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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1604.00958
Fry et al. (2016)
Radioactive Iron Rain: Transporting 60Fe in Supernova Dust to the Ocean Floor
(放射性の鉄の雨:超新星ダスト中の鉄60の海洋底への輸送)

概要

これまでの幾つかの研究で,鉄60 (60Fe) の堆積が報告されている.この鉄60は地球近傍で発生した超新星起源のものと考えられ,地球の各地で異なる集積度であることが分かっている.

ここでは,太陽圏内に入った鉄60を含む星間塵が地球の海底にどう蓄積するのかについて考察した.堆積に至るための過程に,磁場の影響,到達の方向,風・海洋の循環などを考慮した.

その結果,最終的な分布には,超新星起源の物質が地球大気の中間圏・下部熱圏の通過が最も影響を及ぼすことが分かった.また,一様分布を仮定していた過去の研究の,超新星までの距離の推定は良い近似であることが分かった.

堆積物の表面分布の効果を含んだ結果,原因となった超新星は 46 (+10, -6) pc の距離で,質量が 8 - 10 太陽質量の恒星が起こした単一の超新星であることが示唆された.これは,Tuc-Hor steller group 内で,~ 2.8 Myr 前に発生した超新星からの物質が,~ 2.2 Myr 前に地球に到達したと考えるものと整合的な結果である.

超新星起源の塵は方向の情報を保っており,月のような不活性な天体では超新星起源の物質の分布は非等方的になっているだろうと予測される.そのため原理的には超新星の方向の示唆に使うことが出来る.

特に,現存する複数の月のサンプルには,測定可能なだけの鉄60の集積度の差異が存在することを予言する.
※補足
"Tuc-Hor" は "Tucana" と "Horologium" であり,それぞれ「きょしちょう座」と「とけい座」を意味する.Tuc-Hor steller group は,きょしちょう座ととけい座にまたがる領域に存在する恒星の集団のことである.

研究背景

近傍超新星の地球への影響

超新星は,銀河系の中では 100年に 1 - 3回発生する (Adams et al. 2013).

これらの超新星は地球に影響を及ぼす可能性があり,例えば鉄60やプルトニウム244 (244Pu) などを調べることで影響が分かると考えられる.ここでは鉄60に注目する.プルトニウム244については,Wallner et al. (2000, 2004, 2015) を参照.

鉄60異常の先行研究

Knie et al. (1999) では,太平洋の赤道域の海底から採取した鉄マンガンクラスト (ferro-manganese (Fe-Mn) crust) に,鉄60の存在量の異常があることを報告している.これは形成時期にすると ~ 2.2 Myr 前に相当する.

Knie et al. (2004) ではさらに詳細な報告がなされ,流束は 1.41 × 106 atoms cm-2 であるとしている.

その後,Fitoussi et al. (2008) ではこれらの結果を追確認しているが,北大西洋海底からのサンプルでは先行研究を補強するような結果が得られなかったと報告している.

さらに鉄60の異常は,月サンプルからも報告されている (Cook et al. 2009).しかし月のレゴリスの特性上,異常なシグナルのみが検出され,以上が発生した時期やその際の流束は不明である.

また,Feige (2014) では,南インド洋海底のサンプルからも鉄60の異常を検出し,流束は 1.42 × 107 atoms cm-2 と報告している.

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