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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1703.01430
Gillon et al. (2017)
Two massive rocky planets transiting a K-dwarf 6.5 parsecs away
(6.5 パーセク離れた K 型矮星をトランジットする 2 つの重い岩石惑星)

概要

HD 219134 は太陽系から 6.5 pc (21.2 光年) 離れた K 型星で,いくつかの低質量惑星が周囲に発見されている.スピッツァー宇宙望遠鏡による観測では,最も内側の惑星 HD 219134b のトランジットが検出されている.過去の観測からは,この惑星の質量と半径は 4.5 地球質量,1.6 地球半径で,岩石組成であると考えられている.

ここでは,スピッツァー宇宙望遠鏡を用いた新しい高精度の測光観測データの解析から,内側から 2 番目の惑星 HD 219134c もトランジットしていることを報告する.
スピッツァー宇宙望遠鏡でのトランジット光度曲線の全体の解析と,最新の HARPS-N の視線速度データより,HD 219134b は 4.74 地球質量,1.602 地球半径,HD 219134c は 4.36 地球質量と 1.511 地球半径と推定される.この値は,両惑星ともに岩石組成であることを示唆している.

この系は太陽系からの距離が近いことと,中心星のサイズが小さい (0.778 太陽半径) ことから,これらの 2 つのトランジット惑星 (現在のところ最も地球から近いトランジット惑星である) は今後の観測によって詳細な特徴付け (例えば,質量や半径を数%の精度で決定すること,大気特性に制限を与えることなど) を行うのに適していると考えられる.今後の観測によって,数多く存在することが分かっている,数地球質量の短周期惑星の性質と形成過程へ重要な制限を与えることが期待される.

HD 219134 系についての注釈

HD 219134 は,視線速度法によってこれまでに 6 つの惑星が確認されている (Motalebi et al. 2015).また 6 つの惑星のうち, HD 219134b はトランジットが確認されていた (Motalebi et al. 2015).

なお惑星は合計で 7 つが報告されているが,このうち 1 つは未確定の状態である.検出を報告した論文によって惑星の命名が異なるため,混乱が生じている.Exoplanet encyclopaedia には以下のような注釈がある.
17 Nov 2015: The names an characteristics of planets HD 219134 d, e, f, g and h raise two specific problems since there are two papers: Motalebi et al. 2015 and Vogt et al. 2015 with different sets of parameters. We adopt the following solution, at least provisionally:
- names: The standard rule is two give names NNN b, c, d etc by order of discovery, the criterion being the date of submission of a paper. The Motalebi et al paper has been submitted on June 24th 2015, the Vogt et al. paper on July 17th 2015. The four Motalebi planets are there fore named b, c, d and e and the new Vogt planets named f, g and h.
- parameter values: The Vogt et al. planet data are based on 276 observation points while the Motalebi et al data are based on 98 data points. We therefore adopt Vogt et al. values for all planet.
- remark: It is not impossible that more data will change this situation. In particular HD 219134 e and h may merge in a single object.
Motalebi et al. (2015) と Vogt et al. (2015) では名前の付け方やパラメータが異なるため,ここ (Exoplanet encyclopaedia) では暫定的に以下の様な表記を採用している.
惑星名:惑星の名称を与える一般的なルールは発見順であり,基準は論文の投稿の日付である.Motalebi et al. (2015) の論文は 2015年6月24日,Vogt et al. (2015) の論文は 2015年7月17日にそれぞれ投稿されている.そのため Motalebi et al. (2015) で報告された 4 惑星を b, c, d, e と命名し,Vogt et al. (2015) で新たに検出された惑星は f, g, h と命名している.
パラメータの値:Vogt et al. (2015) での値は Motalebi et al. (2015) での値より観測のデータ点が多いため,各惑星の値としては全て Vogt et al. (2015) のものを採用している.
コメント:さらなるデータによってこの状況が変化することは有り得る.特に,HD 219134e と HD 219134h は単一の天体である可能性がある.なお Exoplanet encyclopaedia では,HD 219134f を unconfirmed,すなわち存在が未確定の惑星候補としている.一方,NASA Exoplanet Archive では HD 219134e が未確定とされていて,確定した系外惑星の一覧には掲載されていない.
また HD 219134f は,恒星の自転による artifact (惑星由来のシグナルではない) という指摘がある (Johnson et al. 2016).また,上記にある通り,HD 219134e と HD 219134h は同じ天体である可能性も指摘されている.

この論文における HD 219134b と HD 219134c に関してはどちらの論文においても存在が確認されている.

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