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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1510.06387
Vanderburg et al. (2015)
A disintegrating minor planet transiting a white dwarf
(白色矮星をトランジットする、破壊されつつある小惑星)

概要

白色矮星は、太陽を含む恒星の最終状態のひとつである。すなわち、核融合の燃料を使い果たした後の姿である。

白色矮星の 1/4 - 1/2は、大気中にヘリウムより重い重元素が検出されているが、それらの重元素は新たな供給がある場合を除けば、白色矮星の内部へ急速に沈殿してしまうものである。白色矮星大気中の重元素の存在比は、太陽系内の岩石天体の存在比と類似している。この事実と、4%の白色矮星は周囲に温かいデブリ円盤を持つという観測結果は、白色矮星になる前の惑星系中の岩石天体が白色矮星の大気を汚染しているという事を示唆する。

白色矮星に降着した質量の総量は、太陽系内の大きな小惑星と同程度の量になると考えられる。しかし、惑星などの天体が破壊される所はこれまでに観測されていない。

ここでは白色矮星の観測から、少なくとも1つの天体と、そしておそらくは破壊中の複数の小惑星が白色矮星をトランジットしていることを示す観測結果について報告する。

トランジットしている天体の周期は 4.5 - 4.9時間であった。また最も強いトランジットシグナルを示すものは、4.5時間の周期であった。このシグナルは、最大で 40%のトランジット深さの変動を示し、非対称形の光度曲線であった。この結果は、小さい天体と、その天体から流出していくダストによる彗星状の尾が引き起こすものだと考えられる

白色矮星はダストに富んだデブリ円盤を持ち、スペクトルからは明確な重元素 (マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、カルシウム、鉄、ニッケル)の線が検出された。従ってこの天体は、白色矮星の重元素汚染は、小惑星などの岩石天体によるものだという証拠となり得る。

観測について

観測対象の白色矮星

今回観測した白色矮星は、WD 1145+017、別名 EPIC 201563164である。これはケプラー宇宙望遠鏡のK2ミッションで観測された、ヘリウムエンベロープを持つ白色矮星である。この白色矮星を、地上観測からフォローアップ観測を行った。

この白色矮星の大気からは重元素が検出されている。この白色矮星は、形成後 (白色矮星となってから) ~ 1億7500万年経過していると考えられ、白色矮星の冷却時間よりもずっと早く重元素は内部へ沈殿してしまうはずである。そのため、何らかの重元素の供給が存在すると考えられる。

この白色矮星の有効温度は 15900 Kである。またスペクトルからは赤外超過が検出されており、温かい (~ 1150 K)ダストに富んだデブリ円盤を持っていることが示されている。

トランジット観測

トランジット観測では、6つのトランジット天体を同定した。これらの小天体は、ケレス (1.6 × 10-4地球質量)や、あるいはハウメア (6.7 × 10-4地球質量)と同程度か、それより小さい程度の天体であると推測される。この質量の推定値は、軌道周期が 4.5 - 4.9時間という狭い範囲に、円軌道で ~ 106周する間安定であるという条件で力学計算を行うことによって推定したものである。

白色矮星による潮汐力を考えると、ガス状天体だとロッシュローブオーバーフローを起こしてしまい存在できない。また密度は 2 g cm-3より大きい場合は潮汐で破壊されない。これらの天体は、白色矮星になる前の恒星からの質量放出によって軌道が不安定化され、内側への軌道移動が起きて現在の軌道になったものと考えられる。

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