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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。
arXiv:1702.03136
Esposito et al. (2017)
The GAPS Programme with HARPS-N at TNG. XIII. The orbital obliquity of three close-in massive planets hosted by dwarf K-type stars: WASP-43, HAT-P-20 and Qatar-2
(TNG での HARPS-N を用いたGAPS プログラム XIII:K 型矮星まわりの 3 つの近接惑星の軌道傾斜角:WASP-43,HAT-P-20,Qatar-2)
ここでは GAPS プロジェクトの一環として,トランジット惑星の公転軸の傾斜角の測定を行った.高精度の視線速度測定を 3.6 m Telescopio Nazionale Galileo (TNG) に設置されている HARPS-N 分光器で行った.その観測結果から,Rossiter-McLaughlin 効果 (ロシター効果) の測定を行って spin-orbit angle を決定した.
また,惑星がトランジットしていない時の視線速度観測データから,惑星の軌道のパラメータを更新した.また,別の複数の 1-2 m 級の望遠鏡で得られた新しいトランジット光度曲線を解析し,惑星と中心星の基本的な物理的パラメータの値を改善した.
ここでは 3 つの非常に重い近接ガス惑星の,新しいトランジット分光観測の結果を報告.観測を行ったのは,WASP-43b,HAT-P-20b,Qatar-2b であり,それぞれ 2.00,7.22,2.62 木星質量,軌道長半径はそれぞれ 0.015,0.036,0.022 AU である.
中心星は 3 つとも有効温度 5000 K 未満の K 型矮星で,それぞれ 4500,4595,4640 K である.この有効温度は,WASP-80 の先例を除けば,これまでにロシター効果が測定された星の中で最も低温なものである.
解析の結果,WASP-43b は spin-orbit angle は 3.5 ± 6.8°,HAT-P-20b では -8.0 ± 6.9° となった.今回の観測対象の中で最も暗い Qatar-2b ではロシター効果は僅かな検出にとどまったが,ベストフィットの値は 15 ± 20°となり,過去の測定と一致した.
測光観測から導かれた中心星の自転周期との組み合わせより,実際の spin-prbit angle は,WASP-43b の系では揃っているが,HAT-P-20b は小さいがしかし有意な傾き 36° (+10, -12) を持つと考えられる.
また,HAT-P-20 と WASP-43 の彩層からの Ca II H & K 輝線の解析から,恒星惑星間相互作用に起因すると思われる,恒星活動の増加の証拠を検出した.
arXiv:1702.03136
Esposito et al. (2017)
The GAPS Programme with HARPS-N at TNG. XIII. The orbital obliquity of three close-in massive planets hosted by dwarf K-type stars: WASP-43, HAT-P-20 and Qatar-2
(TNG での HARPS-N を用いたGAPS プログラム XIII:K 型矮星まわりの 3 つの近接惑星の軌道傾斜角:WASP-43,HAT-P-20,Qatar-2)
概要
中心星の自転軸に対する惑星の公転軸のなす角度 (spin-orbit angle) は,惑星系の全体的な構造の特徴付けと関連したパラメータであり,中心星に近い巨大惑星の起源を説明するために提案されている異なるシナリオを識別するための重要な観測的な制限である.ここでは GAPS プロジェクトの一環として,トランジット惑星の公転軸の傾斜角の測定を行った.高精度の視線速度測定を 3.6 m Telescopio Nazionale Galileo (TNG) に設置されている HARPS-N 分光器で行った.その観測結果から,Rossiter-McLaughlin 効果 (ロシター効果) の測定を行って spin-orbit angle を決定した.
また,惑星がトランジットしていない時の視線速度観測データから,惑星の軌道のパラメータを更新した.また,別の複数の 1-2 m 級の望遠鏡で得られた新しいトランジット光度曲線を解析し,惑星と中心星の基本的な物理的パラメータの値を改善した.
ここでは 3 つの非常に重い近接ガス惑星の,新しいトランジット分光観測の結果を報告.観測を行ったのは,WASP-43b,HAT-P-20b,Qatar-2b であり,それぞれ 2.00,7.22,2.62 木星質量,軌道長半径はそれぞれ 0.015,0.036,0.022 AU である.
中心星は 3 つとも有効温度 5000 K 未満の K 型矮星で,それぞれ 4500,4595,4640 K である.この有効温度は,WASP-80 の先例を除けば,これまでにロシター効果が測定された星の中で最も低温なものである.
解析の結果,WASP-43b は spin-orbit angle は 3.5 ± 6.8°,HAT-P-20b では -8.0 ± 6.9° となった.今回の観測対象の中で最も暗い Qatar-2b ではロシター効果は僅かな検出にとどまったが,ベストフィットの値は 15 ± 20°となり,過去の測定と一致した.
測光観測から導かれた中心星の自転周期との組み合わせより,実際の spin-prbit angle は,WASP-43b の系では揃っているが,HAT-P-20b は小さいがしかし有意な傾き 36° (+10, -12) を持つと考えられる.
また,HAT-P-20 と WASP-43 の彩層からの Ca II H & K 輝線の解析から,恒星惑星間相互作用に起因すると思われる,恒星活動の増加の証拠を検出した.
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