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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:2003.05052
Fujii & Ogihara (2020)
Formation of single-moon systems around gas giants
(巨大惑星周りでの単一衛星系の形成)

概要

衛星系の形成過程を説明するために,いくつかのメカニズムが提案されている.比較的大きな衛星は,周惑星円盤の中で形成されたと考えられている.大きな衛星が一つだけ存在する単一の衛星系を形成するのは,複数衛星を持つ系や衛星を持たない系を作るのよりも難しいことが知られている.
ここでは,土星の周りにあるタイタンのような,単一の大きい衛星を持つ系を形成する経路を見出すことを目的とした研究を行った.

円盤内での衛星の軌道移動について調査を行った.衛星の軌道移動の方向と速度は,周惑星円盤の特性に依存する.円盤の温度構造の効果を取り入れた,散逸する周惑星円盤をモデル化し,様々な周惑星円盤の最終進化段階におけるタイタン質量の衛星の軌道進化を計算した.
また N 体シミュレーションを用いて,初期に複数の衛星を持っている系が最終的に単一の衛星を維持するかを調査した.

ダストの不透明度で特徴付けられる円盤の温度構造の動径方向の傾きは,タイタン質量の衛星の内側移動を回避できる軌道の部分的なパッチ領域を生み出し,また円盤の粘性がある範囲内にある場合は外側移動も起きうることが判明した.このパッチ領域の存在は,初期に外側軌道にいた衛星を円盤内にとどまらせるのを助ける一方,内側の軌道の衛星は惑星に落下する.

結果として,巨大惑星の周りに単独の大きな衛星が存在する系の形成を初めて再現した.また N 体シミュレーションは,衛星形成は周惑星円盤の外側領域では効率的ではないことを示唆した.

タイタン質量衛星の移動

初期に複数のタイタン質量の衛星を置き,相互作用を無視して,円盤内での軌道進化を計算した.

円盤粘性が α = 10-3 の時は共回転トルクが飽和し,また円盤が急速に散逸するため,衛星はほぼ変わらず残る.そのため長期間に渡って衛星を維持することができる.粘性が 10-5 の場合は,全ての衛星が内側移動によって失われる.10-4 の場合は衛星が外側移動できる領域があり,落下せずとどまりうる.残った衛星が数十土星半径程度の位置に留まるかどうかは,円盤散逸のタイミングで決まる.

N 体シミュレーションで衛星同士の相互作用を入れて計算した場合,7 個のタイタン質量衛星を置いて計算すると,内側は落下し外側一つが生き残る解があり得る.またタイタンの半分の質量の衛星を 9 個置いたケースでは,外側 2 つが合体,残りの内側は合体しつつ落下した.結果として,タイタン質量の衛星が一つだけ残される解がありうる.

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