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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1510.06848
Tanigawa & Tanaka (2015)
Final Masses of Giant Planets II: Jupiter Formation in a Gas-Depleted Disk
(ガス惑星の最終質量II:ガスの散逸した円盤での木星形成)

概要

原始惑星系円盤内でのガスの獲得に寄って成長するガス惑星の最終質量についての計算を行った。計算には、惑星がガスを獲得する速度の経験的な公式と、惑星が円盤に開ける浅いギャップのモデルを用いている。このどちらも、流体力学的計算に基づくものである。

計算の結果、10木星質量よりも軽いガス惑星に関しては、成長率は主に大局的な円盤の降着を通じだガスの供給によってコントロールされることが分かった。また惑星が円盤に開けるギャップは降着を制限しないことも分かった。

次にこの結果を太陽系での惑星形成に適用した。木星形成に関しては、固体コアがガスを獲得し始める段階において、数木星質量の非常に低質量の円盤になっている必要があるということが分かった。これは、固体コアのガスの獲得が止まらないためである。このような一定量の固体物質を持つ低質量の円盤は、初期に ~ 10 AUサイズのコンパクトな円盤の粘性進化によって形成される。

穏やかな粘性による降着率を仮定した場合 (α ~ 10-3)、円盤ガスの大部分は太陽へ落下する。広く拡散した円盤ガスが、木星の固体コアがガスの獲得を始める ~ 107年の段階で存在する。
非常に低質量の円盤中では、惑星のタイプI、タイプII惑星移動は強く抑制される。特に、木星程度の惑星が原始惑星系円盤に自ら開けるギャップによるガスの現象によって、タイプII惑星移動は非効率となる。

主な結果

(1) ガス惑星の成長率
惑星が円盤に開けるギャップは浅いということが、流体力学的計算によって近年分かってきた。この浅いギャップのため、ガス惑星はガスを獲得することによる成長を止めることが出来ない。ガスの獲得を制限することができるのは、円盤全体のガスの減少だけである。

10木星質量以下の惑星については、成長率は大局的な円盤の進化を通じたガス供給によって左右され、惑星によるギャップ形成には依存しない。ただし 10木星質量より重い惑星の場合は、成長率はギャップ形成に依存する。

(2) 円盤のinner hole
10木星質量未満の惑星については、円盤降着による供給は非効率的である。これは、ギャップの外側であってもガスの面密度の現象を生じ、原始惑星系円盤に内側の穴を形成するからである。また、軽い惑星は、思い惑星よりも深い内側の穴を形成することを示唆している。

(3) 太陽系形成のための初期条件
ガス惑星の成長は止まらないため、木星形成のためには木星コアがガスの獲得を始めた段階で数木星質量程度の非常に軽い円盤である必要がある。この円盤は、最小質量円盤 (Minimum mass solar nebula, MMSN)よりも軽い。しかし太陽系形成のためには、~ 80地球質量の固体物質が必要である。すなわち、非常に低質量で、なおかつ金属量が高い円盤が必要である。

このような円盤は、初期に太陽組成を持ち、~ 10 AUサイズのコンパクトな円盤が進化することによって実現可能である。降着率は α ~ 10-3である。円盤ガスの大部分は太陽へ降着する。これは、太陽系のガス惑星が金属量が多いという事実と整合的なものである。

(4) 惑星移動への影響
非常に低質量な円盤によって、タイプI、タイプII惑星移動は抑制される。特に、惑星が自ら円盤にギャップを開けてガスを減少させることによって、タイプII惑星移動は抑制される。これは太陽系外惑星系でも木星型惑星が ~ 1 AU程度の距離に蓄積していることと整合的である。

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