランジット確率は 6.4% と推定される.しかし角運動量を考慮すると,惑星から蒸発した物質は惑星の軌道平面に濃集して残ると考えられる.そのため,ランダム配置を元にして推定した値よりもトランジット確率は高いと思われる.

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