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論文関連の(ほぼ)個人用メモ。



arXiv:1706.07038
Burkhart & Loeb (2017)
The Detectability of Radio Auroral Emission from Proxima B
(プロキシマb からのオーロラ電波放射の検出可能性)

概要

磁気的に活動的な恒星は恒星風を持ち,その恒星風は惑星の磁場と相互作用を起こして,オーロラ電波放射 (radio auroral emission) を生成する.ここでは,太陽系に最も近い既知の系外惑星であるプロキシマb からのオーロラ電波放射の検出可能性について調べた.

Radiometric Bode’s law (※太陽系の惑星における電波放射に関する経験則) を用いて,プロキシマ・ケンタウリの恒星風とプロキシマb の磁気圏の相互作用によって生成され得る電波フラックスを推定した.

プロキシマb の磁場強度が地球の 1 - 3 倍であるとし,惑星質量をもっともらしい値に仮定した場合,プロキシマb からのオーロラ電波放射の強度は,0.3 - 0.8 MHz の波長帯で 6 - 83 mJy となると推定された.

最近の磁気流体力学 (magnetohydrodynamic, MHD) モデルからは,このオーロラ電波放射は非常に変動性が大きいことが期待される.この変動性は,プロキシマb の磁気圏のサイズが,赤道面上の大きな動圧と濃い恒星風の流れ領域と交差することによって大きく変化しうることが原因である.

Garraffo et al. (2016) のモデルを用いて,軌道上でのプロキシマb の磁気圏半径の変動を推定した.
その結果,観測される電波のフラックスは,プロキシマb の軌道周期 11.2 日の間に 1 桁ほど変動すると推定した.詳細な変動の振幅は,恒星風,惑星の軌道,惑星の磁場のパラメータに依存する.

また,ここで考慮している周波数帯の電波放射を検出するため,地球電離圏のカットオフ周波数 (~ 10 MHz) を下回る周波数を観測するための,将来的な宇宙空間からの観測戦略についても議論する.

結論のまとめ

  • プロキシマb は中心星に近く,また地球にも近い.そのため,プロキシマb の質量が現実的な範囲であり,磁場強度が地球の 1 - 3 倍程度であった場合,0.3 - 0.8 MHz の周波数でオーロラ電波放射の強度は 4 - 83 mJy となることが期待される.
  • MHD モデルを元にすると,オーロラ電波放射は非常に変動性が大きくなることが期待される.これは,プロキシマb が恒星風の動圧が高く高密度の領域を通過することで電離圏のサイズが変動することに起因する.Garraffo et al. (2016) の MHD モデルを用いて軌道を一周する間の磁気圏半径の変動を推定すると,観測されることが期待される電波放射フラックスは 11.2 日の公転周期の間に 1 桁程度変化する.
  • 電波放射強度の変動の振幅は,恒星風と惑星磁場のパラメータだけではなく,惑星の軌道パラメータにも依存する.この事は,これらのパラメータはオーロラ電波放射の変動と詳細な MHD モデリングを用いて識別できることを示唆する.
  • プロキシマb からの電波放射の検出可能性について議論した.地球の電離圏によってプロキシマb からの電波放射が遮られるのを避けるためには,宇宙空間での超低周波数電波観測装置が必要である.また,局所的な星間物質による自由-自由遷移の吸収が検出を阻害することはないと考えられる.

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