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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1608.08993
Kirk et al. (2016)
Transmission spectroscopy of the inflated exoplanet WASP-52b, and evidence for a bright region on the stellar surface
(膨張した系外惑星 WASP-52b の透過分光観測と,恒星表面の明るい領域を示す証拠)
その結果,惑星大気のオパシティ (opacity, 不透明度) はレイリー散乱が主な原因ではないと考えられる.また,大気の透過スペクトルは,雲がある大気のような波長依存性の無いオパシティと整合的な結果であった.
また,トランジット中 (in-transit) のスペクトルにアノマリーを検出した.これは恒星活動によって引き起こされていると考えられる.
この恒星活動は黒点のような暗い領域ではなく,太陽における白斑 (faculae) に似た明るい領域とするとシンプルにモデル化することが出来る.仮に黒点だとしてモデリングすると,過去の研究によるこの系の惑星・恒星の半径比よりも大きな値が必要になる.
0.46 木星質量,1.27 木星半径で,平均密度は 0.299 g cm-3 である.軌道周期は 1.75 日で,中心星はスペクトル型 K2V,質量が 0.87 太陽質量,半径が 0.79 太陽半径である.
惑星が比較的大きく中心星が小さいため,トランジット深さは 2.7%と深い.また惑星大気のスケールハイトは 731 km と推定される.
白斑であるとすると,過去の観測結果における惑星系のパラメータともよく合う結果となる.しかし 2 つの黒点のような暗い領域の存在を仮定しても光度曲線を再現することは出来すが,恒星と惑星の半径比が過去の観測と合わなくなる.
また恒星表面の白斑の存在を考慮したモデルの場合,可視光での赤い波長へ向かって惑星の見かけの半径が増大する.これは,Na I のスペクトル線のウィング部分だと解釈も出来る.
arXiv:1608.08993
Kirk et al. (2016)
Transmission spectroscopy of the inflated exoplanet WASP-52b, and evidence for a bright region on the stellar surface
(膨張した系外惑星 WASP-52b の透過分光観測と,恒星表面の明るい領域を示す証拠)
概要
非常に大きく膨張した半径を持つホットジュピター WASP-52b の透過光分光観測を行った.SDSS の u', g' での同時測光観測と,Na I 線 (sodium doublet) 中心のフィルターを用いた,4.2 m William Herschel 望遠鏡にある ULTRACAM での観測を行った.その結果,惑星大気のオパシティ (opacity, 不透明度) はレイリー散乱が主な原因ではないと考えられる.また,大気の透過スペクトルは,雲がある大気のような波長依存性の無いオパシティと整合的な結果であった.
また,トランジット中 (in-transit) のスペクトルにアノマリーを検出した.これは恒星活動によって引き起こされていると考えられる.
この恒星活動は黒点のような暗い領域ではなく,太陽における白斑 (faculae) に似た明るい領域とするとシンプルにモデル化することが出来る.仮に黒点だとしてモデリングすると,過去の研究によるこの系の惑星・恒星の半径比よりも大きな値が必要になる.
WASP-52 系について
この系では,WASP-52b がトランジット法によって発見されている (Hebrard et al. 2013).0.46 木星質量,1.27 木星半径で,平均密度は 0.299 g cm-3 である.軌道周期は 1.75 日で,中心星はスペクトル型 K2V,質量が 0.87 太陽質量,半径が 0.79 太陽半径である.
惑星が比較的大きく中心星が小さいため,トランジット深さは 2.7%と深い.また惑星大気のスケールハイトは 731 km と推定される.
観測結果の考察
トランジット中のアノマリー
トランジット光度曲線が,トランジット中に奇妙な形状を示した.これは,黒点を横切ったか,白斑を横切ったかだと推測される.白斑であるとすると,過去の観測結果における惑星系のパラメータともよく合う結果となる.しかし 2 つの黒点のような暗い領域の存在を仮定しても光度曲線を再現することは出来すが,恒星と惑星の半径比が過去の観測と合わなくなる.
惑星大気の透過スペクトルについて
今回の透過光のスペクトル中には,広いナトリウムの吸収は検出されなかった.これは大気に雲が存在することによる影響である可能性がある.しかし narrow line core が存在する可能性については否定できない.また恒星表面の白斑の存在を考慮したモデルの場合,可視光での赤い波長へ向かって惑星の見かけの半径が増大する.これは,Na I のスペクトル線のウィング部分だと解釈も出来る.
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