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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1611.09504
Li et al. (2016)
A possible giant planet orbiting the cataclysmic variable LX Ser
(激変星へび座LX星を公転する巨大惑星候補)

概要

LX Ser (へび座LX星) は深い食を起こす激変星であり,その周期は 0.1584325 日である.
観測とデータベースのデータから,62 イベントの食時間を決定した.

参照可能な全ての食時間から,この激変星の O-C (observed-caluculated) diagram の変動を調査した.その結果,22.8 年周期で振幅 0.00035 日のサイン振動を起こしていることが判明した.このような変動の要因として考えられるのは Applegate mechanism と light travel time effect の 2 つである.

検証の結果,Applegate mechanism ではこの軌道周期は観測されたような周期的な変動を起こすのが難しいと判明した.従って周期的な変化は,この系内の中の 3 体目の存在による light travel time effect による可能性が高い.

3 体目の質量は ~ 7.5 Mj と推定される.そのため,3 体目は巨大惑星だろうと考えられる.この天体の安定性について調査した結果,この複数天体系は安定であると判明した.

背景

激変星 (cataclysmic variable) は,縮退した白色矮星の主星と,ロッシュ・ローブを埋めた M 型矮星の伴星からなる,相互作用する連星系を指す.LX Ser (へび座LX星) は,2 つの星が食を起こす激変星であることが初めて確認された激変星である (Stepanian 1979).

激変星の食のタイミングは高精度で決定することができるため,小さい振幅での軌道周期の変化も発見することが出来る.そのため激変星は惑星質量天体を探査するのに良い対象である.

もし激変星の系に惑星が存在した場合,三重星系の重心が惑星の運動によってわずかに揺れるため,星からの光は地球と星との間の距離の変化に応じて進む距離が変化する.そのため,観測される食の時刻は周期的に変動し,observed-calculated (O-C) diagram (観測される食のタイミングと,3 体目が存在しない場合に理論的に予想される食のタイミング) も周期的に変化する.これを解析することで非常に小さい天体の質量も決定することができる.

この手法は激変星周りの軽い天体の検出に適用され,成功している例もある.例えば,Z Cha (Dai et al. 2009),DP Leo (Qian et al. 2010a),QS Vir (Qian et al. 2010b),UZ For (Potter et al. 2011),V2051 Oph (Qian et al. 2015) などである.

※注釈
Applegate mechanism
激変星を構成する赤色矮星の磁気的活動に起因する O-C diagram の変動を,Applegate mechanism と呼ぶ (Applegate 1992).
Applegate mechanism - Wikipedia

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