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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。


arXiv:1506.05685
Mallonn et al. (2015)
Transmission spectroscopy of the inflated exo-Saturn HAT-P-19b
(膨張した半径を持つ土星サイズの系外惑星"HAT-P-19b"の透過分光法)

概要

HAT-P-16bのトランジットを、5600-7600Åの波長域で観測した。
波長幅は50Å、全41チャンネル。

観測の結果、フラットな透過スペクトルが得られ、特徴的な吸収は見られなかった。
しかし、pressure-broadened Na featureの存在を除外する観測精度は無い。
これらの観測に加えて、中心星であるHAT-P-19の変動も測定した。

HAT-P-19bに関して

軌道周期がおよそ4日のclose-in planetである。
半径は1.13木星半径だが、質量は0.29木星質量であり、土星質量ながら木星半径を持つ、膨張半径を持つ部類のホットジュピターである。
質量が軽く半径が大きいため、表面重力は 6 m s-2と比較的小さい。また、平衡温度は 1010 K程度と見積もられている。

観測の結果など

透過スペクトルは全体としてフラットな構造をしている。
しかし、Naの吸収やレイリー散乱の存在は排除しない。

Pressure-broadened Na absorptionが見られない理由は?

→雲やヘイズ層によって深い層を見通すのが妨げられ、吸収の特徴を消している。
 大気層を斜めに見ている場合は、少量のcondensatesであっても大気をopaqueにする。

→ナトリウム原子が枯渇したクリアな大気を持っている。
 惑星の夜側で、雲への吸着などによってナトリウム原子が減少する、また中心星起源の紫外線によるイオン化によってナトリウム原子が減少するなどの原因が考えられる。後者に関しては、HAT-P-19が磁気的に活発なので可能性としてはあり得る。

結論、その他

データの分析に関しては、200Åで区切ったデータ(スペクトル分解能R~30)と、50Åで区切ったデータ(R~120)の両方を使用したが、双方ともにスペクトルはフラットであり、追加の吸収や特徴的なトレンドは見られなかった。

惑星大気中のナトリウム吸収の検出は無し。

得られたHAT-P-19bの透過スペクトルは特徴のない灰色大気のようである。しかし今回解析した観測データの精度では、大気組成に関する更なる制限は難しい。
レイリー散乱によるスロープと、pressure-broadened Na featureを考慮した雲無しの太陽組成の大気のモデルは、観測とおおまかにあっている。

この観測結果は不完全な観測条件下での1回のトランジットイベントの解析なので、今後の観測ではより高いS/N比を実現できるだろう。

もしフォローアップ観測で高い信頼度でフラットなスペクトルが得られた場合は、これまでに観測されている近接ガス惑星(表面温度1000K程度)のものと似た性質であると考えられる。
(HAT-P-1b, HAT-P-12b, WASP-29bなど)
これらの透過スペクトルはどれも雲無しやヘイズ無し大気のモデルでは説明できず、なんらかの吸収源が存在していると考えられる。

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