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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1601.07844
Johnson et al. (2016)
Confirmation of Two Hot Jupiters from K2 Campaign 4
(K2 キャンペーン 4 による 2 つのホットジュピターの確認)

概要

ケプラーの K2 ミッションの Campaign 4 で検出された 2 つのトランジットを起こすホットジュピターを,視線速度観測を用いて確認した.

観測に用いたのは,カナリア諸島ラ・パルマ島のロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台にある,2.56 m Nordic Optical Telescope に搭載されている,FIbre-fed E ́chelle Spectro- graph (FIES, Frandsen & Lindberg 1999など) と,テキサス州のマクドナルド天文台にある 2.7 m Harlan J. Smith Telescope に搭載されている Robert G. Tull coud ́e spectrograph を用いた.さらに,ラ・パルマ島にある HARPS-N も用いている.


なお,観測で惑星が確認された恒星の名前は EPIC 211089792EPIC 210957318 であるが,当論文中ではケプラーの Campaign 4 から,C4_9792, C4_7318 と略記している.
"EPIC" は "Ecliptic Plane Input Catalogue" であり,ケプラー K2 ミッションのための恒星カタログである.EPIC + [9 桁の数字] という名称になっており,従来のケプラーミッションにおける KIC (Kepler Input Catalogue) カタログと同じ位置付けである.EPIC の後の数値は 210000000 から始まり,220000000 程度かそれ以上まで数字が振られている.

パラメータ

EPIC 211089792 系

・EPIC 211089792
スペクトル型:K1V
金属量:[Fe/H] = 0.00
有効温度:5222 K
自転周期:10.777日
質量:0.864太陽質量
半径:0.748太陽半径
光度:0.374太陽光度
年齢:2.6 Gyr
距離:167.1 pc

・EPIC 211089792b
公転周期:3.2589263日
軌道長半径:0.04097 AU
軌道離心率:0.086
質量:0.613木星質量
半径:0.998木星半径
平衡温度:1076 K

EPIC 210957318 系

・EPIC 210957318
スペクトル型:G6V
金属量:[Fe/H] = -0.15
有効温度:5925 K
質量:0.900太陽質量
半径:0.844太陽半径
光度:0.554太陽光度
年齢:3.9 Gyr
距離:279.0 pc

・EPIC 210957318b
公転周期:4.098503日
軌道長半径:0.04839 AU
軌道離心率:0 (fixed)
質量:0.579木星質量
半径:1.079木星半径
平衡温度:1092 K

各系の特徴

EPIC 211089792 系

発見された惑星 EPIC 211089792b は,太陽に近い金属量を持った恒星周りの,木星よりやや軽い,木星半径程度の惑星である.

軌道離心率が大きいのが特徴である.同程度の規模のホットジュピターの中でこの値は大きい部類に入る.

中心星は,等時線 (isochrone) から示唆される年齢は 2.6 Gyr である.しかし恒星の自転から年齢を割り出す手法である gyrochronology では 367 Myr と非常に若い値を示す.ホットジュピターを持つ恒星の場合,等時線から導かれる年齢に比べると,gyrochronology では若い年齢を示しがちである.これは恒星と惑星の潮汐か磁場の相互作用によるものと考えられる.

惑星の軌道離心率が大きいのは,別の擾乱源が存在する可能性もある.仮にそうであれば,トランジット時刻変動 (transit timing variation, TTV) に兆候が現れる可能性がある.しかし K2 のデータはそれを探るには不十分であるため,今回はその可能性については追求していない.

EPIC 210957318 系

発見された惑星 EPIC 210957318b については,軌道離心率を制限するほどの十分な視線速度データが得られなかった.そのため,今回の解析では 0 に固定している.

中心星は,太陽よりも金属量が乏しい恒星である.金属量 [Fe/H] = -0.15 は,ホットジュピターを持つ恒星としては目立って小さい値であるが,前例が無いわけではない.例として,WASP-98 の金属量は [Fe/H] = -0.6 である (Hellier et al. 2014).

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