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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1601.07608
Espinoza et al. (2016)
A Neptune-sized Exoplanet Consistent with a Pure Rock Composition
(純粋な岩石組成と整合的な海王星サイズの系外惑星)
中心星は比較的明るく,やや金属量に乏しい,太陽類似星 (solar analog) である.
K2 の測光観測と HARPS の視線速度観測から,軌道周期 ~ 42日,2.23地球半径,16.3地球質量であると判明した.この半径と質量からは,組成は岩石が殆どを占め,揮発性物質は少ないというモデルと整合的であることが分かった.これは海王星サイズの惑星には稀な.例外的なものである.
大部分の岩石惑星は,1.6地球半径よりも小さい半径を持つ (Rogers 2015).この半径は,質量にすると ~ 6地球質量に対応している.このあたりの質量・半径を持つ惑星は,検出が難しい.
CoRoT-7b の発見の後,半径と質量がある程度測定されており,岩石組成だと推定されているものは,GJ 1132b (Berta-Thompson et al. 2014), ケプラー36b (Carter et al. 2012), K2-3d (Crossfield et al. 2015, Almenara et al. 2015), ケプラー93b (Dressing et al. 2015), ケプラー10b (Dumusque et al. 2015, Weiss et al, 2016), ケプラー23b (Ford et al. 2012, Hadden & Lithwick 2014), ケプラー20b (Fressin et al. 2012), ケプラー406b (Marcy et al. 2014), ケプラー78b (Sanchis-Ojeda et al. 2013など) の 9個である.これらは理論の予測通り,~ 1.6地球半径よりも小さい.
スペクトル型:G
金属量:[Fe/H] = -0.15
有効温度:5766 K
質量:0.961太陽質量
半径:0.928太陽半径
光度:0.88太陽光度
距離:152.1 pc
年齢:3.34 Gyr
別名:EPIC 210848071
・BD+20594b
公転周期:41.6855日
軌道長半径:0.241 AU
質量:16.3 (+6.0, -6.1) 地球質量
半径:2.23 (+0.14, -0.11) 地球半径
密度:7.89 (+3.4, -3.1) g cm-3
平衡温度:546 K (ボンドアルベドが 0.0 の場合),386 K (同じく 0.75 の場合)
観測の誤差が大きいため,現状では岩石主体も,岩石と水の混合としての組成も,どちらのモデルも観測結果とは整合的である.Rogers (2015) に従い組成の評価も行ったが,岩石主体である確率が高い.
固体惑星は,~ 10地球質量を超えると大量の大気をまとってしまうと考えられている (Ikoma & Hori 2012).全体の組成と軌道長半径を考えると,中心星からの X線や極端紫外線での質量散逸が起きる可能性も小さい.従って,原始惑星系円盤のガスが散逸した後に形成されたか,巨大衝突などの外的要因で大気を失ったかのシナリオが考えられる.
arXiv:1601.07608
Espinoza et al. (2016)
A Neptune-sized Exoplanet Consistent with a Pure Rock Composition
(純粋な岩石組成と整合的な海王星サイズの系外惑星)
概要
新しい系外惑星 BD+20594b の発見を報告する.ケプラーの K2 ミッションの Campaign 4 で発見された.この惑星は,海王星サイズの惑星であり,組成は純粋な岩石組成と整合的であると考えられる.中心星は比較的明るく,やや金属量に乏しい,太陽類似星 (solar analog) である.
K2 の測光観測と HARPS の視線速度観測から,軌道周期 ~ 42日,2.23地球半径,16.3地球質量であると判明した.この半径と質量からは,組成は岩石が殆どを占め,揮発性物質は少ないというモデルと整合的であることが分かった.これは海王星サイズの惑星には稀な.例外的なものである.
研究背景
初めて発見された太陽系外の岩石惑星は,CoRoT-7b である (L ́eger et al. 2009, Queloz et al. 2009).ここでの「岩石惑星」とは.MgSiO3 + Fe を主成分とする惑星のことである (Rogers 2015).大部分の岩石惑星は,1.6地球半径よりも小さい半径を持つ (Rogers 2015).この半径は,質量にすると ~ 6地球質量に対応している.このあたりの質量・半径を持つ惑星は,検出が難しい.
CoRoT-7b の発見の後,半径と質量がある程度測定されており,岩石組成だと推定されているものは,GJ 1132b (Berta-Thompson et al. 2014), ケプラー36b (Carter et al. 2012), K2-3d (Crossfield et al. 2015, Almenara et al. 2015), ケプラー93b (Dressing et al. 2015), ケプラー10b (Dumusque et al. 2015, Weiss et al, 2016), ケプラー23b (Ford et al. 2012, Hadden & Lithwick 2014), ケプラー20b (Fressin et al. 2012), ケプラー406b (Marcy et al. 2014), ケプラー78b (Sanchis-Ojeda et al. 2013など) の 9個である.これらは理論の予測通り,~ 1.6地球半径よりも小さい.
パラメータ
・BD+20594スペクトル型:G
金属量:[Fe/H] = -0.15
有効温度:5766 K
質量:0.961太陽質量
半径:0.928太陽半径
光度:0.88太陽光度
距離:152.1 pc
年齢:3.34 Gyr
別名:EPIC 210848071
・BD+20594b
公転周期:41.6855日
軌道長半径:0.241 AU
質量:16.3 (+6.0, -6.1) 地球質量
半径:2.23 (+0.14, -0.11) 地球半径
密度:7.89 (+3.4, -3.1) g cm-3
平衡温度:546 K (ボンドアルベドが 0.0 の場合),386 K (同じく 0.75 の場合)
議論
この惑星は,そのサイズにしては特異な特徴を持つ.半径と質量から組成を推定すると,岩石 (MgSiO3) と少量の鉄,揮発性物質からなると考えられる.岩石惑星と非岩石惑星の境界に位置する惑星である.岩石惑星であることが確認された場合は,このサイズの惑星としては前例が無い.観測の誤差が大きいため,現状では岩石主体も,岩石と水の混合としての組成も,どちらのモデルも観測結果とは整合的である.Rogers (2015) に従い組成の評価も行ったが,岩石主体である確率が高い.
固体惑星は,~ 10地球質量を超えると大量の大気をまとってしまうと考えられている (Ikoma & Hori 2012).全体の組成と軌道長半径を考えると,中心星からの X線や極端紫外線での質量散逸が起きる可能性も小さい.従って,原始惑星系円盤のガスが散逸した後に形成されたか,巨大衝突などの外的要因で大気を失ったかのシナリオが考えられる.
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