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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1511.07385
Owen & Morton (2015)
The initial physical conditions of Kepler-36 b & c
(ケプラー36b, cの初期の物理条件)

概要

ケプラー36系は 2つの惑星を持ち、それらの軌道間隔は非常に狭く (0.115 AU, 0.128 AU)、また両者の密度は大きく異なる。内側の惑星は地球の組成と同程度の密度と整合的な値であるが、外側の惑星は非常に低密度であり、大量の水素・ヘリウムエンベロープを保持するはずである。もし現在の平均密度がそれぞれの惑星の形成時の組成を繁栄しているのであれば、この 2惑星は全ての惑星形成理論に対して問題を投げかけることになる。

しかしこの 2惑星は、誕生直後の時期であれば大量の大気散逸が発生するほどの小さな軌道長半径を持っている。そこで、ここでは現在の惑星質量・半径を束縛条件とした惑星大気の蒸発のモデルを用い、惑星のコア質量、コア組成、初期のエンベロープの質量、また初期の惑星大気の冷却時間への制限を与えた。惑星質量・半径はケプラーの測光観測と、トランジット時刻変動 (transit timing variation TTV)を用いた。

その結果、内側の惑星は大気の蒸発によって剥ぎ取られたコアであり、外側の惑星は大きいコア質量のため初期のエンベロープの一部を現在も保持している状態であることを示した。従って、両惑星は共に同様の形成過程を辿ったと考えられる。内側の惑星は初期のエンベロープ質量の全体に対する割合は 10%以下、コア質量は ~ 4.4地球質量、外側の惑星はそれぞれ 15 - 30%、~ 7.3地球質量と推定される。

この結果は、外側の惑星の初期の冷却時間は 30 Myr以上と長いことを示唆する。これは、単純なタイムスケールに関する議論から導かれる値 (~ 10 Myr未満)よりも長いものである。この初期の長い冷却時間は、例えば "boil-off" プロセスのような、初期の大規模な冷却イベントが発生したことの証拠であるかも知れない。

(Boil-offプロセスは、円盤のガスが腫れ上がった直後に大規模な質量散逸と冷却を起こすというモデルのこと (Owen & Wu 2015))

ケプラー36系について

ケプラー36の周囲には2つの惑星が発見されている (Carter et al. 2012)。二つ (ケプラー36b, c)は近接した軌道で、7:6の平均運動共鳴に入っている。

内側のケプラー36bは、~ 4.3地球質量、軌道長半径は 0.115 AUで、平均密度は ~ 6.8 g cm-3である。
外側のケプラー36cは、~ 7.7地球質量、軌道長半径は 0.128 AUで、平均密度は ~ 0.8 g cm-3である。
そのため、ケプラー36bは固体の岩石惑星、ケプラー36cは水素・ヘリウムエンベロープを含む惑星であると考えられる。このような、非常に近接した惑星の構造が大きく異なる系は、通常の惑星形成理論では作るのが難しい。

計算モデル

ここでは、惑星の進化モデルとしては、Owen & Wu (2013, 2015)と、恒星進化を計算するためのオープンコード MESA (Paxton et al. 2011, 2013)を用いている。大気の蒸発率は Owen & Jackson (2012)の物を用いている。また、恒星の放射等級とその進化は、Paxton et al. (2013)、Owen & Wu (2015)を用いた。

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