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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1507.03596
Dong et al. (2015)
Observational Signatures of Planets in Protoplanetary Disks: Spiral Arms Observed in Scattered Light Imaging Can be Induced by Planets
(原始惑星系円盤中の惑星の観測的特徴:散乱光の撮像で観測される渦状腕は惑星によって形成される)

概要

モンテカルロ輻射輸送計算を組み合わせた、3Dの大局的流体シミュレーションを用いて、惑星を内部に持つ原始惑星系円盤を計算し、近赤外で惑星によって形成される渦状腕 (spiral arm)が観測可能かどうか調べた。

1太陽質量の中心星周りの典型的な円盤中に、 6木星質量の惑星が存在した場合、惑星軌道の内側と外側に、卓越した観測可能な渦状腕が形成される。
渦状腕のうち、内側のアームは、
(1) m=2 symmetryに近い、2つに分かれたアームを持つ
(2) ピッチ角度は ~10-15°
(3) 方位角方向に ~180-270°に広がっている
(4) 表面輝度は ~ 150%に増幅される
という特徴を持つ。
これらの特徴は、すでに観測されている SAO 206462、MWC 758での渦状腕の特徴と一致する。

一方、惑星軌道の外側のアームは観測を説明できない。
また、1木星質量の場合は、渦状腕のコントラストが低いため検出はできない。これは先行研究の結果と一致する。

3Dの効果は重要である。
等温円盤モデルと比較すると断熱円盤では内側のアームは面密度ではコントラストが低いが、散乱光のイメージではコントラストが大きくなる。これはより明白な鉛直方向の構造によるものである。

結論

1. 重い惑星 (質量比 q = M* / Mp = 6 × 10-3)による軌道の内側のアームは、現在の近赤外領域の観測で検出可能である。また構造は既存の観測結果と矛盾しない。
また、上記(1)-(4)の特徴がある。

2. q = 6 × 10-3の場合の惑星軌道の外側のアームも観測可能である。しかしこのスケールハイトでは観測の構造を説明できない。具体的には、計算結果はアームのピッチ角度は4度以下であったが、これは観測よりも2.5倍かそれ以上小さい値である。つまり、巻きつき具合が観測よりも大きい。

3. 惑星によって形成される密度波は、等温円盤の方が断熱円盤よりもコントラストが大きい。しかし散乱光では断熱円盤の方がコントラストが大きい。
これは鉛直方向の広がった構造が原因であり、この構造はショック加熱と、場合によっては水力学的効果によるものである。

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