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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1511.07854
Thorngren et al. (2015)
The Mass-Metallicity Relation for Giant Planets
(巨大惑星における質量-金属量の関係)

概要

現在は系外惑星が多数発見されており、巨大ガス惑星の全体の組成に関する研究も進んでいる。ここでは、38個のトランジット惑星を同定して調査を行った。選定したのは 20地球質量 - 20木星質量の質量範囲にあり、かつ日射量が十分低いもの (< 2 × 108 erg s-1 cm-2、あるいは有効温度 < 1000 K)をピックアップした。これは、ホットジュピターの異常膨張のメカニズムの影響を受けていない程度の日射量と考えられるものである。

これらの惑星に対し、新しい熱的・構造進化のモデルを計算し、38個の惑星の特徴と比較して各惑星の重元素の質量を決定した。その結果、惑星の重元素の質量と惑星全体の質量の間には明確な相関が見られることが分かった。この相関は概ね、惑星の重元素質量 ∝ √(惑星質量) という関係で近似でき、これは惑星形成のコア集積モデルを整合的な関連性である。

また、恒星の金属量 [Fe/H]の値が、惑星の金属濃縮 (metal enrichment)に影響するかについても調べた。その結果、過去に行われた惑星のサンプル数が少ない場合での結果 (Miller & Fortney 2011)よりも弱い相関が得られた。Miller & Fortney (2011)では 14惑星のみで調査を行っており、全体としての傾向は似ているものの、相関は今回の結果のほうが弱い。

これらの結果は。大きな重元素質量を持つ惑星は、金属量の多い恒星の周りでは一般的である事を示唆する。しかしそれのみで関係が決まるわけではない。
また惑星の金属量と恒星の金属量の比率と、惑星質量の間には強い相関があることも確認した。しかし、惑星の金属量と恒星の金属量の比率と惑星の軌道要素・恒星質量との間には相関は見られなかった。

連星周りの惑星 (周連星惑星、circumbinary planet)では、同程度の質量の単独の恒星-惑星系と比較して重元素の質量が大きい傾向にあることも分かった。しかしサンプル数が 4例であるため、周連星惑星であることによる効果ははっきりとはしていない。

多くの惑星で大きな重元素質量 (> 50地球質量)を示すという結果は、重元素はコアよりも水素・ヘリウムエンベロープ中に多く存在することを示唆する。そのため、重元素に富んだ大気を持つ巨大ガス惑星が標準的であろうと考えられる

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