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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1607.00007
Fulton et al. (2016)
Three Temperate Neptunes Orbiting Nearby Stars
(近傍の恒星を公転する 3 つの温暖な海王星質量惑星)

概要

視線速度法を用いて,3 つの太陽近傍の太陽型星まわりに,おおむね海王星質量で穏やかな日射を受けている惑星を発見した.

HD 42618b は,最小質量が 15.4 地球質量,軌道長半径が 0.55 AU,平衡温度は 337 K である.中心星は太陽に類似したソーラーアナログ (solar analog) である.また,既に惑星の発見が報告されていた 2 つの恒星の周りに新たに惑星を発見した.
HD 164922c は,最小質量が 12.9 地球質量であり,2.1 AU の位置にある木星型惑星の内側である 0.34 AU の位置を公転している.平衡温度は 418 K である.

HD 14361c は軌道長半径が 0.44 AU で,最小質量が 25 地球質量,平衡温度は 445 K である.この惑星は,既に発見されていた温暖な木星型惑星の外側を公転している.

CoRoT による観測データと,Fairborn 天文台の Automated Photometric Telescopes (APTs) による観測から,トランジットが発生しているかの調査を行ったが,トランジットは検出されなかった.しかし詳細な測光観測から,スペクトルの恒星活動による変動と惑星が公転していることで恒星自身が動くことによる変動の切り分けを行うことが出来た.

パラメータ

HD 42618系

HD 42618
スペクトル型:G4V
等級:6.839
距離:23.50 pc
金属量:[Fe/H] = -0.09
質量:1.015 太陽質量
半径:0.999 太陽半径
光度:0.98 太陽光度
HD 42616b
軌道周期:149.61 日
軌道離心率:0.19
軌道長半径:0.554 AU
最小質量:15.4 地球質量
平衡温度:337 K
HD 42618系について
視線速度観測からは,他にも 388 日周期のシグナルが検出された.仮に惑星だとすると,最小質量が 22 地球質量,軌道長半径は ~ 1 AU よりやや大きい程度となる.しかしこれが明確に惑星であるという証拠は得られていない.
シグナルの周期の間観測をカバーできていないことや,シグナル周期が 1 年に近いことから,地球の大気の影響によるコンタミネーションの可能性もある (Wright & Eastman 2014など).そのため今後もモニターし続ける必要がある.

HD 164922系

HD 164922
スペクトル型:G9V
等級:6.99
距離:22.13 pc
金属量:[Fe/H] = 0.16
質量:0.874 太陽質量
半径:0.999 太陽半径
光度:0.703 太陽光度
HD 164922b (既発見)
軌道周期:1201 日
軌道離心率:0.126
軌道長半径:2.115 AU
最小質量:107.6 地球質量
平衡温度:159.4 K
HD 164922c
軌道周期:75.765 日
軌道離心率:0.22
軌道長半径:0.3351 AU
最小質量:12.9 地球質量
平衡温度:400.5 K
HD 164922系について
この系でも,41.7 日周期のシグナルが検出されている.しかしこれも惑星起源かどうかは疑問である.この周期は,中心星の自転周期と思われる値 (44 日,Isaacson & Fischer 2010) と近い.

HD 143761系

HD 143761 (かんむり座ロー星, ρ CrB)
スペクトル型:G0V
等級:5.41
距離:17.236 pc
金属量:[Fe/H] = -0.31
質量:0.889 太陽質量
半径:1.3617 太陽半径
光度:1.706 太陽光度
HD 143761b (既発見)
軌道周期:39.8458 日
軌道離心率:0.0373
軌道長半径:0.2196 AU
最小質量:332.1 地球質量
平衡温度:614.0 K
HD 143761c
軌道周期:102.54 日
軌道離心率:0.052
軌道長半径:0.4123 AU
最小質量:25 地球質量
平衡温度:448.1 K
HD 143761系について
HD 143761b は系外惑星探査のかなり初期の 1997 年に発見された惑星である (Noyes et al. 1997).

その後,Gatewood et al. (2001) によって,ヒッパルコス衛星のデータなどからアストロメトリが検出されたと報告された.しかしこの報告はすぐに,Zucker & Mazeh (2001) によって,検出の統計的有意性が 2 σ しかない事が指摘された.

惑星発見から 10 年以上経過した後,ヒッパルコスデータの再解析より,同じアストロメトリのシグナルが報告された (Reffert & Quirrenbach 2011).この解析によると,この系はほぼ face-on (惑星の軌道面が地球のほぼ正面を向いている位置関係) であり,その角度は 0.4 - 0.7°と示唆されている.この角度が正しいとして真の質量を計算すると,HD 143761b の質量は 100 - 200 木星質量となり,惑星ではなく低質量の M 型星であることが示唆される.


また,HD 143761 は明確な周期変動は見られなかった.しかしモデルの残差に長周期の変化らしきものが存在する.これが本当のシグナルだとすれば周期が 10 年以上であり,恒星の時期活動の周期によるものである可能性がある.

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