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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1701.03807
Rodriguez et al. (2017)
A Multi-Planet System Transiting the V = 9 Rapidly Rotating F-Star HD 106315
(V = 9 の高速自転する F 型星 HD 106315 をトランジットする複数惑星系)

概要

HD 106315 の周りの複数惑星系の発見を報告する.

この恒星はは高速で自転する星であり,中期 F 型星である.ケプラー K2 ミッションでのデータを解析することで惑星を検出した.

発見された惑星は,半径が 2.51 地球半径で 9.5 日周期のスーパーアースと,4.31 地球半径で 21 日周期のスーパーネプチューンである.

中心星の射影した自転速度は 14.6 km/s であり,惑星質量の詳細な測定は難しいだろうと考えられる.しかし射影した惑星の軌道傾斜角は,外側の惑星でドップラートモグラフィー (Dopplar tomography) を介して測定できるだろう.

両方の惑星の軌道離心率は 0 と整合的な結果であった.これは,GAIA の距離と力学的な議論を含んだグローバルモデリングより得られた結果である.

この系は,惑星の軌道傾斜角が測定可能である,数少ない海王星サイズ惑星とスーパーアースの複数惑星系のひとつ.そのためこの系は,温かい海王星的惑星の形成メカニズムを検証するのに良い研究対象と言える.

また中心星の明るさから考えて,外側の惑星は将来的なトランジット透過光観測の対象と言える.

パラメータ

HD 106315
等級:9 等
金属量:[m/H] = -0.27
有効温度:6251 K
距離:107.3 pc
スペクトル型:F5V
質量:1.027 太陽質量
半径:1.291 太陽半径
年齢:5.91 Gyr
光度:2.27 太陽光度
HD 106315b
軌道周期:9.55385 日
半径:2.51 地球半径
軌道長半径:0.0889 AU
平衡温度:1149 K
HD 106315c
軌道周期:21.0580 日
半径:4.31 地球半径
軌道長半径:0.1500 AU
平衡温度:860 K







arXiv:1701.03811
Crossfield et al. (2017)
Two Small Transiting Planets and a Third Body Orbiting HD 106315
(HD 106315 を公転する 2 つの小さいトランジット惑星と 3 体目の天体)

概要

HD 106315 を公転する 3 つの天体の発見を報告する.この星は明るい F5 主系列星で,トランジット系外惑星のためのケプラー K2 サーベイのターゲットである.

2 つの小さいトランジット惑星は,半径が 2.23 地球半径と 3.95 地球半径で,軌道周期はそれぞれ 9.55 日と 21.06 日であった.

視線速度のトレンド 3.55 m s-1 d-1 から,この恒星の周りを公転する 3 体目の存在が示唆される.3 体目の天体の軌道周期は 80 日以上,質量は木星質量以上と推定される.
この天体によるトランジットは深さが ~ 1%になるはずであり,観測結果よりトランジットしている可能性は排除された.

中心星の射影自転速度は 13.2 km s-1 だが,6.4 m s-1 の短いタイムスケールでの視線速度の変動を持ち,内側の 2 つの惑星の質量と密度,外側の天体の軌道と質量を視線速度法で測定する良いターゲットである.

さらに,視線速度変動と中程度の視線速度の値の組み合わせから,この天体はロシター効果を通した内側の 2 つの惑星の spin-orbit alignment (中心星の自転軸と惑星の公転軸の間の角度) の測定の対象として適していると考えられる.また,2 つのトランジット惑星のトランジットと二次食 (secondary eclipse) 時の分光観測による,宇宙空間からの大気の特徴付けも実現可能であると考えられる.

パラメータ

HD 106315
等級:8.97 等
距離:107.3 pc
年齢:4 Gyr
スペクトル型:F5V
金属量:[Fe/H] = -0.24
有効温度:6290 K
質量:1.07 太陽質量
半径:1.18 太陽半径
光度:1.95 太陽光度
HD 106315b
軌道周期:9.5521 日
半径:2.23 地球半径
軌道長半径:0.09012 AU
HD 106315c
軌道周期:21.0576 日
半径:3.95 地球半径
軌道長半径:0.1526 AU








同じ恒星 HD 106315 まわりに複数の惑星を発見したという発見報告論文が,同じタイミングで投稿されています.どちらも,一般に公開されているケプラーによる K2 ミッションのデータを解析した結果です.

後者の論文の方は,さらに視線速度観測から 3 体目のトランジットしていない天体の存在を指摘しています.

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