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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1602.01769
Pan & Wu (2016)
On the mass and origin of Chariklo's rings
(カリクローの環の起源と質量について)

概要

2013年と 2014年のケンタウルス族の天体カリクロー (10199 Chariklo) とその環の観測からは,内側の重い環の動径方向の幅は経度によって異なることが明らかにされた.これは,カリクローの大きな四重極モーメントが起こすであろう歳差の影響にも関わらず,環は有限の軌道離心率を持つことを強く示唆する結果である.

仮にこの構造が,天王星の環のように環の自己重力で維持されているのであれば,環の質量は数 1016 g であり,典型的な粒子サイズは数メートル程度と推定される.この結果は衝突拡散時間が ~ 105 年であることを示唆し,この時間はケンタウルス族天体の典型的な力学的な寿命の数百万年よりも幾分か短い.また,太陽系の年齢よりはずっと短い.

この時間の制約を踏まえ,これまでに提案されている環の形成機構 (衝突によるもの,衛星の破壊に依るもの) を評価した.

また,対照的な形成機構である,カリクロー表面からの粒子の持ち上げについても詳細に調査した.これは,カリクローの軌道が巨大惑星によって内側に散乱された後に,一酸化炭素か窒素 (あるいはその両方) の昇華によるアウトフローによって,ダスト粒子がカリクローを回る軌道にまで運ばれたという形成機構である.

後者のシナリオによると,サイズが 100 km クラスのケンタウルス族天体には環は一般的であり,しかしカイパーベルト天体や小さいケンタウルス族には環は稀であるということが予測される.また,分点通過直後の活動度最大の時に,ケンタウルス族天体は彗星的な活動の季節変動を起こすことを予測する.

カリクローの環

2013年6月3日のカリクローの掩蔽観測から,2つの濃く細いリングが検出された (Braga-Ribas et al. 2014).これは太陽系の小天体まわりに環が発見された初めての例である.

カリクローはケンタウルス族と呼ばれるグループに所属する天体である.ケンタウルス族天体は,カイパーベルト天体が惑星との遭遇によって内側の巨大惑星領域に散乱されたものであり,典型的な力学的タイムスケールは数百万年とされている (Bailey & Malhotra 2009).

環が発見された際の観測では,内側の重い環が検出され,また掩蔽に入る側の環の幅は 7.17 km,掩蔽から出る側の環の幅は 6.16 km と判明した.これは 2014年の掩蔽観測でも同様の結果が得られている (Sicardy et al. 2014).

カリクローの扁平度は大きく,ε = 0.213 と測定されている (Braga-Ribas et al. 2014).この値から示唆されるJ2 モーメントは,環に微分歳差を引き起こすため,観測された環の離心率の値は驚くべき値である.

小天体の環

ケンタウルス族天体で 2番目に大きい天体であるキロン (2060 Chiron) も,同じく掩蔽観測から環の存在が示唆されている (Ortiz et al. 2015, Ruprecht et al. 2015).

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