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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1605.02825
Morton et al. (2016)
False positive probabilties for all Kepler Objects of Interest: 1284 newly validated planets and 428 likely false positives
(全ての Kepler Object of Interest の偽陽性確率:1284 個の新しく確定した惑星と 428 件の偽陽性)

概要

全ての Kepler Object of Interest (KOI) に対する,偽陽性の確率の計算について報告する.これは,完全自動化されたトランジット惑星の検証プロシージャの,初めての大規模なデモンストレーションである.
※注釈
KOI は,ケプラーによって惑星によると思われる減光が検出された天体のことであり,そのような減光が検出された天体 (恒星) には,例えば KOI-4878 のような通し番号が与えられている.またこの天体で検出された惑星候補 (減光を起こしているであろう惑星候補) には,KOI-4878.1 のように番号が与えられている.
このような惑星候補のうち,追観測によって惑星だと確認されたものは,例えば主星に対してはケプラー11,惑星に対してはケプラー11b などと言ったような名称が付される.

また,惑星のトランジット以外の原因によって,惑星のトランジットと似た減光を示す場合がある (連星がかすめるようにお互いを掩蔽している場合など).このようなものを偽陽性 (false positive) と呼ぶ.
今回開発したプロシージャによって,7056 の KOI のうち,1935 個は偽陽性である確率が 1%未満と算出され,これらは偽陽性ではなく惑星によるシグナルであると考えられる.このうちの 1284 個は,これまでに他の手法によって惑星とは確認されていなかったものである

また,428 の KOI は偽陽性であると考えられる.しかしそのうちのいくつかは,確定していないトランジット時刻変動 (transit timing variation, TTV) の結果によるものであるかもしれない.

このプロシージャは vespa と呼ばれるオープンソースの Python パッケージを用いており,どのトランジット惑星候補に対しても容易に適用可能である.






ニュースにもなった,1284 個のもの系外惑星が新たに "発見" された,ということを報告する論文です.

ケプラーで検出されたトランジット惑星候補は数千個ありましたが,その減光が本当に惑星によるものなのか,それとも惑星ではない偽陽性なのかは慎重に判別する必要があります.これまでは,ケプラーが検出した惑星候補に対して,地上からの追観測を用いて惑星であることを確定させたり,複数の惑星候補が検出されている系においては TTV を用いて確定させたりといった手法が用いられてきました.

ここでは,追観測を行わず,ケプラーで得られた光度曲線のデータのみから偽陽性である確率を計算する手法を用いています.もし本当に惑星のトランジットによる減光であった場合に期待される光度曲線と,観測された光度曲線の比較をすることによって確率を計算しているとのことです.そしてこの手法で偽陽性である確率が 1%未満となったものを,惑星としています.

このようにケプラーで得られた光度曲線から自動で判別する手法であるため短時間で惑星か偽陽性かの判断が可能となり,今回の 1284 個もの大量の惑星が確定するという事態になったようです.

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