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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1603.06515
Pahlevan & Morbidelli (2016)
Collisionless encounters and the origin of the lunar inclination
(無衝突遭遇と月の軌道傾斜角の起源)
これまでの衝突過程のモデルでは,破片は周惑星円盤を形成し,地球の赤道上の軌道に集まったと考えられる.この状態から現在までを積分すると,月の軌道傾斜角は現在より 1 桁は小さい値となってしまい,これは月形成における未解決問題となっている.
ここでは,天体の地球への衝突しない接近の結果として,月の軌道傾斜角が変化するモデルを提案する.
これによると,0.0075 - 0.015地球質量の小天体が地球に数回接近することにより,月軌道の軌道傾斜角が励起され,現在の軌道傾斜角を説明することが出来ると考えられる.このプロセスは確率的に発生する現象だが,広いパラメータレンジで現在の軌道傾斜角である ~ 5° を説明することが出来る.
この円盤は,土星の環のように,進化のタイムスケールよりも速く赤道上空に薄く分布するようになる.従って,月は地球の赤道面に対して ~ 1° 以内の傾斜角を持って形成されるはずである.
しかし現在の月の軌道傾斜角は ~ 5° であり,さらに形成直後から現在までの潮汐進化を考えると,月が ~ 10 地球半径の位置で形成された時には傾斜角は ~ 10° で無ければならない.この,形成モデルとの 1 桁のずれが,未解決の "Lunar inclination problem" として知られている.
ここでは,モンテカルロシミュレーションを行い,潮汐と微惑星の近接遭遇の影響を取り入れた計算を行った.その結果,数回の大きな微惑星の接近によって月の軌道傾斜角は励起され,広いパラメータレンジで現在の値を説明することが出来ることが示された.
arXiv:1603.06515
Pahlevan & Morbidelli (2016)
Collisionless encounters and the origin of the lunar inclination
(無衝突遭遇と月の軌道傾斜角の起源)
概要
月は,惑星形成後期に,初期地球に惑星サイズの天体が衝突し,その破片から形成されたと考えられている.これまでの衝突過程のモデルでは,破片は周惑星円盤を形成し,地球の赤道上の軌道に集まったと考えられる.この状態から現在までを積分すると,月の軌道傾斜角は現在より 1 桁は小さい値となってしまい,これは月形成における未解決問題となっている.
ここでは,天体の地球への衝突しない接近の結果として,月の軌道傾斜角が変化するモデルを提案する.
これによると,0.0075 - 0.015地球質量の小天体が地球に数回接近することにより,月軌道の軌道傾斜角が励起され,現在の軌道傾斜角を説明することが出来ると考えられる.このプロセスは確率的に発生する現象だが,広いパラメータレンジで現在の軌道傾斜角である ~ 5° を説明することが出来る.
月の軌道傾斜角問題
月を形成する原因となった巨大衝突の結果,コンパクトな (半径が 10 地球半径以下) の円盤を形成したと考えられている.この円盤は,土星の環のように,進化のタイムスケールよりも速く赤道上空に薄く分布するようになる.従って,月は地球の赤道面に対して ~ 1° 以内の傾斜角を持って形成されるはずである.
しかし現在の月の軌道傾斜角は ~ 5° であり,さらに形成直後から現在までの潮汐進化を考えると,月が ~ 10 地球半径の位置で形成された時には傾斜角は ~ 10° で無ければならない.この,形成モデルとの 1 桁のずれが,未解決の "Lunar inclination problem" として知られている.
ここでは,モンテカルロシミュレーションを行い,潮汐と微惑星の近接遭遇の影響を取り入れた計算を行った.その結果,数回の大きな微惑星の接近によって月の軌道傾斜角は励起され,広いパラメータレンジで現在の値を説明することが出来ることが示された.
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