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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1506.09043
Dvorak et al. (2015)
On the probability of the collision of a Mars-sized planet with the Earth to form the Moon
(月形成を引き起こす、火星サイズ惑星の地球への衝突確率について)
この説には、同位体成分比率などの未解決の問題が残されている。
ここでは、成分比ではなく力学的な問題について考察する。
火星サイズの天体が地球に衝突する確率を数値計算から算出する。
火星サイズのアディショナルな天体(通称"テイア (Theia)")を、金星と地球の軌道間、地球と火星の軌道間に配置し、数千万年程度に渡って軌道計算を行う。計算において、水星は除外する。
結果として、Theiaの地球への衝突速度、衝突角度についての統計的な概算を得た。これは将来的なSPH (Smoothed-Particle Hydrodynamics)計算のベースとなるものである。
また、最も衝突可能性の高いTheiaの初期配置は、~ 1.16 AUである。
・モデル2…Theiaを地球と火星の間に置く
両モデルとも、水星は無視して計算を行う。
モデル1では、Theiaの軌道は 0.8 - 0.94 AU、モデル2では 1.06 - 1.4 AUとし、Theiaの初期の軌道長半径の刻み幅は 0.005 AUとする。
惑星の軌道は形成過程でほとんど変化しないとして、Theiaの軌道は準安定(quasi-stable)な軌道を考える。そのような軌道のため、初期の軌道離心率は e = 0.075、軌道傾斜角は i = 2°に固定する。
(a) Theiaの軌道長半径が ≦ 0.875 AU
(b) Theiaの軌道長半径が 0.875 - 0.94 AU
(c) 地球近傍
(d) Theiaの軌道長半径が 1.06 - 1.165 AU
(e) Theiaの軌道長半径が ≧ 1.165 AU
(b), (d)の場合、衝突確率の最大は 36%であり、(b)では軌道長半径が 0.95 AU、(d)では 1.075 AUの時である。
また(a), (e)では平均運動共鳴に入って軌道が不安定化される。
(c)については、短期間で軌道が不安定化されてしまうので計算を行っていない。ここでは、しばらくの間は安定である軌道に興味があるためである。
(d)の場合が一番衝突の確率が高く、その時の軌道長半径は 1.16 AUであった。
arXiv:1506.08850
Fukui et al. (2015)
OGLE-2012-BLG-0563Lb: a Saturn-mass Planet around an M Dwarf with the Mass Constrained by Subaru AO imaging
(すばる望遠鏡のAO撮像で質量が制約されたM型矮星まわりの、土星質量の惑星)
パララックス効果は検出されなかったが、代わりにすばる望遠鏡のAO imagingとIRCSを用いて、J, H, K' bandで撮像観測を行って系のパラメータを決定することができた。
レンズシステムは 1.3 kpcの距離にあり、主星は 0.34太陽質量のM型星である。
惑星は 0.39木星質量で、土星質量の天体である。
投影半径(projected separation)は、0.74 AUもしくは 4.3 AUである。
中心星フラックスへのコンタミは ~ 17%。
観測によって質量への制約がかけられたM型矮星の周りに、重力マイクロレンズ法を用いて土星質量の惑星が発見された5番目の例となる。
(ここでいう土星質量とは、0.2木星質量より重く、1木星質量未満の惑星のこと)
M型星まわりにsub-Jupiterが多いのは、1-2 木星質量の惑星がM型星周りに少ないのとは対照的である。これは惑星形成理論から、コア集積モデルで説明できる。
arXiv:1506.09043
Dvorak et al. (2015)
On the probability of the collision of a Mars-sized planet with the Earth to form the Moon
(月形成を引き起こす、火星サイズ惑星の地球への衝突確率について)
概要
月形成の一般的なシナリオは、岩石惑星が形成を始めてから 50 - 100 Myr後の最後の巨大衝突(giant impact)によるとするものである。この説には、同位体成分比率などの未解決の問題が残されている。
ここでは、成分比ではなく力学的な問題について考察する。
火星サイズの天体が地球に衝突する確率を数値計算から算出する。
火星サイズのアディショナルな天体(通称"テイア (Theia)")を、金星と地球の軌道間、地球と火星の軌道間に配置し、数千万年程度に渡って軌道計算を行う。計算において、水星は除外する。
結果として、Theiaの地球への衝突速度、衝突角度についての統計的な概算を得た。これは将来的なSPH (Smoothed-Particle Hydrodynamics)計算のベースとなるものである。
また、最も衝突可能性の高いTheiaの初期配置は、~ 1.16 AUである。
計算セットアップ
・モデル1…Theiaを地球と金星の間に置く・モデル2…Theiaを地球と火星の間に置く
両モデルとも、水星は無視して計算を行う。
モデル1では、Theiaの軌道は 0.8 - 0.94 AU、モデル2では 1.06 - 1.4 AUとし、Theiaの初期の軌道長半径の刻み幅は 0.005 AUとする。
惑星の軌道は形成過程でほとんど変化しないとして、Theiaの軌道は準安定(quasi-stable)な軌道を考える。そのような軌道のため、初期の軌道離心率は e = 0.075、軌道傾斜角は i = 2°に固定する。
全体像
計算のケースを、Theiaの軌道長半径の初期条件で大まかに5つに分割する。(a) Theiaの軌道長半径が ≦ 0.875 AU
(b) Theiaの軌道長半径が 0.875 - 0.94 AU
(c) 地球近傍
(d) Theiaの軌道長半径が 1.06 - 1.165 AU
(e) Theiaの軌道長半径が ≧ 1.165 AU
(b), (d)の場合、衝突確率の最大は 36%であり、(b)では軌道長半径が 0.95 AU、(d)では 1.075 AUの時である。
また(a), (e)では平均運動共鳴に入って軌道が不安定化される。
(c)については、短期間で軌道が不安定化されてしまうので計算を行っていない。ここでは、しばらくの間は安定である軌道に興味があるためである。
(d)の場合が一番衝突の確率が高く、その時の軌道長半径は 1.16 AUであった。
arXiv:1506.08850
Fukui et al. (2015)
OGLE-2012-BLG-0563Lb: a Saturn-mass Planet around an M Dwarf with the Mass Constrained by Subaru AO imaging
(すばる望遠鏡のAO撮像で質量が制約されたM型矮星まわりの、土星質量の惑星)
概要
重力マイクロレンズ法を用いて、主星と伴星(惑星)の質量比が ~ 10-3の系を発見した。パララックス効果は検出されなかったが、代わりにすばる望遠鏡のAO imagingとIRCSを用いて、J, H, K' bandで撮像観測を行って系のパラメータを決定することができた。
レンズシステムは 1.3 kpcの距離にあり、主星は 0.34太陽質量のM型星である。
惑星は 0.39木星質量で、土星質量の天体である。
投影半径(projected separation)は、0.74 AUもしくは 4.3 AUである。
中心星フラックスへのコンタミは ~ 17%。
観測によって質量への制約がかけられたM型矮星の周りに、重力マイクロレンズ法を用いて土星質量の惑星が発見された5番目の例となる。
(ここでいう土星質量とは、0.2木星質量より重く、1木星質量未満の惑星のこと)
M型星まわりにsub-Jupiterが多いのは、1-2 木星質量の惑星がM型星周りに少ないのとは対照的である。これは惑星形成理論から、コア集積モデルで説明できる。
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