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日々の感想などどうでもよいことを書き連ねるためだけのブログ。
論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1706.05049
Luszcz-Cook et al. (2017)
Retrieving Neptune's aerosol properties from Keck OSIRIS observations. I. Dark regions
(Keck OSIRIS 観測による海王星エアロゾル特性の復元 I.暗い領域)

概要

海王星の integral-field spectrograph (面分光器) による 3 次元データの解析結果について報告する.観測は,口径 10 m の W. M. Keck II telescope の OSIRIS を用い,2009 年 7 月 26 日から取得したデータの解析を行った.データの空間分解能は 0.035”/ピクセル,スペクトル分解能は H バンド (1.47 - 1.80 µm) と K バンド (1.97 - 2.38 µm) で R ~ 3800 である.

今回の分析は,海王星大気中の近赤外線で暗い領域 (離散的な明るい雲の特徴を示さない領域) に注目した.マルコフ過程モンテカルロアルゴリズムを使用したフォワードモデリングを用いて,近赤外で暗い領域の,気圧が ~ 4 bar よりも上の高度における,海王星のエアロゾルの構造とメタンの分布の復元を試みた.

解析の結果,この波長における海王星の雲の不透明度は,雲の底部が 3 bar 程度に位置している,コンパクトで光学的に厚い雲層によって占められることを発見した.輻射輸送に pyDISORT アルゴリズムを使用し,Henyey-Greenstein 位相関数を仮定すると,この雲は低いアルベドで構成されること (単一散乱アルベド 0.45 (+0.01, -0.01)),強い前方散乱をする粒子であること (非対称パラメータ 0.50 (+0.02, -0.02)),特徴的なサイズの推定値は ~ 1 µm であることが分かった.

この雲層の上では,観測の再現のためにはより小さい粒子サイズ (~ 0.1 µm) を持つ,垂直方向に広がったヘイズによるエアロゾル層が必要と考えられる.この層は対流圏上部 (0.59 (+0.04, -0.03) bar) から成層圏に入る辺りまで広がっている.このヘイズ中の粒子は深い位置の雲の中の粒子に比べて明るく (単一散乱アルベド 0.91 (+0.06, -0.05)),また,より等方散乱をする粒子である (非対称パラメータ 0.21 (+0.02, -0.03)).


ここで用いた解析を,海王星の北緯 20 度から南緯 87 度に位置する,18 箇所の雲無し領域に適用した.その結果,0.5 bar より上空でのエアロゾルの光学的深さは,低緯度と比較すると,中緯度と南半球の高緯度ではファクターで 2 - 3 もしくはそれ以上減少する様子が見られた.

また,海王星のメタン分布についても調べた.ここで用いた復元手法からは,メタンが凝縮すると期待される気圧においてメタンの相対湿度が低い事が強く示唆される,メタンの凝縮圧力よりも低い圧力におけるメタンの欠乏を解析のパラメータに含めたところ,ほとんどの場所におけるもっともらしい解は,メタンの欠乏は 2.0 - 2.5 bar まで続き,なおかつ対流圏界面付近でのメタンの相対湿度が 10%以下であるという結果であった.

中緯度と南半球の高緯度では,2.5 bar より上の領域ではメタンが少ないという傾向を暫定的に同定した.これは Karkoschka & Tomasko (2011) で見られる傾向と定性的に整合する.また,これは天王星で観測されている傾向と似ているが,それよりは弱い.

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